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茶道とは何か?

これまで通史的に述べた茶道論を少し違った視点で見てみる。
倉沢行洋氏は、茶道とは「茶湯(ちゃのゆ)の道」と述べた。

「茶道」には二つの意味が含まれている。一つは、茶を点てたり喫んだりすることを機縁として、言い換えれば「茶湯」を機縁として、「心」を深め・高める「道」という意味である。いま一つは、そうやって深められ・高められた「心」のはたらきとして、茶を点てたり喫んだりする、つまり茶湯を行う、「道」という意味である。これをつづめていえば、茶道とは茶から心への道であり、また心から茶への道である。

井伊正弘・倉澤行洋校訂解題『燈影撰書7 井伊直弼茶書 一期一会⑴』1988年,燈影舎

ここでいう「茶湯」とは点茶(亭主による茶の点前やそのための準備全般)と喫茶(客が茶を喫すること全般)のことである。茶湯によって心が育まれ、その育まれた心によって茶湯を行うことで、おもてなしの心がお互いに伝わるのである。茶道における代表的な精神論である。

参考文献:倉沢行洋『増補 藝道の哲学 宗教と藝の相即』東方出版,1998年


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