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絵画解説シリーズ・美術関連noteまとめ

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絵画解説や、テーマが特に美術(作品)に関連するnoteをまとめております。
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記事一覧

絵画解説:「バベルの塔」

 ブリューゲルの絵画「バベルの塔」のパズルを買った、という話を前回少し書いたのだが、今回はそれにちなんで解説を試みたい。  とは言っても、バベルの塔という物語は有名で、もはや僕があえてするような余地はない気もする。  バベルの塔。それは旧約聖書にある話を描いたもの。  天にも届く塔を建てることによる洪水への対策と神への挑戦。  だが、神にとっては謀叛である。  よって、その塔は破戒(または未完成のままに)されると共に、以降、人間の言葉もバラバラにされた(言語がひとつではなく

絵画解説:「The young Napoleon Bonaparte studying」

 絵画の語り口として、大きく分けて二つあると僕は思う。  一つはその絵画を描いた作者について。当人が有名であればあるほど、紙面上で絵画自体の特徴に触れる余地が減っていく。  もう一方は、描かれた題材(景色・テーマ・人物)が有名な場合。この場合だと、むしろ描いた作者があまり知られていない事が多々ある。  さて、今回扱う絵画はこの後者―――すなわち題材が有名で、作者が日本では無名―――に該当するのだが、それでもなかなか特殊なケースであることを前もって言っておきたい。    今回

キミたちは“学芸員”を知っているか

 先日、僕が博物館学芸員資格を持っていることをついに明かし、いよいよnoteアカウントにも記載しだした。だが、そもそも学芸員というものがどういったものであるか、皆さん理解しているのだろうか。  まず、この資格は国家資格である。  ということは、法的に定められた過程を踏まえて、ようやく所持にいたる資格免許ということになろう。  前もって注記しておくが、僕はあまつさえ資格を持ち、したがって博物館で実習を受けたこともあるが、職業として勤務した事はない。  実際の場では、より広範な

拙者、侘数寄者に候。

 まずはじめに。  僕は書籍やフィギュアなどを集めはするが、何かのコレクターではない。  あくまでも関心を持っている対象を、可視化する意味も込めて、身の回りに集めているのであって、ひとつのモノ(切手や特定のキャラなど)を揃えようとするマニア的なコレクションは行っていない。  その意味で、僕はオタクという枠組みにも属さないことがある。  では、自身では何に属すると考えているのか。数寄者である。  数寄者といえば、茶道などでよく用いられる言葉だが、風流な人・物好きな人といった意

絵画解説:クロード・モネ「睡蓮」

 先日、100円ショップ・セリアに、「睡蓮」と「モナ・リザ」のジグソーパズルが売っていたのでさっそく作ってみた。それをきっかけに、今回はモネの睡蓮について軽く解説してみたい。  「モナ・リザ」については案外、基本的なことは多くの人が知っているであろうし。映画でも大ヒットだったミステリ『ダヴィンチ・コード』シリーズの影響もあるのかもしれない。  さて、モネの睡蓮と言われて、あなたが想像するのはどのようなものだろうか。というのも、モネは様々な「睡蓮」を描いているのだ。  試みに

美術解説への憧れ

 昨日、投稿したnoteこそ、僕にとっての美術解説の第一歩となった。  YouTubeでは山田五郎の解説をほぼ毎回観ている。  またYouTubeといえば、VTuber事務所・ホロライブでは、「ラプラス・ダークネス」さんが絵画好きと以前言っていた他、ついには新人デビューした「儒烏風亭らでん」さんが、配信で美術解説すら行いだした。    しかも、僕が中学の時に興味を持っていた能面を付けて初登場。  悔しいが、僕は能面を持っていない。その上、美術好きだが僕は解説をしていない。わ

絵画解説「虚空蔵菩薩像」

 美術館などへ行くと、必ず気に入った作品のポストカードを買っているという話は、かつて書いたことがある。  それらはホルダーにしまっているのだが、唯一、飾っているものがある。  それが、「虚空蔵菩薩像」。  西洋絵画などであれば、写真・ポストカード立てに入れるのが通例だが、日本の仏画なので、ポストカード用の掛け軸をチョイスしている。  さて、「菩薩」というのは、悟りを開く前の修行段階の姿である。  虚空蔵菩薩の名は、空海について調べたことのある人であれば印象的な存在。それにつ

初めての模擬刀購入「歌仙兼定」

 きっとその日僕が竹光を買ったのは、起きてすぐに、山田五郎が時計について造詣深く語っている動画を見たことで、僕のコレクター魂が刺激されたからに違いない。 「竹光」:竹(樫)を削ったものを刀身にして刀のように見せかけたもの。 「模造刀」:「銃砲刀剣類所持等取締法施行規則」第17条の4に規定する「刀又はあいくちに著しく類似する形態を有するもの」。 「模擬刀」:日本刀の模造品。  以前、僕はドイツ軍用拳銃モーゼルC96のモデルガンを買ったとnoteに書いた。5万円弱と、なか

私的ゴシック論

 最初に断っておくと、ここで言うゴシックとは、中世の建築物などで用いられたゴシック美術・建築のことではなく、より近現代の趣味嗜好としてのゴシックを指す。つまりは、ゴスロリにおける「ゴス(ゴシック)」やゴシック文学と普段使う際の意味である。  そうなると、ゴシックというのは、『ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』などといった英国ホラーのひとつの潮流として定義づけられることが多々ある。  ここで注意していきたいのは、ホラーにもいろいろあるよという単純な指摘。例えばスリラーとホ

京まふ2022と二つの美術展レポ

京まふ「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」に参加してまいりました! 実を言えば、今回の出展作品の多くは知らないアニメだったりするのですが総じて、かなり楽しかったですね。 まさにお祭りと出店といった感じで、出展企業の御品書きは確認済みでしたが、場所は記録していなかったので、足の向くまま、人の流れにそって進んでいきました。 ちなみに目当ての品は全てゲットした感があります。京まふ2022と分かるモノ、シュタゲ「牧瀬紅莉栖」を手に入れることが購入面では最大目標。 グッズとい

西洋陶磁の歴史と魅惑

岩波新書・大平雅巳(著)『西洋陶磁入門』もともと私は、西洋絵画の鑑賞とその歴史に関心があり、よく美術館やその特別展・展覧会に行っている。特に印象に残った作品のポストカードを買うこともまた、趣味の一つであると自認している。 また、近頃は美術評論家として知られる山田五郎氏が自身のYouTubeチャンネルで解説を投稿なさっているが、その動画を拝見するのも楽しみの一つとなっている。 一方で、陶磁器に関しては洋の東西を問わずして、個人的に少し敷居が高いように感じていた。というのも、そ