スタメン

プレミアリーグ18-19 11節アーセナル対リバプール

さて、今回は先週末に行われたビッグマッチアーセナル対リバプールをお届けします。
プレミアリーグは少し前まではビッグ4と呼ばれる4つの強豪クラブ(マンチェスターU・チェルシー・リバプール・アーセナル)が上位争いをしていたのですが、ここ数年で上位争いをするクラブが6チームに増え(マンチェスターC・トッテナムを加えた)、ビッグ6がチャンピオンズリーグ出場権争い(上位4チーム)・優勝争いを繰り広げるようになりました。

そんな中でもビッグ4時代から上位争いを演じてきた両チームですが、
アーセナルは長年指揮を執ってきたベンゲル監督がチームを去り、
昨シーズンにパリSGをリーグ優勝に導いたエメリ監督が今シーズンから監督に就任するという大きな変化がありました。
アーセナルは今シーズン開幕早々にビッグ6のうちの2チームと連戦で連敗スタートとなりましたが、その後はリーグ戦7勝1分と結果を残してきています。
対するリバプールは開幕から好調を維持し、ここまでリーグ戦無敗(8勝2分)。好調チーム同士の対戦ということで注目度の高い一戦となりました。


●●前半
●スタメン
まずはスタメンから。
リバプールはケイタとヘンダーソンが欠場となりました。
アーセナルはグエンドゥジとソクラティスが欠場。
また、ベジェリンも欠場かと言われていましたが間に合ったようです。

ゲームの話にはいっていきます。
非常にインテンシティが高く、両チームともハイプレスを仕掛ける試合の立ち上がりでした。

●リバプールのボール保持時①


アーセナルはボール非保持は4-4-2となるため、
リバプールは左SBロバートソンがDFラインに残るかIHミルナーが1列降りる形で相手の2に対して数的有利を作ろうとします。
ですが、アーセナルは図のように残ったロバートソンに対して右SHムリタリアンを当ててきて数的同数を作ってきました。
尚且つ左SHオーバメヤンがリバプール右SBアーノルドへのコースを切っていた為、前にボールをつけることが出来ませんでした。
その為にロングボールが多くなったリバプールですが、右WGサラーにボールを集めることでアタッキングゾーンへの侵入に成功していました。

●リバプールのボール保持時②

こちらも①と同様にロングボールになるんですが、3トップの動きに注目してください。
この場面では、リバプールCBゴメスがボールを持っているところからスタート。CFフィルミーノは中盤ラインの位置まで下がってきています。
そして、右SBアーノルドは右WGの位置・右WGサラーはCFの位置へとスライドさせています。
ゴメスからアーノルドへとロングボールが入ると、アーセナルDFは左にスライドします。その時にサラーもボールサイドへと寄っていくことでアーセナルCBホールディングを引き連れていくことができます。
ボールを受けたアーノルドは戻ってきたオーバメヤンとコラシナツで挟まれるところを交わしたところでフィルミーノの位置を確認すると最前線まで駆け上がっていました。
フィルミーノはアーセナルCB間の距離が開いたスペースへと侵入し、ワンタッチでシュート。惜しくもバーに当たりゴールに至りませんでしたが前半のビッグチャンスとなりました。
(バーの跳ね返りをマネが押し込みましたがオフサイドの判定でノーゴール)
この場面で、アーセナルCB間にスペースが出来た理由としては、
1つはサラーがサイドへと引き連れていったこと。もう1つはマネがもう1人のCBをピン止めしていたことでスペースを開けることに成功しました。


●アーセナルのボール保持時①

アーセナルはCHジャカがDFライン近くに下がるか2CB+2CHの4人でのビルドアップを行いました。
両CBが開くと両CHが間に入ったり、左SBの位置付近にCHジャカが落ちてCHルーカストレイラが真ん中付近に位置するなど。
ボール非保持のリバプールは両WGが相手SBへのコースを切るようにプレスをかけてきます。

アーセナルCBホールディングからビルドアップがスタートする場面。
①で20ムスタフィがボールを持つとリバプール10マネがベジェリンへのコースを切ろうと移動をしてくるので、②で2ベジェリンへと素早くパスをつなぎます。
ベジェリンにボールが通った場合はマネが追いかけるのではなく、IHミルナーが飛び出してあたりに来るのがリバプールのボール非保持のやり方なので
赤線のようにアンカーとの距離が空いてしまいます。
右SHムリタリアン付近にスペースが大きく出来るため、ムヒタリアン→トレイラと繋いで前進します。
その後、リバプール中盤ラインがスライドしてきた脇でエジルが受けてアタッキングゾーンへの侵入を成功していました。

●アーセナルボール保持時②

こちらも①と同じような形ですが、SBにボールを入れることでリバプールの中盤ラインをスライドさせてスペースを作る形です。
図ではトップ下のエジルにボールを入れたシーンでしたが、サラーがアンカー脇を消した場合はジャカに戻して中盤とDFラインの間or裏のスペースへと縦パスを入れるなどしてリバプールDFの攻略を計っていました。

