若早称平

小説を書いています。最近はブログ的なことも始めました。WEBライター一年生です。 かま…

若早称平

小説を書いています。最近はブログ的なことも始めました。WEBライター一年生です。 かまってくれたら嬉しいです。スキやフォローは本当にモチベーションが上がります。 どうぞよろしくお願いします。

最近の記事

読書感想文「ヨモツイクサ」

 ホラーミステリーでした。怖いというより、気持ち悪いというか、おぞましかったです。別バージョンの表紙でやたらキラキラしたホログラムみたいなパターンのを書店で見かけたのですが、読んでから思い返したらなんて悪趣味な表紙を作るんだろうと(褒め言葉です) あらすじ  7年前に家族が神隠しに遭い事件の真相を探し続ける女医の佐原茜が主人公。怪物が棲むと伝えられ、地元の人間は決して近寄らない『黄泉の森』のリゾート開発作業員が惨殺された事件をきっかけに茜は黄泉の森に足を踏み入れていく。

    • 読書感想文「三体Ⅱ暗黒森林(下)」

       前作から約200年後に目覚めたルオジー&シーチアンとそのテクノロジーの進化、人類の変わった所と変わらない所に触れるパートと宇宙軍の戦いを描いた下巻。 あらすじ  200年の冬眠から目覚めると、想像していた以上に進化したテクノロジーにより、三体世界の侵略はもはや脅威ではなく、地球には楽勝ムードが漂っていた。しかし、ラオジーは謎の勢力から命を狙われ続ける。一方、宇宙戦艦「自然選択」の艦長代行になった章北海は三体世界からの先行勢力「水滴」との邂逅の前に独断で戦線離脱を図る。

      • 読書感想文「三体Ⅱ 暗黒森林(上)

         三体の二巻目。まさかの一巻の登場人物はほぼほぼ出てこないし、ストーリーの舞台も中国を飛び出してほぼ地球全体にスケールアップしました。骨太SFらしく物理用語が連発で、どこまでが実際ある技術でどこからがフィクションなのかわかんなくなりましたが、多分そんなこと考えなくてもいいんだろうなと思います。 あらすじ  三体世界からの侵攻と智子による監視が始まった地球は対策として国連直下の組織地球防衛軍を設立し、未来の宇宙軍のベース作りを始めるとともに、防衛戦略のため面壁計画を実施する

        • 読書感想文「三体」

           最初がどうしようもなく面白くなくて、途中で読むのをやめようかと思ったくらいだったけど、結果めちゃくちゃ面白かったです。  中国で大ヒット、アジア初のヒューゴー賞受賞、最近ネットフリックスでドラマが始まると話題だらけだけど、読んだよっていう人にあったことない小説No. 1の作品。  全三部の一作目。突然視界にカウントダウンが見えるようになったナノマテリアル研究者のワンミャオがその原因を探るうちに謎のVRゲーム『三体』に辿り着く現代の話と、文化革命で父を殺されたウェンジエが謎

        読書感想文「ヨモツイクサ」

          読書感想文「スワン」

           去年話題になった「爆弾」でお馴染みの呉勝浩さんの作品。重かったです。だいぶ考えさせられる内容のミステリでした。 あらすじ  ある日巨大ショッピングモール「スワン」で二人の犯人による無差別殺人事件が起きた。自作の銃と日本刀が使われて21人の死者を出した。自害した犯人たちに代わって責められたのは、対応の遅れた警察、客よりも先に逃げた警備員、そして犯人に脅されて殺す順番を決めたという女子高生いずみだった。  事件から半年が過ぎた頃、被害者の一人で大企業の社長の母である菊代の代

          読書感想文「スワン」

          読書感想文「君が手にするはずだった黄金について」

           著者の直木賞受賞後一作目。自身をモデルにした小説家を主人公にした連作短編集。  面白かったです。さすが本屋大賞候補は伊達じゃないと思いました。 1プロローグ  就職活動するにあたって記入しようとしたエントリーシートで「あなたの人生を円グラフで表現してください」という問いでつまずいた主人公。  哲学専攻の主人公が面倒臭すぎてあーあーまたこのタイプか。と思ってしまいました。 2三月十日  同窓会で話題になった「震災の日何してたか」というよくある話の後でふとその前日は何をして

          読書感想文「君が手にするはずだった黄金について」

          読書感想文「肉を脱ぐ」

           会社の人事部で働く佐藤慶子は柳佳夜というペンネームで小説を書いている。とはいえ一度文芸誌に載っただけなのだが。  自身の身体に嫌悪感を抱き、性欲、食欲などの生命活動にも冷ややかな彼女は自分の存在価値をネット上に探すようにエゴサを繰り返すが、芥川賞候補になる友人とは違って誰も自分のことを話題にすることはない。  ある日いつも通りエゴサをすると、同姓同名のVチューバーが見つかる。登録者も少なく、白々しい設定だったので無視していたのだが、二作目の小説が掲載される頃にはまもなく登録

          読書感想文「肉を脱ぐ」

          読書感想文「対怪異アンドロイド開発研究室」

          タイトルと設定だけで絶対面白いじゃん!ってなりました。 心霊スポットや怪談の舞台となった場所に超高性能アンドロイドを調査に向かわせる大学の研究室。人間が近づけない極地の活動にロボットを使うように恐怖心を持たず、様々なモニターと「怪異検出AI」を搭載したアンドロイド、「アリス」と研究室メンバーの活躍を描く連作短編集。 怖いといえば怖かったけど、それよりは怪談や怪異を新しい切り口で攻めたのが面白かったという印象でした。寝る前にベッドライトで読んでたらしっかり怖かったけど。回収さ

