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「読書感想文」

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図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。
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記事一覧

【読書感想文】黄色いマンション 黒い猫

なんてったってアイドルで、俳優で、舞台プロデューサーで、そして執筆のお仕事もする、キョン…

藤本 柊
2日前
30

【読書感想文】螢・納屋を焼く・その他の短編

村上春樹さんの初期のころの短編集です。 夕方まで一緒にビリヤードをしていた友人が、その夜…

藤本 柊
3か月前
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【読書感想文】シェニール織とか黄肉のメロンとか

江國さんの描く女性だなぁ、と胸を踊らせながら読みました。 立場も考え方も性格も違う、「三…

藤本 柊
3か月前
25

【読書感想文】すみれ荘ファミリア

本屋大賞受賞作家、凪良ゆうさんの加筆修正と、「表面張力」という短編が収録された一冊です。…

藤本 柊
5か月前
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【読書感想文】家と庭と犬とねこ

石井桃子さんのエッセイ集です。 私の好きな作家、江國香織さんは石井桃子さんが好きで、エッ…

藤本 柊
5か月前
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【読書感想文】晴れ、時々くらげを呼ぶ

鯨井あめさんのデビュー作です。 装丁の綺麗な写真と「くらげ」、がとても気になって手に取っ…

藤本 柊
6か月前
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【読書感想文】泣かない子供

江國香織さんが、24歳から32歳ころ8年越しで書かれたエッセイです。 彼女の「言葉」に対する、あるいは「小説」に対する態度や考え方が、素直に綴られていて、彼女の作品を読んだことのある方は、とてもつじつまが合うのだと思います。 私は終始「うんうん」と頷きながら読んでいました。 彼女の小説の登場人物には、彼女自身のエッセンスがどこかしら入っていて、けれどもそれは彼女自身では勿論ないのだけれど。 それは彼女がかつて感じた記憶や、見る角度、五感に基づく言葉で表現されるのだから、

[読書感想文]ROW&ROW

村山由佳さんの恋愛長編小説です。 主人公は43歳、広告代理店に勤めるデキる女涼子。夫は3つ…

藤本 柊
7か月前
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「星の王子さま」と私。

私は大人になってしまった。 10代の頃この本を読んで、心に熱いものが灯ったのを憶えている。…

藤本 柊
7か月前
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[読書感想文]ひとり暮らし

詩人 谷川俊太郎 さんのエッセイです。 私の中の「谷川俊太郎」という作家のイメージは、こど…

藤本 柊
8か月前
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【読書感想文】妻を帽子とまちがえた男

脳神経科医のオリヴァー・サックス博士の医学エッセイです。 きわめて特殊な視覚的失認症の例…

藤本 柊
9か月前
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「読書感想文」神様のビオトープ

「流浪の月」「汝、星のごとく」など、本屋大賞を受賞された凪良ゆうさんの「原点」とも言われ…

藤本 柊
10か月前
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「読書感想文」 古都

昭和三十七年六月、新潮社より刊行された、川端康成の作品である。 ノーベル文学賞受賞の、対…

藤本 柊
11か月前
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「読書感想文」犬とハモニカ

江國香織さんの川端康成文学賞 受賞作です。 たとえば、パスタを出すお店ならば「ペペロンチーノ」を食べれば、その店の実力がわかる、とでもいうくらいの、野蛮に強引な言い方をしてしまうとしたら。 この短編集は、その「ペペロンチーノ」だと思う。 江國香織さんの感覚や、言葉運びや、遊びや切なさの度合いという、基本的なセンス。 それが要所にちりばめられた、これを読めばおそらく、江國香織という作家のベーシックな語り口が垣間見れるのではないだろうか、と思うのだ。 私は定期的にそれに触