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木曜日の朝に。 36朝

「おはようございます。」

新しい木曜日。
隣で寝息をたてる長女の寝顔を横目に、もっさんもっさんでようやく起き出す。
白湯をトポトポと注ぎ、レモンと塩ひとつまみ。ふーふーと啜る。
年越しから昨日まで、実家で大勢で過ごしていたから、久々のわが家の、いつもどおりが静かで心地よい。
そう、「いつもどおり」が。

       
「1日にバイト入ってなかったから
    1日に帰るね」

と、2日に帰省する予定だった長女は一人、高速道路を運転して予定より一日早く帰ってくることにして、

「あと1時間くらいで着くよ」

というLINEを、私たちも元日の「初売り」へ出かけていた先で受け、
「きっと同時くらいに家に着くね」
と、返事をして、義兄の運転する10人乗りのハイエースで帰路についた。


あの不穏で衝撃的なアラーム音は、そんな、それぞれの車内で鳴り響いた。

走行中大きく揺れを感じることはなかったけれど、この辺りもかなり揺れたという。

ちょうど私たちが着くほんの少し前に帰宅した長女は、玄関前でうずくまり、私たちの顔を見るやいなや、ぶあっと号泣した。
私も、身体を擦りながら心から安堵した。

「よかった」
「怖かった…」
「うん、怖かったよね…怖かった」
「よかった」


〝能登半島地震〟と名前のついた大災害は、長女の暮らす街も大きく揺らし、彼氏も友達も突然の大きな恐怖に晒され、一晩中車で過ごしたり、避難先の体育館にいたり、安否を確認しては、ひとまず胸を撫で下ろすような夜を過ごした。

長女のバイト先では、グラスが大量に割れ、生きた心地がしなかったと仲間が被害の大きさと怖さを伝えていた。

もしも、バイトのシフトが入っていたら。
もしも、帰省が予定どおり2日だったら。
もしも、あと1時間出発するのが遅ければ。
もしも、新幹線で帰っていたら。

長女が無事に帰省してきたことの奇跡は、一つでもズレていればかなわなかったこと。次々に更新されていく被害の情報を目にする度に、安堵と恐怖が波となって押し寄せる。
(長女のあの部屋の状態はまだわからない)

今もなお、現地は揺れが続いている。

一昨年前、旅行へ行った時、能登は自然豊かで、のどかで穏やかなところだった。すぐ近くに海で、そして山で、古い家屋もたくさん残る、あのノスタルジックな景色。太平洋の海とは違う、深く冷たく澄んだ青と深い緑。
   
                 
                 どうか、もうこれ以上…。

ナォーーン!

と張り切って走り回るのは、度々お留守番をさせられていた猫で。毛をぼわぼわにおっ立てて、走る走る駆け登る。
元気で何より。

そう、元気が何より。
2日には、姉たちも実家に帰省してきて、久々にみんなで(姪っ子の1人は仕事だったけれど)顔を合わせることができた。UNOをしたり、ONOをしたり、ババ抜きをして、大人も子どもも大人子どもも、にぎやかに和やかに過ごした。お酒もたくさん飲んだ。

そうしていなければ、不安に飲み込まれてしまいそうで、それは、これから生きていくには、とても必要で大切な時間だったと思う。 
1人ではいられない。
情報も必要だけれど、
入れすぎれば心身を飲み込んでいく。

心配は、元気な人ができること。
案ずる大切な人ができてしまえば、案ずることができるくらいには、パワフルでいないといけない、のだけれど。一人一人のパワーはやっぱりそこまで強くはないのだから、すり減ってしまわないように、 情報との向き合い方には、気をつけていないといけない。

お豆腐とネギと油揚げのシンプルな具に、合わせ味噌を根気よく溶いて、湯気が香る。

午後部活の次女が、ティガーのヘアターバンをしたまま起きてきて、血圧を測り終えた夫(今朝は2回)がペラ〜ッと新聞をめくる。

風邪気味な長女と、がっつり冬休みな三女はまだ寝ていて、一杯目の洗濯機が平和な電子音でピーピーッと呼んで。 

そんな、今朝はこの曲を♪

𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧

昨日、家族そろって初詣へ行った。
帰り道の踏切で、地方鉄道の一両編成のかわいらしい電車が通っていった。

                                    明知鉄道。赤の電車かわいい。

おみくじは「小吉」で、なんだか小さな幸せを集めていく一年になりそうで、さっそくの小さな列車に、少し嬉しかった。
交通安全と厄除けの御守りも買った。
きっと大丈夫。


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年末年始、心があまりにも落ち着きがなく、
文字を追うにも内容がちっとも入ってこず、
綴るには散漫過ぎて、本日 書き初めです。

本年もどうぞ、よろしくお願いいたします☺️










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