          読書感想文「対怪異アンドロイド開発研究室」

          読書感想文「両手にトカレフ」

           タイトルとカバーとあらすじを見て、ヤンキー少女の痛快ストーリーかと思ってたんですけど、全然違いました。そもそも日本が舞台じゃなかった。  イギリスの底辺層が暮らす団地の中学生ミアはドラッグとアルコール依存症の母と、不安定でパニックを起こしがちの弟チャーリーと三人家族。ある日、居場所を求めて入った図書館で一冊の本と出会う。大正時代の日本のアナキスト金子文子の自伝だった。自分と同じような、過酷な境遇のフミコに共感し、その本を読むことだけが楽しみになる。と同時に文章を書くという

          読書感想文「両手にトカレフ」

          読書感想文「あわのまにまに」

           一つの家族を2029年から10年ごとに遡ってそのルーツが次第に明らかになっていく人間ドラマみたいな話を聞いて読んでみたんだけど、読んでみたら全然嫌ミス要素満載じゃないですか。  とはいえ、家族といえども秘密はあったり、父母や祖父母にも若かりし日もあるという当たり前のことに気付かされるような作品でした。 とりあえずこの作品の相関図が見たいですね。 2029年 夏休み、小学生の木綿は母のいのり誘われて亡くなった祖母の家の片付けをする。変わった外観の家で、中はゴミ屋敷となってい

          読書感想文「あわのまにまに」

          読書感想文「嫌いなら呼ぶなよ」

           圧倒的共感の嵐でした。多分嫌われ者をテーマにした短編集。周囲から浮いてるかもとか嫌われてるかもと思ってる人は全員読んだ方がいいんじゃないかと思います。 1眼帯のミニーマウス ロリータファッションに身と包んだ少女時代を経て、社会に出てから整形を始めた主人公が、周りの社員たちに陰口を叩かれる。 特に印象に残ったのがこの主人公が高校時代にロリータファッションで原宿を歩いていた時の話。 同じような格好で歩いていた子に 「私たちこんな格好が許されるのも二十歳までだよね」 と言われて

          読書感想文「嫌いなら呼ぶなよ」

          読書感想文「ファラオの密室」

          2023年のこのミス大賞受賞作。 古代エジプトを舞台としたミステリで、密室のピラミッドからファラオのミイラが消えた事件を、一度死んで生き返ったミイラが推理する。 本当に面白いんかい!って読む前からちょっと不安だったんだけど、結果面白かったです。でも思ってたようなミステリとしての面白さではなくて、どちらかというとアドベンチャー系の面白さでした。映画のドラえもんみたいな面白さというのが自分的にしっくりくる感じです。 死んだ人間が生き返ったり、神々がいるのが当たり前だったりする

          読書感想文「ファラオの密室」

          読書感想文「嘘つきなふたり」

           幼い頃から母親の言いなりの人生を歩んできた朝日光。東大の赤門で小学生の頃の友達である長谷川琴葉と偶然再開する。冷めた性格であまり乗り気ではなかったが、遊びに行く約束を取り付ける。  夕飯を食べていると先日の同窓会で連絡先を交換していた美帆から元担任の中山先生が橋から転落して死んだと言う連絡が入る。それを琴葉に伝えると、「私が中山先生を殺したの」と告白された。琴葉が転校してしまったため一緒に行けなかった修学旅行をやり直そうと誘われる。逃避行という名目も兼ねて、二人は京都へと

          読書感想文「嘘つきなふたり」

          読書感想文「成瀬は信じた道をいく」

           安定の面白さでした。なんなら前作を超えてるまでありました。  成長した成瀬の周辺の人物からの視点で描く連作短編5編。 1ときめきっ子タイム  ときめき小学校に通う成瀬ガチ勢の女の子が、地元のときめく人について調べる課題で成瀬のことを取り上げようとする。下校時に偶然成瀬に遭遇した彼女は休日にインタビューにこぎつける。「大事なのは何になりたいか、よりも何をしたいかということだ」というのは学生の時に出会いたかった言葉ですね。 2成瀬慶彦の憂鬱  成瀬の父親が語り手。京大受験へ

          読書感想文「成瀬は信じた道をいく」

          読書感想文「エレファントヘッド」

          「謎もトリックも展開も全てネタバレ厳禁」と言う帯コメントがあったけど、ネタバラシの技量がないと全然伝わらないくらいカオスで難解で読んだことないタイプの作品でした。  噂に聞いてた通りだいぶエログロでした。実写化されても見たくないかなぁと思います。苦手なので。  伏線回収大好き人間は後半よだれが止まらないんじゃないかと思います。 どんだけの頭の良さなんでしょうね、白井先生。もはや想像もつかないくらい圧巻でした。

          読書感想文「エレファントヘッド」

          読書感想文「みんな蛍を殺したかった」

           スクールカーストがしっかりした女子高が舞台。カースト底辺のオタク三人がそれぞれオタク活動をする生物部にある日二次元から出てきたような美少女、蛍が入部してくる。三人は始めのうちこそ警戒心を持って接していたが、だんだんと蛍に心を許していく。そんな中、蛍の18歳の誕生日に彼女は急行電車に飛び込んで自殺してしまう。手元の携帯電話には、「永遠の親友へ 私を殺してくれてありがとう」という未送信のメールがあった。  大変しっかりした嫌ミスでした。嫌だったぁ。でも面白かったです。ただオタ

          読書感想文「みんな蛍を殺したかった」