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顧客の声を集めて活かす!尽きる事のないクラウドサービスへの要望対応【SaaSビジネス経験談 #9】

シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!❐」に関わる様々な職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。 今回の筆者は、Synergy!の要望管理の担当者です。貴重なお客様の声を製品に活かすために考えた「要望管理」のプロセスをご紹介します。


 

サービス利用に対する満足度や製品の品質を向上させるためにも、「要望」は重要な情報です。お客様からの声を集め、少なくはない要望にどう向き合っているのか、ポイントを交えて紹介します。


1.製品・サービスへの要望について

サービスを利用する時に、なにがしかの不満を持つことは誰しもあります。「コンビニエンスストアで、混雑時にもっとレジの数が多ければ手早く買い物が済むのに…」あるいは、「夜中に熱が出てしまった時に、薬を買うことができれば便利なのに…」といった具合にです。

クラウドサービスを利用する時も同じで、「画面でデータの一覧を見る時に、文字のサイズや色が見にくい」「操作する時のボタンが見つけにくい」と感じたり、「自分で操作をしなくても、自動でデータをバックアップしてくれたら楽だ」と思ったり、ユーザーは感じた不自由に対して、それが解消・改善されたらうれしいという要望を少なからず持っています。

また、立場によっても要望の姿は変わり、予算を投じて契約を決定する「意思決定者」と、そのサービスを使って対応をする「運用者」ではサービスに対する要望の方向性が異なります。「意思決定者」は、得られる成果の大きさやコスト削減につながる方に意識が行きやすいですが、「運用者」は、作業量の軽減や作業完了がスムーズにいくことの方に意識が行きやすいです。
いわゆるステークホルダーごとに製品やサービスに対する「要望」は変わり、さらに粒度や精度・対応コストの大小・実現可否などの開発に関わる情報は全く整理されていない状態で集まることになります。

2.要望収集

弊社製品は営業担当が契約時に介在し、契約後は電話などによるカスタマーサポートを行っています。そのため、担当者がお客様より直接ご要望をお聞きすることが大半です。お客様と接点のある担当者が要望を知っている状態がベースとしてあり、担当者から開発チームに要望が集まってきます

・どういったお客様が
・どの機能で
・どう困っているのか(可能であれば、背景・課題・目的を添えて)

弊社では、社内担当者向けにWebフォームを用意し上記項目を収集することで、「情報の粒度」や「必要情報」をある程度そろえ、後の情報整理や精査の効率化を実現しています。ざっくりした情報収集に見えますが、「〇〇機能がほしい」という要望の裏にある、「何に困っているのか」という本質的な事を探るための材料を気軽に投稿してもらえるよう、意識しています。また、言葉だけでは説明しづらい場合に対応するため、画像も添付できるようにしています。

要望収集のポイント
・後の情報整理や精査の効率化のために、「情報の粒度」や「必要情報」をある程度そろえる。

 

3.要望の検討

弊社製品は19年目を迎え、それだけの年月、機能追加、改善対応を続けています。しかし、製品・サービスへの要望が途絶えたことはなく、毎月10件以上の要望をいただいています。

これら要望への対応を決定するため、要望会議を毎週実施しています。

【要望検討チームの紹介】
・要望会議運営者 1名
・各機能のプロダクトマネージャー(以下PdM) 4名
・UXデザイナー 1名
・開発リーダー 1名

PdMだけで検討するのではなく、UXデザイナーや開発リーダーも参画し、要望会議の役割を下記の通りとしています。

・要望の本質、課題の見極め
・課題の対応優先度判断
・対応に関する結論の決定

会議の場ですぐに結論が出せないものについては、担当PdMが各チームに持ち帰り、「要望元へのヒアリングや対応方法を検討」→「対応案を要望会議にて提示」→「結論を決定」という流れで、限られた会議時間ですべての要望に結論が出せるように運営しています。要望はためるのではなく、素早く検討が必要と考えて検討プロセスを回しています。

