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なぜ、私たちはお寺で働くのか 20代女性職員3人が語る「職場としてのお寺」 第1回

男性が多いと思われがちなお寺の世界ですが、実は築地本願寺には女性職員がたくさんいます。彼女たちは、お寺で働くことについてどう思っているのでしょうか? そこで、20代の若手女性職員同期3人による、鼎談を実施! 全3回の更新を通じて、3人が日頃抱える想いやお寺で働く経緯を聞いてみました。

お坊さんの資格を持っている人、持ってない人が一緒に働く築地本願寺

――まず、それぞれ自己紹介をお願いします。

小野唯奈(以下、小野) 私は、宮崎のお寺出身です。高校卒業後は、京都にある浄土真宗を学べる龍谷大学に入学し、国際文化学を勉強しました。在学中に僧籍を取り、新卒で築地本願寺に入りました。現在は築地本願寺の秘書広報担当として働いています。まさに、このnoteの運営も、私が担当するお仕事のひとつです。

秘書広報担当の小野唯奈さん。

藤田瑞華(以下、藤田) 私は3人の中で、唯一僧籍を持っていない職員ですね。新潟のお寺で生まれたので、小さい頃から仏教が身近な環境で育ってきました。大学は龍谷大学に進学し、その後大学院に進んで平安文学について学んだ後、築地本願寺で働き始めました。現在は経理を担当しています。

経理担当の藤田瑞華さん。

椿 阿寿弥(以下、椿) 私も実家である福岡のお寺で生まれ育った影響もあって、大学は龍谷大学に進学しました。在学中は臨床心理学の勉強をしながら僧籍を取り、卒業後、築地本願寺に奉職することになりました。現在は、総合企画担当という、普通の企業でいえば総務のような仕事をしています。

総合企画担当の椿 阿寿弥さん。

東京に行きたい、仏教に携わりたい……女性職員が抱える様々な想い


――築地本願寺で働く人は、お坊さんの資格を持っている人もいれば、持っていない人もいるんですね。みなさんが築地本願寺で働くことになった理由はなんですか?

小野 私の場合は、宮崎のお寺に戻る前に東京で働いてみたかったからです。そこで、浄土真宗本願寺派の運営に携わる宗務員(※)の募集面接の際に「築地本願寺で働きたいです!」と言ったら、運よく希望が通り、築地本願寺へと配属されました。夢が叶ってうれしいです! もちろん、地方宗務員なので、今後、京都以外の土地に配属される可能性も十分あるのですが。

※浄土真宗本願寺派で働く宗務員は、京都の本山 西本願寺で一括採用し、その後勤務地が決まります。

藤田 私の場合は、漠然とではありましたが、学生時代から「将来は浄土真宗に関われる仕事がしたいな」と思っていました。そんなとき、後輩から宗務員という仕事があることを教えてもらったんですね。「僧侶でなくてもお寺で働くことができるんだ」と知って、希望しました。

椿 私も「仏教に関わる仕事をしたかった」という点では、藤田さんに似てますね。大学時代に臨床心理学科では真宗・ビハーラ活動領域を専攻していました。部活が仏教関連だったんですね。だから、就職活動を考える際、「これまで学んできたことと関わりのある仕事にしよう」と思って、宗務員になりました。

20代女性がお坊さんになった理由とは?

――小野さんと椿さんは僧籍を持っているとのことですが、僧侶になった理由はなんだったんですか?

小野 私は大学に入ったら、2年以内に僧侶になるとの条件がある「伝道者推薦」という制度を利用して龍谷大学に入学したので、必ず僧侶にならないといけなかったんです。だから、在学中に僧侶になりました。あと、在学中から実家のお寺を継ぐことも視野に入れていたので、以前から僧籍は取ろうと決めていました。

椿 私の場合、大きな動機になったのは、大学時代に所属していた部活ですね。「宗教教育部」というお寺出身の子が数多く所属する部活にいたので、メンバー内では卒業前に僧籍を取るのが当たり前で。そこで、私も「みんなと一緒に僧侶になるか!」位の気持ちで僧籍を取得しました。だから、ハードルの高さは全然なかったですね。

小野 宗教教育部、龍谷大学では有名だよね! 土日休みがない、結構ハードな部活だという噂を聞いています。

椿 土日がメインの活動日だったから大学生の割にはハードだったかも…!その分、地域の子どもと遊びながら真宗の教えに触れることができたのは貴重な時間でした。

実は会議や事務仕事が多い? 築地本願寺のお仕事内容

――築地本願寺で働いてみて、感想はいかがですか? 働く前と後では、印象も変わりましたか?

小野 一番の感想は、「大きなお寺は普通の会社みたいな感じなんだな」ということですね。入る前は、こんなに事務仕事が多いとは思わなかった!

藤田 たしかに!  私はいま経理担当として働いているから、参拝者の方とより企業の方と関わる機会の方が多くなっているので、余計に普通の会社で働いているような感覚が強いかもしれないですね。

椿 事務とか会議が本当に多いので、「え、お寺の仕事ってこういう仕事もするんだ!」とびっくりしました。最初は、抱いていたイメージとは大きなギャップがありましたね。でも、お寺にいながらにして、いろんな経験をさせてもらえるので、ありがたいなと思います。

「ローテーションでオルガンを弾く」という謎の風習


藤田 あと、「これは築地本願寺ならではの仕事かも」と思うのは、パイプオルガンの演奏ですね。築地本願寺には大きなパイプオルガンがあるので、経験の有無に関係なく、女性職員は持ち回りで演奏するんです。人前で弾いたことがなかったので、最初はめちゃくちゃ練習しました!

築地本願寺では毎月パイプオルガンのコンサートも開催してます。

椿 本当に、あれは慣れるまでは大変だったよね……。小野さんは小さい頃からピアノを習ってたから、3人の中で1番上手だよね!

小野 いやいや! ピアノを習っていた経験があるからこそ、逆に事あるごとに「オルガンを弾いて!」と頼まれるので、結構大変……。いまも、たまにテレビ取材などでパイプオルガンの撮影が入ることがあり、そのたびに「オルガンを弾いて」と言われるので、「全国の電波に乗って私の弾くオルガンの音が流れているのか」と思うと、緊張しますね(笑)。

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