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年間60万円でハンガリーでハッピーライフ

「年収90万円で東京ハッピーライフ」という本があることを知りました。この方は東京の西側、自然が多く残る多摩でハッピーライフを送っているそうです。その著作のあと、台湾に移住したりいろいろ移動されているそうです。

この本ではいろいろなことが書かれてあるのですが、「自分の幸福感と向き合った結果、年収90万円生活に落ち着いた」というのと、「嫌なことで死なない」という2つに強い印象を受けました。

幸福感の追求の結果としてのハッピーライフとはちょっと違いますが、自分の経験しているハンガリーハッピーライフを紹介します。

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人生の苦悩を洗い流すドナウ川

正直なところ別にハンガリーじゃなくてもいいのですが。上記の著作と違うのは、日本の地方での居住ではなく、国外というところにあります。

国外ハッピーライフ

多くの人は生活について考えるとき、現在の環境に思考が囚われてしまいます。自分が所属しているコミュニティとそこでの人間関係を大切にする傾向にあると思います。

狭いコミュニティに帰属し続けることは、思考や精神を窮屈にします。希死念慮をSNSやメッセージで他人に仄かしたりするのは歪んだ自己顕示欲の現れです。

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ドラえもん7巻「好きでたまらニャい」
小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

外国での生活は、日本でちょっと疲れたなという人に新しい視点や感性をもたらしてくれると思います。感性と言われてもふわっとしていて何をいっているんだという感じでしょうか、「体験を通じた時間を過ごす」ことでしか感じられないことというのがこの世にはあるのです。本やインターネットの情報だけでは得られないことが。

また日本という国以外で息継ぎをして、社会全体が緊張感に溢れるから一度解放されてみてはどうでしょうか。

人生は誰しも一度しか持てず、その機会は唯一平等なものです。シェイクスピアは「リア王」の中で

「人間、一度しか死ぬことはできない。 命は神さまからの借りものだ」

と書いています。

ハンガリーライフのあとに見えてくる日本の生活も見え方が変わってきます。

このやり方では

「ハンガリー政府の奨学金を利用して学生として過ごす」

ことになりますが、そこまで難しいものではありません。また学生として暮らすので終わりがきます。

終わりがあるからこそ、ハンガリーハッピーライフ(Hungary Happy Life, 以下HHLと略)の瞬間瞬間の生活は輝きます。

加えて、外国だと友人も作りにくかったりすると思うので、大学のコミュニティに帰属できて暇つぶしに勉強もできて、一石二鳥です。もちろん、クラスメートのコミュニティに帰属しなくても、他人と会話しなくてもわりとなんとかなってしまいます。いろんな人種や国籍の人がいますから、極東の日本人にそこまでかまってくる面倒な人もいません。
以下は理系としてますが、専攻はなんでも構いません。

HHLの年間60万円の内訳です。

飛行機往復代 14万円 (注1)
月々の出費 3万円 x 12ヶ月 = 36万円
緊急時の費用 10万円

で合計60万円です。ざっくりだいたいで書いてますのでそれより少なくなることもあるでしょう。

(注1) 1年に1回だけ日本に帰国する想定です。

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月々の費用が、やけに安いですがその理由を説明していきます。

政府奨学金で生活の基盤を作る

このハンガリー政府奨学金ですが、生活費として日本円で毎月1.5万円程度お金がもらえます。そして、住居の費用として毎月1.4万円程度もらえますが、大学の寮に住む場合は、1.4万円が徴収されてしまいます。寮に住まない場合はそのまま受け取ることができます。また健康保険への加入も無料で大学が行ってくれるので、病気になっても安心です。また滞在許可証が発行できるので、合法的な身分証も手に入ります。

HHLでは、純粋に日本人学生としてハンガリーが求める国際的な多様性の一員となることなので合法で何もやましくはありません。

学生という身分あれば、列車や路面電車、バスのような公共交通の費用が安くなりますし、Monthly passという定期券も格安で購入できます。

困ったことがあったり、人と話したくなったら、大学にある相談コーナーにいくといいです。精神的に不安定になる時もあると思うので、誰かと会話すればよく、留学生向けのカウンセラーもいます。彼らは私の下手くそな英語も辛抱強く聞いてくれます。「知り合いがいなくて誰かと会話したい」という日本では「ヤバいやつ」という烙印を押されそうなことをいっても、「Okay!」と快く、数十分会話してくれます。外国人として、異国で暮らしているということだけでも大変なことなので自信を持っていいと思います。

ルームシェアで安く住む

ブダペストは首都で一人で部屋を借りるとかなり高くなりますが、ルームシェアをすると個室に家賃2、3万円程度で住むことができます。さらにハンガリーの地方都市だともう少し安く過ごせると思います。

自分は首都ブダペストで2万円以下で4LDKの一部屋に住んだことがありますが、たまに水道が止まる程度でそれなりに暮らせました。水道が止まるのは家賃が安かった分、生活インフラが脆弱だったためです。

ほとんどの物件は家財が全てあって、Wifiも水道もガスも自分で何か契約したりする必要はありません。そのため賃貸契約を結んだあとは、キャリーバックだけ持って引っ越せば、あとは食材だけ買っていれば生きていけます。

