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女性がお寺で働くということ。20代女性職員3人が語る「職場としてのお寺」第2回

男性が多いと思われがちなお寺の世界ですが、実は築地本願寺には女性職員がたくさんいます。彼女たちは、お寺で働くことについてどう思っているのでしょうか? そこで、20代の若手女性職員同期3人による、鼎談を実施! 第1回に引き続き築地本願寺で働く女性たちにそのお仕事事情を聞いてみました。

お寺での仕事は、男性と女性でどう違う?

――お坊さんといえば、多くの人が男性をイメージするように、仏教の世界は男性社会とのイメージがありますが、浄土真宗のお寺では女性僧侶も珍しくありません。みなさんは、女性がお寺で働く上で、気になることはありますか?

藤田瑞華(以下、藤田) 役割分担が結構きっちりしているかもしれません。たとえば、男性の場合は車で役員を送り迎えすることがあるんですが、女性はやらないんですよね。あと、行事の際のお茶出しなどの接待係は女性がやりますね。

小野唯奈(以下、小野) 基本的には「女性だからこうしなきゃいけない」というルールは、特にないんじゃないでしょうか。ただ、女性には難しい仕事も結構多いんですよね。たとえば、若手の僧侶だと、『式務庶務』という仕事があるんですが、担当するのは男性ばかりです。「女性はその仕事をやってはいけない」というよりは、仏具などかなり重い物を運んだりするので、女性だと体格的に難しいのも要因かなと思います。

椿 阿寿弥(以下、椿) そのほか、女性ならではの苦労する点もあるかもしれないですね。たとえば、僧侶の場合、『晨朝出仕(じんじょうしゅっし)』という朝の勤行のとき、みんなで合わせて読経するんですが、その際、導師が男性だと低い音程に合わせなければならない気がして…。どうしても女性の方が声は高いので、低い声に合わせるのが難しいなと思いますね。

小野 余談ですが、音楽に合わせて読経する音楽法要は、すごいおもしろいんです! 若い人でも楽しめると思うので、ぜひ一度見てほしいですね。

やりたいことを形にできるのが、築地本願寺の仕事のおもしろさ

――築地本願寺で働いていて、おもしろいことやよかったことはなんですか?

小野 まずは、「やりたい」と言ったことが実現しやすい点ですね。たとえば、以前、SDGsの一環で、「花手水」という本来は捨てるはずだった仏花を手水に浮かべる取り組みを、私が提案したんです。そしたら、「いいね!」と言われて、すぐに取り入れてもらえたんですね。自分がやりたいと言ったことが形になるのは、本当にうれしいです。

椿 たしかに! 私も、部署に関連するイベントの際、参拝記念品などを考えることがあるので、その気持ちはよくわかります。せっかく作っても「いらない」と言われるのは悲しいので、「どういうものだったらみんなに喜んで使ってもらえるか」を一生懸命考えますね。

藤田 いろんな人に喜んでもらえるのは、うれしいよね。私も普段は参拝者の方々とは関わる機会が少ない仕事ですが、報恩講(ほうおんこう)と降誕会(ごうたんえ)の参拝者の記念品も担当しているんです。「エコバックならみんなが使ってくれるかな?」「今年は何を作ろうか?」と考えるとき、本当にワクワクしますね。さらに、自分が作ったものを参拝者の方々に喜んでもらえたときは、「やってよかったな」と思います。

椿 基本的にイベントごとは楽しいよね。喜んでくれる人を、目の前で見ることができるので。

小野 そう思う!イベントのときは、参拝者の方々と普通にお話できるのもメリットですね。私も年に1度、築地本願寺で8月に行われる盆踊りのとき、それを痛感しました。しみじみと「こんなに多くの人が自然と交流できる、お寺という場はすごいな!」と思います。

「居場所づくり」もやりがいのひとつ

藤田 そのほか、本堂では『僧侶相談』という一般の方から相談を受け付ける取り組みを行っているのですが、これもすごくやりがいを感じます。誰も話しかけてくださらないとちょっと寂しい気持ちになりますね(笑)。

椿 そうそう。恋愛相談から真面目な相談、仏教にまつわる疑問など、本当になんでもよいので、話しかけていただけると「自分が相手のお役に立っているんだな」とうれしくなります。

相談業務を担当するようになってから、「愚痴をこぼしたい方は結構世の中にいるんだな」と気付きましたね。僧侶に相談するのは、カウンセラーに相談するのとは重みが違うんだと思うんです。気軽に話せて、自分の内面を吐き出せる場所は、いまの日本には意外とないので、お寺が多くの方にとってそういう安心できる場所になれたらいいなと思っています。

藤田 たしかに、一人暮らしだったりすると、休みの日に一言もしゃべらないなんて日もありますよね。そんなとき、「人と少しでいいから会話したいな」と思ったときに、立ち寄ってもらえるような場所なのかもしれません。

椿 あと、しゃべらなくても、本堂で静かに座って帰っていく方とかも結構いるよね。本読んだり、寝たりしている方もいるし。

藤田 まさに、そういう「時間をゆっくり過ごす場所」として使ってもらってもいいのかなと。

小野 そうしたご縁を作ることで、「ここで法要したい」とか「築地でやってるセミナーに参加してみようか」「法話を聞いてみようか」と思ってもらえるかもしれないですからね。

椿 小さなきっかけから、何かしら次のご縁が生まれたらいいなと、私もいつも思っています。

第3回目はこちらからどうぞ!

https://note.com/t_hongwanji/n/n1c87afd9734b

第1回の記事はこちらから


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