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新しい炊き込みご飯の世界がここにある ~ 第1回 おかしな炊き込みご飯選手権

名古屋めし研究の中で偶然生まれた「グリーン豆ごはん」。春日井製菓の大定番「グリーン豆」をご飯と一緒に炊き込むだけの簡単メニューですが、これが驚くほどの美味しさでした。普通の豆ごはんに遜色ないどころか、青臭みがない分むしろ食べやすさでは上。既に我が家ではレギュラー入りのメニューとなっています。

それでふと思ったんです。「もしかしたら、他にも炊き込んで美味しいお菓子があるんじゃないかな」と。

というわけで、100円均一で手に入る様々なお菓子を炊き込んでみて、最も美味しいものを探ってみることに。題して「おかしな炊き込みご飯選手権」。新しい炊き込みご飯の世界がここにある――

本気で美味かった「グリーン豆ごはん」

少し前のことですが、名古屋を代表するアカウント「おいでよ名古屋」さんの「グリーン豆ご飯」のツイートがバズっていました。

実はこれの発信源はSwind。グリーン豆をごはんと一緒に炊き込んだら豆ご飯になるんじゃないかと思ってやってみたら見事大成功!青臭み一切無しの絶品豆ご飯が出来上がりました。

中日新聞Webに連載中の「おうち名古屋めしの教科書」でも、グリーン豆ごはん&キーマカレーとしてご紹介しました

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で、思ったんです。

グリーン豆で出来るんだったら、他のお菓子でも出来るのでは……?

ということで、早速近くのダ○ソーにいって色々とゲットし食べ比べてみることに。「第1回 おかしな炊き込みご飯選手権」の開幕です。

個性派揃いの出場選手

それでは早速出場選手のご紹介です。全て近隣のダイ○ーにて手に入れた100円(税込108円)商品です。

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フライ加工されているグリーン豆に習って、揚げニンニクとジャイアントコーンがエントリー。そして魚系ならきっと美味しい出汁が出るだろうとアーモンドフィッシュとおつまみにぴったりな一口まぐろも顔を並べました。さらには伏兵として麻辣旨辛唐辛子、そしてスープ部門を代表してしじみのちから(わかめスープ)もエントリーしました。

なお、タラタラしてんじゃねーよも準備を進めておりましたが、既に実食済みと言うことで今回はエントリーを辞退した模様です。 なんだ、やってたんじゃん(笑)

それにしても、100円均一って本当に何でもありますね。こんなにも揃えられるとは思ってもいませんでした。

なお、今回のレギュレーションは以下の通りとなっています

・お米1合に対して一袋(スープは内袋で1袋)を入れて炊き込む
・水はお米1合分に対して規定量入れる
・ものによって白だしとみりんを加えて炊き込んでもOK

それではいよいよ、実食審査です。

初っぱなからハードパンチが炸裂「揚げニンニクご飯」

初手は「揚げニンニク」。白だし大さじ1+みりん大さじ半分を加えての挑戦です。炊き上がる前からにんにくの良い香りが立ちこめ、気合いの充実っぷりがうかがえます。

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■揚げニンニクご飯■
食感:
★☆ /  香り:★☆ / 美味しさ:
食欲マシマシ度:

これはいきなりの高評価が出ました!! 炊き込むことでにんにくがホコホコになり、舌先で潰せるほどの柔らかさに。にんにくの風味がご飯に染み渡り、パンチの効いた美味しさになっています。「にんにくってやっぱり美味しいんだ!」と思わず納得してしまうお味です。

そして驚いたのが炊き上がりの姿。にんにくに茶色の焦げ目が付いていました。どこから焦げ色がきたのか分かりませんが、この見た目も高ポイントですね。ビールをぐびっといきながらガバッと食べたい、お酒に合いそうな炊き込みご飯になりました。糖質? いいえ、知らない子ですね。

まさかの展開に驚愕「ジャイアントコーンご飯」

続いて登場したジャイアントコーンご飯。ほっくほくの大粒コーンが楽しめるのではないかと炊き上がる前から期待が高まっております。白だし大さじ1+みりん大さじ半分を加えてのチャレンジです。