敷金礼金はなく、家賃の一ヶ月分(場合によっては二ヶ月分)を最初の月にデポジットとして支払うだけで済みます。

食費が安い

こちらの画像のパンはキフリというハンガリークロワッサンです(kifli

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このパンですが一つ20円もしません。そこまで美味しくありませんが、カロリーとしては十分です。ハンガリーでは100円でフォアグラのペーストも売ってたり、ジャムや蜂蜜も安く手に入るので塗って食べるといいでしょう。

いろいろな食材の費用は以下のサイトに詳しいです。

トマトが499フォリント
パプリカは950フォリント(ハンガリー人の大好きな野菜の一つ)
玉ねぎは170フォリント
ニンジンが100フォリント
ブロッコリーは800フォリント
キャベツが150フォリント

自分の生活との値段の差異もそこまでない印象です。たまにファストフードでトルコ料理のケバブやギロスなどを食べていれば、生活上の食事の満足度がそこまで低くなることはないです。

家賃が2.5万円のとこに住んだとして、お小遣いが5000円/月残っており、それに3万円自腹を出すとして、3.5万円。3.5万円あれば、1日1000円として十分暮らせます。外食をしつつ飲み会を楽しみたいならもう少し必要です。贅沢はできませんが、HHLは贅沢とは別の豊かさを手に入れる旅でもありますから、贅沢したいという欲は捨てましょう。

博物館のような街並み

ブダペストの話になりますが、街にあふれる建物は築年数がとんでもないことになっています。50年以上はざらでしょう。壁はよく近づいて見てみるとかなり汚かったりしますが、内装はリノベーションされていて小綺麗なところも多いです。

街を歩いてみると見渡す限り古くて趣のある建物ばかりで、オフィスビルは稀有です。 一党独裁国家としてソ連の衛星国だったため、社会主義建築の建物があり、それが街の風景の画一性の排除に働き、アクセントのように風景の中に快適なリズムを生んでいます。街の中を散歩しているだけで、文化的に違う発見を毎日楽しめますし、なにより健康的です。

私が気に入っているのは、なんといっても空の青と橙の街灯であふれる夕暮れ時です。この時間を狙ってよく散歩します。

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天気が悪くても光にあふれる街並み(著者撮影)

闇に映える光の色の感じは、私にいつもゴッホの夜街風景画「夜のカフェテラス / Café Terrace at Night」を思い起こさせます。

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この絵は、フランスのアルルにあるフォリュム広場を舞台にしていますが、ハンガリーでいつもその美しい絵の光を感じられると思うとなんだか得をしたような気持ちになります。

公用語がハンガリー語

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日本で暮らしているとき、周りがうるさいと思うときはだいたい日本語で話している内容がききとれてしまって意識が持っていかれるからです。生半可に英語がわかって英語圏に住んでいると、話していることの内容がわかったりして同じことと思います。ハンガリーでは、多くの人はハンガリー語を話しています。1年程度のハンガリー語の勉強では聞き取ることはまずできないので、会話は日本の夏のセミの鳴き声と同じノイズでしかありません。言語によっては、くちゃくちゃ音があったりして、音としてストレスがあるようなものもありますが、ハンガリー語はそこまで喧しい発声を持つ言語ではないです。

そして、日本語に囲まれていない生活をすることを満喫することができます。今までの人生でそのような期間を持ったことはある人は海外在住者か日本の山奥に住む天狗だけだと思います。

日本語のない世界がどういうものか純粋な日本育ちの自分が体験しておもったことは「結構快適だな」ということです。英語が使える環境に身を置いて国際的マインドを持って活躍というマッチョな目標は私は持っていないです。日本語以外の言語で生活してみるという体験が単純に新鮮で、気持ちが良いものでした。

日本語がマイナー言語だから、というような大袈裟な話ではなく、いつも違っているルートじゃない通学路で高校や大学、勤務先にいくように、違う言語で勉強してみる、生活してみるということが気分転換になります。

日本の食事を再発見

1年間ハンガリーでクロワッサンを食べ続けた後、帰国すると「日本の外食は安くて美味い!」と感動的な体験をすることができます。

コンビニの菓子パンやおにぎりは間違いなくご馳走です。日本でずっといたならばそう感じることもなかったでしょう。日本のラーメンや牛丼のようなジャンクフードは装飾的な美しさも持ちつつ、味覚的にも満足度の高い至高の食事だと気づきます。

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結論

ハンガリーハッピーライフ(HHL)は前提こそ必要ですが、個人的には可能だと思いました。学生になるので、勉強が苦痛だと難しそうだと思われますが、コバンザメ戦略(優秀な人とグループを組んで課題をこなすこと)で大丈夫です。

金銭的に低く抑えつつ、異国での文化の中で息抜き、息継ぎをするというのがこの記事のHHLの中身です。

以下がHHLの構成要素です。

・異文化世界での時間
・安い生活費
・数年という期限付き

長く外国で住み続けるとなるとまた違った覚悟が必要ですが、数年で強制的に終わるのでゆるくて大丈夫です。

有限の時間の中に、ハッピーライフを見つけてください。

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ドラえもん短編第34巻第14話「のび太もたまには考える」
小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄


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