アーセナルのビルドアップはリバプールWGとIHの動きを利用して出来るスペースを効果的に使うことでアタッキングゾーンへの侵入を成功させていました。

前半は両チームともに決定機を作りましたが、スコアレスで折り返します。
アーセナルがリバプールDFを交わしてボールを持つ時間が長い前半でしたが、リバプールもセットプレーとロングボールからやり返していたので、ゴールが入ってもおかしくない展開でした。
主導権がよく入れ替わる試合でしたので見ていて非常に面白く、
解説で渡邊一平さんも仰ってましたが90分持つのかってレベルのプレー強度で前半の45分間があっという間でした。
後半に向けて、リバプールは中盤の3人のところで生まれるスペースをどのように消していくのか(修正するのか)。アーセナルはリバプールへの対策はしっかりされていましたがゴールを取ることが出来ず。前半でゴールを奪えなかったのは痛かったですね。クロップはきっとアーセナルの対策に対して策を講じてくるでしょうから。クロップの修正に対してのエメリのリアクションはどうなのか。それぞれの監督の動きに注目して後半を観ていきます。

●●後半

後半開始からリバプールはフォーメーションを4-2-3-1に変更してきました。
サラーをトップに上げてフィルミーノをトップ下。左SHマネ、右SHミルナーでCHにワイナルドゥムとファビーニョを並べる形。

後半もアーセナルの数的同数プレスに対してリバプールはGKを使うがそこにもプレスが来ます。ワイナルドゥムが下りてきてもジャカが付いてくる。といった具合に後ろから蹴らされる流れが続きます。中盤に縦パスを入れてもそこで潰されてショートカウンターをくらってしまうので、前線に蹴ったほうがピンチは減りチャンスはまだ広がります。
後半最初の15分はアーセナルが優位に試合を進めていましたが、先制ゴールはリバプールでした。

●リバプールの先制ゴール


アーセナルが一度自陣側に引いたことで序盤ほどのプレッシャーに晒されずにボールが持てる状態のリバプール。
この場面だと、CBファンダイクがボールを持っているところからスタート。
①リバプール左SHマネが前線から降りてくる動きを見せます。それについていくアーセナル右SBベジェリン。
②ファンダイク→ロバートソンとボールが繋がったところでマネが切り返して前線に猛ダッシュ。
③ベジェリンがついてきたことでスペースが出来ており、マネのダッシュに合わせてロバートソンから縦パスが入りニアゾーンへと侵入。
その後クロスはGKにはじかれるものの、こぼれ球をミルナーが押し込み先制となりました。
チーム戦術というよりはマネのフィジカルを活かした形ではありましたが、後半15分にリバプールが先制しました。
それにしてもマネのスピードはエグかったですね。

●アーセナルチャンス

リバプールに先制された直後の後半17分のシーンです。
アーセナルは一度左サイドに相手を寄せてから16→10→11とダイレクトで素早く展開します。
この11番トレイラにボールが入ったところで、
①7番ムヒタリアンが1列降りてきます。相手の10番マネが2番ベジェリンに寄ったので3番ファビーニョとの距離が開き、そこに降りられました。
②11番トレイラは7番ムヒタリアンとのワンツーでライン間に侵入。
③14番オーバメヤン・9番ラカゼットが開き気味に走り出してリバプールCBが開いたことで11番はフリーでシュートを打つことが出来ました。
※図は大げさに書いてます。実際はここまで開いてません。
アリソンがセーブしてチャンスにはならなかったのですが。

失点直後にチャンスを作ったアーセナルは、67分にムヒタリアン→イウォビ。72分にオーバメヤン→ラムジーと選手交代を行いましたが、
ゴールからしばらくはリバプールが主導権を握ります。前半同様にカウンターとセットプレーからチャンスを生み出してはいましたがゴールに繋がることはありませんでした。

80分にコラシナツ→ウェルベックの交代をして攻撃的な交代でゴールを狙うアーセナル。イウォビは左SB?ややスタート位置が低いところに位置していました。
82分にそのイウォビのパスからラカゼットがゴールを決めて同点となります。両SBを高い位置に上げ、さらに中央にCF+両SHを絞って密集させる形でリバプールを押し込んでいた中でのゴールでした。
ラカゼットのコースがないところからの見事なコントロールショットでした。
この時間帯は攻撃に振り切ったアーセナルとカウンターを狙うリバプールのどちらがゴールをとるかで試合が決まる感じがありました。

このゴール後は一進一退。
ややアーセナル優勢の展開ではありましたが、仲良く1-1でドロー。

ビッグ6同士の戦いだけあって個人技・組織どちらもレベルが高い試合でゴールこそ少ないながらも終始楽しめるゲームでした。
アーセナルのリバプール対策をしてくるチームはありそうですが、普通に質で殴られそうな気もする。(笑)
リバプール相手に数的同数プレスは後ろが怖くて出来なそうですしね。

後半の手抜き感が否めませんが、今回はこの辺で。

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