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とっぷりと、冬。

雪が。

吹雪いて、あれよと白くしていく。
道に轍、ギアをLow、トロトロと続く。

信号機は縦。

道に流雪溝。

雪国の雪は、当たり前に積もっていく。

冬用タイヤを確認されて、
「お気を付けて」
と見送られる。
この寒空に作業員の笑顔が温かい。

雪が音を吸い込んで、閉じ込める。

パーキングの手洗いはお湯で。

クククッと踏みしめる雪。
缶コーヒーの缶の熱さ。
袖に手を入れて、啜るように飲む。

「あんまっ」
微糖の甘さが心を解かす。

とっぷりと冬で、
白銀に分厚く閉じ込められても、
車内はあたたかで
ゆっくりと穏やかに進む。

トンネルをこえるごとに
クリスマスケーキみたいな白い木々。
メルヘンでファンタジックな雪道。

ゆっくり行こう。

寄り道をして、ラーメンを食べよう。
シンプルで、温かいやつ。

                                          そう、ちょうどこんなやつ。

雪景色を観ながら食べるラーメンが、
スキー場で食べるそれみたいで、
そういえば、海の家でもラーメンだなとか、
ロケーションは真逆なのに
こういうシンプルなラーメンは
裏切らないよなとか思いながら、
支那竹を齧る。

雪景色は次第に、裸木の山々になり、
標識を追うごとに、現実味を増して。

長距離運転の疲れと、
帰宅の安堵が、容赦なく流れ込む。

微糖の缶コーヒーはすっかり冷めて、
「おかえり」
と、こたつから生えた家族が待っていた。

ナァーーー… とまとわりつくおまえも。

「ただいまぁ」

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