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「ダンス・ダンス・ダンス」

 「ダンス・ダンス・ダンス」は村上春樹さんの作品で自分で書店で買った最初の作品です。これより以前の作品は父親の本棚にあり、それを引っ張り出して読んでいました。「風の歌」から「ノルウェイの森」までの作品はすでに家にありました。僕は自己啓発本やマニュアル本が行動の指標になったことはありません。でも小説の一節がその後の人生に影響していることは多々あります。「ダンス・ダンス・ダンス」はそんな作品です。高校に上がる前の学生なんてまだ脛齧りですが、自分でお金を出して買ったものですから、この作品には思い入れが強いのかもしれません。

 作品全体が「繋がっている」ことを中心に展開していきます。この「繋がっている」が僕のその後に大きな影響を与えました。僕はずっと「繋がり」を探す生き方をしていると思います。作品中では人と人のつながりだと思います。僕の場合はちょっと違うのですが、読んでからは「繋がり」を探す人生が始まりました。

 音楽を聴いていくときも常に「繋がり」を探しています。そのアーチストが影響を受けたもの、カバーしている元の楽曲、時代背景、その時代のトレンド、同時代のアーチスト、ジャンルを超えた接点、挙げていけばきりがありません。離れた点と点が線になる瞬間を探している感じでしょうか。それを見つけた時には更に深掘りしていくことが始まります。今でも「繋がっている」を常に探し求めています。

 考えてみれば、音を「繋ぐ」ことを行うDJ/Selectorになるのは必然だったのかもしれません。「繋がり」を意識して音楽を多方面から捉えていくこともしていますので深掘りすることも当たり前なのです。実にDJ/Selector向きだったのでしょう。僕がバンド等の音楽活動を始める前に読んだ小説でしたが、音楽だけではなく物事の考え方に「繋がっている」が刻み込まれたのでした。

 そして最後に挙げる一節が僕の根底にあるから僕は音楽が流れていて踊ることができる場所を探しているし、自らも作り出しているのかもしれません。

 「オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。」


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