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近頃のヨーロッパ事情~経済編

こんにちは、こちらにきて早いもので10か月が経過して、何がなんだかよくわからないけど突っ走る!という期間はようやく終わりを迎え、生活にも慣れが出てきました。
そんな日々のなかで、欧州とはどんなところ?というのがぼんやり見え始めてきたような気がします。そこで、今回は、欧州のリアルな事情・動向について書いてみたいと思います。新聞や雑誌では伝わりづらい現地の”空気”を感じていただければ幸いです。


私が現在住んでいるのは、ドイツなのですが、「欧州の病人」と揶揄されてしまうほど、景気が良くありません。日本では、ドイツにGDPが抜かれた!というニュースが少し前に話題となっていましたが、正直「本当に・・?」と思ってしまうほどです。多分GDPの件は、為替による作用が大きいのかなと思いますが。
日本でも有名な大企業(BOSCHやバイエルなど)が軒並みリストラを発表してますし、どうなってしまうのか・・という雰囲気が社会全体にうっすら漂っている感じです。

景気低迷の原因として、コロナ、ロシアウクライナ戦争が決定打になったのは事実と思いますが、実はドイツは少子高齢化などの社会構造の変化や設備投資の動きが鈍かったことなど、コロナ禍以前から国際競争力が低下していたという指摘もあります。①米国の5倍ともいわれるエネルギー価格、②中国市場の成長を見越して確保した過剰な生産能力と労働力の囲いこみが重荷となって、企業業績が低迷してしまいました。

こうした景気低迷や経済政策への不満も相まって、①農業従事者がトラクターで高速道路や一般道路を占拠してデモを行う、②鉄道や航空関連のストライキが連発するなど日々の生活に影響する出来事も多く発生しています。ストライキに関しては、通勤や出張でもろに影響を食らうので、非常に困ります。ほぼ例外なく止まるので、学生など車を持たない人が困って立ち往生しているのをしばしば見かけます。しかも、今年に入ってもう5回以上発生しており、数も半端ではありません。こっちの電車と飛行機は普通でさえオンタイムで運行することが少ないのに、それにストときては滅茶苦茶でもはや笑うか黙って諦めるしかありません。

客先や知人との世間話では、インフレ、高い税金と国外へのばらまきなどにうんざりする声が本当によく聞かれます。特に、高い税金が移民や諸外国への援助などに多く使われている点については、年配の方ほど嫌う傾向が強い印象です。

経済状況と並んで危機的状況に瀕しているのが不動産市場です。
金利上昇とインフレが需要を圧迫し不動産価格の下落を招いており、在宅勤務が一般化したことで、オフィス需要は依然として低迷、空室率の高まりや賃料・価格下落が続いています。
体感として、デュッセルドルフ近辺もお店が閉店した後、長らく空室のまま放置されたテナントをよく目撃しますし、コロナ禍と比べて街に活気がなくなったという話はよく聞きます。
一方で、賃貸アパートの家賃は高騰し、ドイツではほぼすべての主要都市が影響を受けています。ドイツでは約2人に1人が賃貸アパートに住んでいると言われており、デュッセルドルフでも日本人が多く住むエリアの空きが全然出てこないことが地味に問題になっています。
最近は、閉店したデパートや空室オフィスなどの商業不動産を住居用にリノベーションして転用するといった日本ではなかなかイメージしづらいような議論もみられていますが、どうなることやら・・という感じです。

そんなこんなで明るい話題が少ない欧州、特にドイツではありますが、これからサッカーの欧州大会EUROがドイツで、夏にはパリ五輪も開催されます。ようやく長い冬も明けてそこかしこで人出が多くなってきた感じもします。先週末は、穏やかな天気でアイス屋さんに長蛇の列ができておりました(我が家もその列の一部と化していたのですが)。。
日本も海外もなんとなく閉塞感が漂う今日この頃ではありますが、ここから少しでも上向いていってほしいですね。


それでは!






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