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【超短編小説】ノーパンしゃぶしゃぶ

「遅くなってすみません、家内がうるさくて」
 頭を下げながら襖をあけると、先行して席に着いていた上司たちが一斉にこちらを見た。
「新婚さんは大変だね」
「まだ仲良くやれているのは良い事だ、気をつけろよ」
 口々にかける言葉に愛想を返しつつコートを脱いでハンガーに掛けると、さっそく掘り炬燵の中に足を入れた。


「珍しいですね、掘り炬燵の居酒屋なんて」
 俺はズボンのベルトを外しながら隣に座る部長に聞くともなく云った。
「この緊張感がたまらないんだよ」
 彼は嗤うと、こたつ布団の上から腰の辺りを軽く叩いた。
 ベルトを外して炬燵の中でズボンを脱ぐと軽い浮遊感にも似た高揚を感じた。 

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