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冬の前触れ

指先で撫でた ススキの穂の滑らかさと

目線だけそらして たどたどしく紡ぐ言葉

出かける度に 相反して遠のいていく時間は

なんならもう 他人の手に渡っていて

羅列した 青に生きる鳥の一部にもなれない


ふて腐れていても仕方がないから

冷凍庫にしまっておいた あの冬の心を

ライトアップされた あの冬の想いを

冷蔵庫に移しかえて

ながく甘い 雪解けを待った

急がなくていいように

駆り立てるものが迫って来ないように

ながく甘かった あの冬の解凍を待った


それでも そこから先のふたりは無かった

残っていたのは ただ ぼくの想いだけ

心の感じる部分にだけ

こんなにも痕が残っているのは

ろ布で濾したって すくいきれない

虹を見てしまった 冬の鳥の想いがあるから



まだ あの冬の前触れすら

ぼくは手放せずにいる







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