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■ジャイアントコーンご飯■
食感:☆
 /  香り: / 美味しさ:
これはヤラカシタ度:

いかにも美味しそうな見た目とは裏腹にが、結果はなんとも残念なモノに。そう、炊き上がったコーンが予想に反してめちゃめちゃ硬かったんです……。簡単に言えば「ただただ湿気ったジャイアントコーン入りごはん」の状態。コーンの風味はわずかにご飯へと移っているものの、ただそれだけでした。

敗因はおそらくコーンの性質。スイートコーンとは異なり、ジャイアントコーンはもともと皮が固い品種とのことで、こうした炊き込み系には不向きだったようです。無念の敗退となりました……。

予想とはちょっと違った「アーモンドフィッシュご飯」

気を取り直して三番目はアーモンドフィッシュ。小魚の旨味が出るのではと期待されたのエントリーですが、アーモンドを炊くとどうなるかは未知数。期待に胸が膨らみます。白だし大さじ1、みりん大さじ半分を加えて炊き込んでいます。

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■アーモンドフィッシュご飯■
食感:★★☆
 /  香り:★★ / 美味しさ:★★☆
ノーインパクトでフィニッシュです度:

魚から出た旨味がご飯に染み渡ることは無く、水分を吸ったアーモンドがそれなりに香ばしさを与え、なんともツッコミづらい味わいとなりました。

いや、決して食べられないことはないんです。美味しくないわけじゃ無いんです。それでも、アーモンドフィッシュのポテンシャルを引き出しているかと言えば疑問符がつかざるを得ないのです。これなら炊き込まずにそのままかけて食べた方がよさそう……。なんとも微妙な結果となってしまいました。無念!

予知された安定の美味しさ「一口まぐろご飯」

2つ連続での無念の結果となり、食卓に緊張が走ります。次こそはと意気込んで望むのは「一口まぐろ」。旨味という名のパワーがぎゅっと詰まった期待の選手に、胃袋が鳴りやみません。なお、白だし+みりんは加えず、そのまま炊き込んでいます。

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■一口まぐろご飯■
食感:★★
 /  香り:★★ / 美味しさ:★★
めっちゃ良い出汁でてるやん度:

まずは炊き上がりに注目。うっすらと色がついているのがお分かりでしょうか? そう、一口まぐろから出た旨味がご飯全体に染み渡っているのです。

甘く香ばしい香りが立ち上る中一口頬張ってみると「これこれ、こういうの待ってた!」と思わず声が上がるほどの美味しさ。ご飯にも味を移しながらちゃんと身にも旨味を残している。見た目には「もっと具があった方がいいんじゃないかな?」と思うかも知れませんが、むしろこれくらいでちょうどいいバランスのお味に仕上がっていました。

昔懐かしの「赤いツナ缶(まぐろ味付けフレーク/はごろも煮)」を思い出させる美味ごはん。さすがはマグロ。一口でもマグロ。王道の美味しさです。

赤い奴は3倍美味い「麻辣旨辛唐辛子ご飯」

続いての登場は「麻辣旨辛唐辛子」。刺激たっぷりのこの唐辛子を炊き込むことでどのような変化が起こるのか。大胆な伏兵の登場に、会場から期待と不安が入り交じった声が聞こえてきます。こちらは白だし大さじ1+みりん大さじ半分を加えての炊き込みです。

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■麻辣旨辛唐辛子ご飯■
食感:★★
★ /  香り:★★★★ / 美味しさ:★★
意外性の八番枠がピッタリ度:

炊き上がる前から沸いてくるカプサイシンの刺激的な湯気。とはいえ、目がシパシパしたりすることはなく、ただひたすらに食欲がそそられるとても危険な香りでした。

見た目の赤さに反して、味が絶妙なバランス。辛くないわけではないんですが、穏やかな辛さでぐんぐんと箸が進んでいきます。実は唐辛子は旨味成分であるグルタミン酸を多く含む食材。この旨味によってご飯の美味しさが一層引き立てられ、ワンランクもツーランクも上の味わいに仕上がっています。

このままチャーハンにしても絶対美味しいでしょうし、なんなら揚げにんにくとのツープラトン攻撃が炸裂したら一撃でノックダウン間違い無しでしょう。良い意味で大きく期待を裏切ってくれました。

