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レポート④【音楽でシリアを旅しよう!】

こんにちは!運営スタッフの木元 花です。

国際音楽ユニットChal Chalのお2人をゲストにお迎えして、8月29日(土)に開催された「音楽でシリアを旅しよう!」のイベントレポートをお届けします。

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①ゲスト・司会・会場

【ゲスト:Chal Chal】

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ウード兼ボーカルの荻野仁子さんと、ギター兼ボーカルのYATCH(相沢恭行)さんのお2人で構成された、アラブ音楽を日本語でも歌う国際音楽ユニットです。演奏とご自身の体験を通じて、アラブ世界の魅力的な文化をより多くの人に伝えたいとおっしゃっていたのが印象的でした。

【ゲスト:Safwat Saabさん】
日本在住のシリア人で、アラビア語講師としてご活躍される傍ら、Chal Chalの楽曲にアラビア語翻訳者としても携わっていらっしゃいます。

【司会:佐藤真紀さん】

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佐藤さんはフリーランスの国際協力アドバイザーやデザイナーとしてご活躍されている一方、「格差社会に置かれる個人をどう救うか」をテーマに、シリア和平ネットワークとTeam Bekoも主催されています。

【会場:The Ancient World】

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レバノンをはじめとした中近東のワインや食品を取り扱うお店です。なお、8月30日(月)まで「レバノン緊急支援キャンペーン」が開催されています。荻窪近辺にお住まいの方は店頭で、遠方の方はサイトにて是非チェックしてください!

②シリアでよく聞かれている音楽

【イラク民謡「ナツメヤシの樹の上で」演奏・解説】

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Chal Chalの代表曲であり、イラク民謡として有名な「ナツメヤシの樹の上で」は、現在の国境線がひかれる以前からメソポタミア文明が栄えた地域で愛され続けています。ところが、歌詞のアラビア語の音節をどこで区切るかによって意味が変わるので、ある人は「ナツメヤシをモチーフにした届かぬ恋についての歌である」と言い、またある人は「ナツメヤシではなく、亡くなった友人を思った歌である」と言うそうです。しかし、だからこそ歌詞について議論が深まるとともに、それぞれにとって思い入れのある曲になっているのだと感じました。

ちなみに、ナツメヤシって何だかご存知ですか?日本ではデーツという名称でも広く知られているドライフルーツで、中近東では「生命の木」とも言われているそうです。なかなか馴染みのない方でも、オタフクソースの隠し味に使われていると知ったら、一気に親近感が湧くのではないでしょうか?

【ウードの紹介】

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ウードはアラブ音楽には欠かせない弦楽器で、Chal Chalでは荻野さんが担当されています。その歴史は古く、なんと紀元前より演奏されていたそうです。やがて、ササン朝ペルシア時代にシルクロードを経て日本に伝わって琵琶の元になり、ルネッサンス期にはヨーロッパに伝わりギター元になったと言われています。また、英語 "wood" の語源になったという説があることからも、ウードが非常に広い範囲に伝わったことが伺い知れます。遠く離れた日本に住む私にとっても、どこか馴染みのある音色であったことが納得できました。

【アラブの歌姫Fairouz】

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レバノン出身の歌手であるFairouzは、国家や宗教という垣根を超えて、アラブ全土で愛され続けています。彼女の特徴は「分厚いベルベット」に例えられる美声と、アラブとヨーロッパの要素を織り交ぜた楽曲にあるそうです。また、レバノン出身にも関わらずエルサレムやバグダードといった地名を歌う姿を通じて、多くの人が郷愁を感じているといいます。今回はそんな彼女の楽曲の中から、「年に1度でもいいから私を訪れて」という気持ちを歌った「Zourouni」をアラビア語と日本語で披露してくださいました。

③現在のシリア

【20世紀アラブの代表的な楽曲の演奏】

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シリアの音楽家であるFarid al-Atrashの「Touta」と、同じくシリアの音楽家であるAsmahanの「Ya habibi taala」の2曲を披露していただきました。Chal Chalのお2人による演奏中は、The Ancient Worldのオーナーである田村公祐さんが撮影されたシリアでの写真の数々が流されました。家にいながらも目と耳でシリアの魅力を感じたとともに、シリアに行きたい気持ちがさらに高まりました。

【Kulna Sawa「Everyday I Say」の紹介・演奏】

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シリアのバンドKulna Sawaの「Everyday I Sayは、メロディーが非常に素敵な楽曲ですが、イラク戦争に伴ってシリアに流入したイラク難民の姿を描いたものだそうです。ところが、数年の間でこの歌詞が、シリア難民の姿を描き出していると言える状況になってしまいました。Chal Chalのお2人が奏でる美しいメロディーに聞き入りつつも、歌詞の意味を噛み締めたひとときでした。

④YATCHさんとシリア

YATCHさんは音楽を通じて、シリアの人々と度々交流されています。なかでも印象的だったのは、ヨルダンのシリア難民家庭を訪問して日本の唱歌「ふるさと」を披露された時のお話です。言葉が分からないのにも関わらず涙する姿を伺い、故郷を思う気持ちはどこでも同じであることを実感したとともに、音楽の持つ無限の力を知りました。これを機に、YATCHさんは日本語の歌をアラビア語でも歌いたいと思い、Safwat Saabさんにアラビア語訳を依頼されて、今では日本語とアラビア語で歌われています。

⑤演目一覧

イラク民謡「ナツメヤシの樹の上で」
アラブ・アンダルース「Lama Bada Yatathana」
Fairouz「Zourouni」
Farid al-Atrash「Touta」
Asmahan「Ya habibi taala」
Kulna Sawa「Everyday I Say」
・唱歌「ふるさと」アラビア語訳バージョン
Talaat Ya Mahla Nourha(水牛の歌)

どの曲も素敵なので、是非聞いてみてください!

最後に、司会の佐藤真紀さんがヨルダンの難民キャンプで撮影された動画をご紹介します。シリア難民が奏でるリズムをお楽しみください。コーヒーを挽きながらリズムを取る彼らには悲壮感がありません。音楽はどのような人生でも豊かにするものであることを改めて感じました。


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読んでいただきありがとうございました!
今回のスタディーツアーが皆さまにとって、シリアの美しい文化を知るきっかけとなっていたら大変嬉しいです。

「動画で見たい!」という方は、下記からチケットをご購入いただければ、見逃し配信もご覧いただけます。

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次回は9月4日(金)【絶品!シリア料理+アレッポ石鹸工場見学ツアー】です。
皆さまのご参加、お待ちしております!

運営スタッフ 木元 花

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