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[読書メモ] イーロン・マスクの生声

イーロン・マスクの生声

著名な実業家の実際に発せられた発言をピックアップする「生声シリーズ」のひとつ。未来志向の電気自動車「テスラ」や、宇宙開発事業の「スペースX」を立ち上げた実業家であるイーロン・マスクの実際の発言をもとに編集されている。人類を劇的に進化させうる劇薬のような人物という印象だが、人々が新たなステージで生活するために必要なマインドセットや行動規範が垣間見える書籍。

自分の問題点

私の最も大きな問題点は、いままさに修正しようとしているところだが、人の能力ばかり重視して、その人の人格を十分に見ないことだ。(中略)重要なのは、その人が誠実な心を持っているかどうかだ。
The biggest mistake in general that I've made---and I'm trying to correct for that---is to put too much of a weighting on somebody's talent and and not enough on their personality. . . . It actually matters whether somebody has a good heart.

イーロン・マスクの生声|P.99

能力と人格は密接に関係しているが、まれに能力が高くても人格が破綻しているケースがある。経営や事業のトップに立つ人物は、人格よりも能力が超越していることが大優先だから、必ずしも人格が破綻している人が悪いとも言えない。むしろ、人格が破綻しているからこそ突出した能力があるとも言える。
コミュニケーション能力は人格と密接に影響していて、一般的には幅広い年代との共感力のある人や相手の視点で物事を考えられる人は、コミュニケーション能力が高い傾向にある。

最高のアフターサービス

最高のアフターサービスとは、もちろんアフターサービス不要であることです。
The best way to experience service is, of course, not to experience service.

イーロン・マスクの生声|P.111

アフターサービス不要は究極のサービス。極端な例で言えば、故障しないサービスのこと。従ってハードウェアを提供するサービスでは実現が困難だが、ソフトウェアを提供するサービスであれば比較的実現が可能かもしれない。
サブスクリプションサービスをアフターサービス込みのサービスだと考えてしまうと顧客満足度が下がる。サブスクリプションは継続的にサービスを享受する価値に対価が払われるのであって、価値が無いものに対してアフターサービスの対価を求めてはならない。

無理難題を乗り越えた人材を雇う

私が採用面接で尋ねるのは、これまで何の仕事をやってきたか、どのような難題に直面したか、その難題にどう対処したか、重大局面でどう決断を下したか、という質問だ。
I really just ask them to tell me the story of the their career and some of the tougher problems that they have dealt with, how they dealt with those, and how they made decisions at key transition points.

イーロン・マスクの生声|P.144

人が過去の困難に対してどう乗り越えたかという経験を聞くことはとても重要。小さな困難を沢山乗り越えたという経験もあれば、普通の人にはない大きな困難を乗り越えた経験もあるかもしれない。想定していない困難は、乗り越えるための精神力の鍛え方や、その時々の気持ちの割り切り方などを知る上で参考になる。

政府はレフェリーであるべき

経済活動に対する政府の介入を最小限にすべきだという考え方がある。<中略>政府はレフェリーであるべきだと思う。レフェリーが多すぎても問題だが、政府がプレイヤーになってはいけない。

イーロン・マスクの生声|P.240

民間企業の活動を支援・補助する役割としての政府は重要。政府が民間企業の経済活動そのものを行ってしまうと、ルール的にも経済的にも健全なバランスは保てなくなる。
似たような役割の適正の話としては、プレイング・マネージャーがある。必要な時にプレイヤーになれる能力をマネージャーが保持していると役立つことも多いが、常にプレイヤー状態になってしまうと本来のプレイヤーや後継者が育たなくなってしまう。


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