呑んだ後の〆に最高「しじみのちから(わかめスープ)ご飯」

さて、最後に登場はスープ部門からの刺客「しじみのちから(わかめスープ)」。お菓子ではありませんがちょうどお菓子コーナーの真後ろで売っていたので、緊急エントリーと相成りました。こちらはお米1合に対してスープ内袋1つ分(1食分)を炊き込んでの挑戦です。

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しじみのちから(わかめスープ)ご飯
食感:★★
★ /  香り:★★★☆ / 美味しさ:★★
思わずしみじみしちゃう度:

もしかしたらワカメが熱で溶けてドロドロになってしまうのでは?と心配していましたが、蓋を開けてみればちゃんとしっかりした状態での炊き上がり。しじみの香りがふわーんと立ち上り、鼻をくすぐってきます。

肝心のお味はというと、ああ美味い。しみじみ美味い……。しじみを喰えば、しみじみと~♪と思わず歌いたくなる、優しいながらもしじみの旨味がしっかりと行き渡った絶妙な味に仕上がりました。1合に対して1食分でちょうど良いバランス、2つ入れたら味が濃すぎた可能性もありますね。

間違い無く言えるのは、お酒を呑んだ後の〆ご飯として間違い無く最強ということです。

ベストオブ「おかしな炊き込みご飯」はこれだ!

6選手による第1回「おかしな炊き込みご飯選手権」。事前の予想から大きく外れる結果のラッシュに、ワクワクが止まりませんでした。

それではいよいよ結果発表に参りましょう。

第1回「おかしな炊き込みご飯」選手権、栄えあるベストオブ「おかしな炊き込みご飯」に選ばれたのは……

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「揚げニンニクご飯」となりましたー!

食欲を否応なくかき立てるパンチ溢れる風味はもちろんのこと、炊かれた揚げニンニクの食感も面白く、何より「にんにくってこんなに美味なんだー!」ということを改めて体感できる素晴らしい一品となりました。ぜひ皆さんにもマネして欲しい、そしてその美味しさにぶっ飛んで欲しい、そんな一杯です。

一口まぐろ、旨辛唐辛子、しじみのちからも是非炊き込んでみて欲しいですね。アーモンドフィッシュとジャイアントコーンは炊き込まずにそのまま召し上がって下さい(笑)

炊き込みご飯が優秀なのは、ご飯を炊き込みご飯にするだけで「なんかいつもよりちょっと豪華な食卓」に感じられること。それが保存性のよいお菓子やスープの素で出来るんですから、こんなにお手軽なことはありません。なんか一品たりないなーって時に、ぜひ「おかしな炊き込みご飯」のことを思い出してみて下さい。

長くなりましたが今回はこの辺で。最後までお読み頂きましてありがとうございました!

御礼の追記(2021.6.4)

たくさんのスキを頂きありがとうございます!

noteの注目・話題の記事として取り上げて頂いたり、note公式Twitterにて取り上げていただいたりと、皆様におめもじかなっているようで大変嬉しく存じます。

また、デイリーポータルZに投稿してみたところなんと採用!「自由ポータル」にてご紹介もいただきました。

これもひとえに読んで頂いた皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

Twitterではバズったら宣伝!という文化(?)がございますが、せっかくなので改めての自己紹介を。

作家・ライター・名古屋めし料理家として活動しておりますSwindと申します。だいたい名古屋めしのことばかりやっております。

最近では、中日新聞Webにてレシピコラム「名古屋めし料理家Swindのおうち名古屋めしの教科書」という連載を行っていたり、Webマガジン「ナゴヤビト」にて「小倉トースト部」という小倉トーストだけを紹介するコーナーを担当していたりします。

作家としては名古屋を舞台とした小説や漫画原作などを執筆。こちらもだいたい名古屋めしです。

小説のお仕事もレシピのお仕事も、ライティングや公演、メディアのお仕事、アンバサダーやインフルエンサーとしてのお仕事などなど名古屋めしに関するお仕事については幅広く承っております、下記のフォームよりどうぞお気軽にお声がけ下さい。

それではこれからも読者の皆様を腹ペコに出来るよう頑張って参ります!

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