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己の価値観や社会常識を一度「無」にして読むべし。

 以前、新聞で記事を拝読し
『わたしたちの身体はままならない〈障害者のリアルに迫るゼミ〉』
存在は何となくだが頭の片隅にあった。

 すっかり、そのことすら忘れかけた時に
近所の図書館でたまたま目に留まったのがこの本だ。

 私自身も、仕事柄
『ゆりかごから墓場まで』
という年齢層の方たちと携わってきた
介護福祉士・保育士でもある。
 そして、何よりも子どもの頃から医療の
お世話になることが多かった。
そのため、ある意味生きづらさを抱える
当事者の顔も持つ。

【本の内容】

 「様々な生きづらさ」

を持つ

当事者のリアルな現状をつづった内容である。

 話すとネタバレするのでざっくりと
簡単に説明すると、
障がいを持つ当事者の方々が一人の人間として
性の悩みや男女の付き合いの悩みなど
生活の主体者として
どうやって解決しているのか?
 さらに、障がいゆえの特性として
世間の一般常識や価値観では
理解されがたい悩みに対して
どこに助けを求めて、
生き抜いてきたか?
世間と折り合いをつけるために
どういう知恵を持ち合わせているのか

『当事者ならでの視点とロジック』
で語られ

世間の人々に
どのような価値観や視点を持ち
共生を望んでいるのかを
語られている作品である。


 余談だが、私自身も、精神科クリニックで
10代から30代程の患者さんが通う部署で勤務していたことがある。
 そこでは生活技能訓練(SST)の一環で
「ソーシャルスキルトレーニング」というグループワークがある。
当然、これほどの年齢層の患者が集まればこんなこともある

時には、合コンでの設定場面として

「気になる人の電話番後を聞き出すのはどうすればいいのか?」
ガチで
忖度なしに
全力で
直球の質問をぶつけられることもある。

それには、リアル感を出すために
若いナースも一緒に参加してほしい

なんていうオーダーがある時も…

同僚のワーカーも、私も心の中では

「そんなのこっちも知りたいよ!」

と思いながらも、

「これも仕事だ」


と重たい腰をあげ
己のこっぱずかしさと格闘しながら
ロールプレイ形式で行う。

そんな事はワーカー業務をしていれば

日常茶飯事だ。

 己のこっぱずかしさを超えた先に
患者とスタッフの
見えない垣根みたいなものは
徐々であるが薄れ
信頼関係が構築されるわけで
難しくもあり、仕事の手ごたえは大きい。


最後に、この本を読み終えて発見したことは
何か、その時の感覚と似ているということだ。




  

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