各要望には下記4つの結論から定めるようにしています。すべての要望を精査し、ほとんどの要望にお応えできればベストなのですが、製品開発の方向性と異なるものだったり、実現性や対応コストなどハードルが高かったりと、対応できる要望はどうしても一部になってしまうことも実情です。

・対応予定(短期的に対応する)
・保留(中期的に開発計画の隙間で対応)
・保留(長期的に開発計画に組み込む)
・見送り(今後含めて対応しない)

さらに、要望の背景や課題を明らかにし、担当PdMを中心に対応方法を検討、要望会議で議論して結論を決定するというこの一連のプロセスで得られた情報は、「Notion」というツールを使って一元管理しています。一元管理をすることで、過去要望との関連付けができ、同じ要望がどれくらい集まっているのか、要望に対する対応率はどれくらいかなど、定量評価ができる状態になります。情報を外部のサービスと連携しづらいという課題はありますが、要望を管理するデータベースとして、付随するメモを関連付けた上で管理できるため重宝しています。

検討のポイント
・数ある要望検討を円滑に運営するための体制と管理プロセスを構築する。
・一連のプロセスで得られた情報を一元管理する。

 

4.要望のフィードバック

クラウドサービスの特質上、お客様個別に対応をお約束することはできないですが、いただいた要望はためずに精査・検討を繰り返しています。要望会議で決定した結論は、社内要望元に専用のSlackチャンネルにてお知らせをし、決定理由や経緯を「Notion」のメモで参照できるようにしています。結論だけではなく、どういった経緯で決定されたのかを伝えるようにし、ステークホルダーの製品・サービスに対する納得感や満足度を得られるように努めています

フィードバックのポイント
・結論は理由や経緯を含めて要望元に伝える。

 

5. 改善できたこと、今の課題、今後の展望

実はこのプロセスが運用されてまだ1年もたっていません。プロセスを構築する以前は、年間を通じて実現しなければならない開発計画もある中で、すべての要望の精査・判断をするにも時間・リソースが必要で、要望は参考情報として目を通し可能な範囲で対応する…という状態が長らく続いていました。

要望を検討・搭載していくフローが整備されていなかったため、例えば「説明書きを1文追加してほしい。」という「ささやかな要望」だとしても、対応されないままになる可能性があります。それでは、お客様にとって使いやすいサービスに進化させていくのは難しいと考え、要望管理のプロセスを見直しました。結果、要望に対する精査・対応に漏れが発生しないよう改善することができました。

また、年度の開発計画を上位として、
・対応工数が小さいものや緊急性が高いものだけ速やかに追加対応
・将来的な対応は保留という結論にし、年度の開発計画策定時に織り込むことを検討
という位置付けが明確になったことも、要望対応がスムーズになった効果です。

【今の課題、今後の展望】
上記の通り、場当たり的ではないプロセス化された要望管理ができるようになりましたが、要望管理プロセスが社内担当者に浸透しきっていないという課題もあります。より、結論に対する納得感や満足度を得るために、引き続き社内啓蒙を続けていきたいと思います。さらに、保留扱いになった要望のアップデートや、要望情報を質的に分類・分析をすることで、情報を開発計画策定時に活用しやすく「より価値のあるもの」に高めていけると信じています。

最後に。
過去、さまざまな「要望管理」を検討してきましたが、楽にさばく方法は無いと思っています。製品開発に関わっているメンバーが流れ作業になってしまわない、かつ省コストで一つ一つの要望と向き合う事以外に解決方法はないでしょう。つまり、尽きる事のないクラウドサービスへの要望対応が終わることはありません。


いかがでしたでしょうか?
私たちの経験がみなさまのビジネスのお役にたてれば幸いです。

【SaaSビジネス経験談】では、今後、下記の記事を公開予定です!気になる記事がございましたら、ぜひ「シナマケのプロダクト」をフォローして、公開通知をお受け取りください。

 

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