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映画エッセイvol.13

ねことじいちゃん

あらすじ

世界的に知られる動物写真家・岩合光昭が初めて映画監督に挑み、ねこまき原作の同名コミックを落語家の立川志の輔主演で実写映画化したヒューマンドラマ。とある小さな島に住む70歳の大吉は、2年前に妻に先立たれて以来、飼い猫のタマと2人きりで暮らしている。生まれ育ったこの島には幼なじみの巌をはじめ多くの友人や猫がおり、穏やかな日常が流れていた。東京で暮らす息子・剛はひとり暮らしの父を心配しているが、大吉もタマも自由気ままな現在の生活に満足している。しかし、親しい友人の死や大吉自身の身体の不調など、ずっと続くと思っていた日常に少しずつ変化が訪れはじめ……。

ねこと岩合さん

ねことじいちゃんという作品を観た。

この作品の監督はNHKの世界ネコ歩きでも有名な岩合光昭さんだ。


BSプレミアムで7:30から始まる朝ドラのあとに放映されてる印象だ。

世界中のねこの映像が放送されている。

岩合さんの撮影の特徴はローアングルである。


ねこを撮影する上で重要な要素はいくつかあるそうなのだが、ねこが背景に溶け込まず、立体的に映るようになるという。

僕のイメージだと、ねこ、ひいては生き物の撮影は言葉が通じない分、ベストショットを引き出すのはかなり困難を要するのではないかと考えていた。

岩合さんはねこを撮影するに際して、どんな点に気をつけているのか。インタビュー記事からの抜粋である。

まずは、ねことコミュニケーションを取るということだ。

ねことコミュニケーション…

僕の懸念している点の1つだ。

どうやったら彼らとコミュニケーションが取れるのか。非常に興味深い。

“一般的に野良猫といっても地域によって、猫の表情や動き方は全く異なります。人が穏やかな場所では、猫も穏やかな表情をみせてくれます。特に坂道の多い場所では、人の動きがゆっくりとなるので、猫の動きもゆっくりしている。また、道が細く車が入れないような所は、道の真ん中に寝っころがってくつろいでいてますよね。そういうリラックスした猫たちは、“おはよう”と声をかけると、きちんと返事をしてくれるんです」”

ほほお、自分からねこに寄せていくことが大切みたい。


他にも、ねことの距離感の図り方もこっちからグイグイ近づいていってもダメで、近づいたら逆に引いてみたりすると、ねこの心情は「あれ?僕に興味ないの?好きなんじゃないの?」と引きつけられるらしい。

まるで人間関係とも直結するような話だ。

ねこと人との関係は非常に密接にあるように思える。

ねこと高齢化社会

“ネコが心地良い場所とは「世話をしてくれる優しい人がいること。食べ物があって、隠れる場所があること」。これら条件を満たすのが島なのだ。子ネコが遊ぶ漁網も、さっと隠れる路地裏もある。良い島には良い人がいて、良いネコがいる。世界共通だという。”

“「昔から漁師や船乗りはネコを大切にしたそうです。船にはネズミが多いので、その退治のためネコは船にいた。人の移動はネコの移動で、だから島にはネコが多いのでしょうね。船を介してネコは世界に広がっていった」”

この映画の舞台は小さな島である。

そして主人公のじいちゃんは立川志の輔さんが演じる、大吉さん。

妻に先立たれ、寂しい思いをしているが、飼い猫のたまと一緒に暮らしている。

映画の描写でも描かれているのはねこを介した人と人との交流だ。

現状、田舎においても都会と同じようにご近所付き合いがかなり減ってきている傾向にある気がする。

私の地元でもそのように感じる。あの人久しく会ってないなぁとか。お祭りにも来ないなぁとか。

昔はみんなが農業をしていて、地域で助け合って作付けをしていたが、少子高齢化による担い手不足で農業が続けられなくなった人たちが増えた背景から、生業が変化し、お互いがお互いに干渉し合わなくなってきた。

これは高齢化社会、すなわち地方においては重要な課題で、


例えば、大吉さんのようにパートナーに先立たれた場合、人との関わりが薄くなった人間は、孤独というワードがかなり色濃くなってくる。

しかし大吉さんの場合は、日課のねことの散歩から小学生やご近所さんとの付き合いなどが盛んである。

大吉さんの性格もそうかもしれないが、この現象はねこがあってこそのものだと考える。


これはアニマルセラピーと呼ばれるヒーリングの効果以上の力がある。

大吉さんのようにねこなどの動物を介した必要なつながりを持つことは、これからの高齢化社会において重要な点になってくるんじゃないかと思う。

ねこと人

先にも述べたように、ねこと人との関係にはかなり密接なつながりがあることがお分かりいただけたと思う。

ねこは飼われているという意識はなく、我々人間をむしろ飼ってると思ってるかもしれない。

ねこを飼ってる人からするとねこの謎の行動に振り回されるケースがいくつもあるだろう。

そういった謎が多いからこそ惹かれるのかもしれない。

逆に犬は主従関係がしっかりしてるからいろいろとクリアだ。

ねこと人は対等な立場にあるからこそ、1人じゃないという意識にさせてくれる。

これが対人であると、気を使ってしまうことも多いのではないか。

しかしねこに対してはそれがない。人では得られない温かみがねこにはあるのだ。

あぁ、ネコ飼いたいなあ。


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