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自称トレイルランナーと登山医学会学術集会2022

自称トレイルランナーが、“走る“をテーマにnoteを書いてます。
今回は“登山医学“を書きます。
noteを始めた原点は、トレイルランニング×サイエンスだったことを再認識しました…

2022年6月18日〜19日、日本登山医学会学術集会が富山県で開催された。
自称トレイルランナーが、学会で発表してきたことを振り返る。

昨年もnoteに書いたのだが、新たな知見を得た2022年バージョンと理解して欲しい。

「トレイルランニング × サイエンス」をライフワークにしたい。
フィジカルトレーニングよりもデータを眺めたい派だったりする。

ファットアダプテーション

自身が蓄えている体脂肪を効率よく利用して、トレランレースで優位に立ちたい…これに尽きる。

131kmトレイルランニングで、エネルーギー源として体脂肪はどれだけ役立ったの??? とゆーことを研究して発表してきた。

ほら、ジェルばかり摂ってたら、なんか胃の調子が悪くなって吐いたり、食べられなくなったり…あるあるでしょ😵

結論は…

体脂肪のエネルギー貢献率は60%を超える

これは、全てのトレイルランナーに当てはまることではないことを承諾して欲しい。今回の研究対象になった48歳男性。ファットアダプテーション(ごっこ)に取り組んで2年以上経過した自称トレイルランナー。しかも、ある条件に合致する場合に限っては…と言うことで。

根拠は…

体脂肪が利用されている。つまり、脂肪酸β酸化が亢進している状態になっていることを131kmトレイルランニング中に証明する必要がある。トレッドミルの上で走り、呼吸商を呼気ガス分析から求めるのが最もな証明方法だが、トレラン中には難しい方法だ。
なので、過去に報告された研究結果を利用して推測することになる。今回は2種類の研究を利用した。

1つ目はケトン体。
血液中のケトン体濃度と脂肪酸濃度が相関することが報告されている。山の中で血を採るのは昨年の研究でもやったことなので、多少のknow-howはある。ちっさい針を指先に刺して、一滴の血液からケトン体を測定する。

2つ目は運動強度。
特定の運動強度で脂肪酸β酸化が最大化することが報告されている。ファットアダプテーションに詳しい方なら、この研究が示めすグラフを引用した某メーカーの記事を目にしたことがあるかもしれない。

この2つの研究を利用して、ケトン体の濃度変化から脂肪酸濃度が高くなっていることを推測する。そして、脂肪酸β酸化が最大化する運動強度を保てていることから体脂肪がエネルギーとして効率よく利用されていることを推測する。

3つ目はエネルギーバランス。
エネルギー出納と表現する業界もある。入ってくるカロリーと、出ていくカロリーを比較する。諸説存在するが熱力学の第1法則として、摂取エネルギーと消費エネルギーは等しくなければ、運動は続けらないよね…ということになっている。
131kmのトレランで食べたもの全ての包装をゴミとして捨てずに、宝として家に持ち帰る。そして、栄養成分表示をひたすら書きまとめる。

これは某良品のバウム。しっとりしていて食べやすい。

負のエネルギーバランス

131kmトレランのエネルギーバランス。
摂取したエネルギーは  4,129kcalだった。
消費したエネルギーは12,642kcalだった。
摂取エネルギ - 消費エネルギ = -8,513kcal
これを何かしらで補わなければ、熱力学第1法則が成り立たないよね…それは体脂肪なんだよ。131km走るために必要なエネルギーの67%を体脂肪が担っていたんだよ。
…というのが、この研究の肝だ。

この研究が目指すところ

ウルトラディスタンスのレースでは、栄養補給も戦略のひとつだ。特にジェルを食べ続けられないランナーには悩ましいところ。
体脂肪をエネルギーとして効率よく利用できると、ザックに詰め込む行動食を軽量化できる。胃の調子が悪くならない。トレイル脇で吐かなくてもよくなる。

出走するレースのコースプロファイルから、消費カロリーを推定する。ザックに詰め込む、ドロップバックに詰め込む行動食は、消費カロリーの40%分用意すればいい。エイドが充実しているレースなら、用意する行動食はもっと軽量化したっていい。

ファットアダプトしたいランナーに向けて

この研究は、あくまでも一人の男に成り立つものです。全てのトレイルランナーに当てはまるものではありません。ただ、ヒントになれば幸いです。
体脂肪は日常的にエネルギーとして利用されています。
でも、強い運動強度では補えなくなるので、筋肉と肝臓に蓄えられているグリコーゲン…つまり糖質を優先してエネルギーに使います。グリコーゲンは体脂肪と違ってエネルギーとして使える蓄えがわずかですので、使い切ってしまうとハンガーノックを起こしてしまいます。
体脂肪を効率よくエネルギーにするためには、ファットアダプトすることが重要だと考えています。上記の参考にした研究ではVO2maxの45〜65%の運動強度で、体脂肪の利用率が最大化することを報告しています。
私の場合は心拍数に置き換えると、85〜123bpmに相当します。最大心拍数は194bpmですので、かなりゆっくり走る必要があります。スピードを上げるためには、LT値を上げる様なトレーニングが必要になるでしょう。私はフィジカルトレーニングが苦手なので難しいです😅

この研究に対する感想やご意見をいただけると嬉しいです。
それでは、よき旅を。

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