考察的創作論「義賊から自警団へ~革命は衰退したか~」
まず最初に私の考えを示しておく。以下、本稿はこの仮説に基づいて、私なりの見解を述べてゆくこととする。
革命は衰退した。なぜならば、大衆からみて“理想的に”突出した”存在が、必要悪である義賊から、社会の防犯機能であるところの自警団として現れることが多くなったためである。
革命とは
一般に私たちが想定する「革命」は、いわゆる「易姓革命」に近い。
これは、中国の歴史のなかで繰り返されてきた王朝交替のことを指す用語だ。
王朝にはそれぞれ一家の姓があるから、王朝が変われば姓も易わる(=易姓)。
徳を失って天から見放された前王朝を廃することは、天の命を革める行為(=革命)なのだ。
これは事実上、西洋の王朝に起きた興亡にも通じる。
ここで、より革命について詳しく知るために、カール・シュミット(独・ 1888年7月11日~198年4月7日)による「独裁制」に関する考えを参考にしてみたい。
二つの独裁
彼曰く、独裁には二つの分類がなせるとのこと。一つは委任的独裁。
委任的独裁とは、現行の憲法秩序が危機に陥った時、憲法秩序を維持するためにその機能を一時的に停止する独裁のことだ。
なおこのとき、憲法の規定に「非常大権」が定められている場合、立憲的独裁と呼ぶことができる。
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