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切ないテレポート

静かな部屋にふいにカメが現れた。彼は音もなくまるで空気が揺れるようにして現れ、ウサギの心に小さな波を起こした。カメは少し照れくさそうに微笑んで、「急に君に会いたくなって…歩いてきたら遅くなるから」と静かに言った。その声には彼女への深い愛が込められていて、二人の心はほんのりと温かく繋がった。

ウサギには秘密の任務がありカメとの自由な接触は制限されていたため、この部屋は二人にとって特別な隠れ家となっていた。カメがウサギの手を優しく握ると、彼女の心は甘く切ない思いに揺れた。彼は彼女の手を引き月明かりのもと窓際へと歩んだ。静かな街の灯りを眺めながら二人は穏やかな時間を過ごした。

「そろそろ戻らないと」とカメが言うと、ウサギは彼の目をじっと見つめ、「明日もここで逢える?私たちの時間はいつも短く感じるの」と囁いた。カメとの別れが近づくと彼女はいつも寂しさに怯えていた。そして彼は消え去ったが、彼の優しい温もりだけが部屋に残された。

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