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充実と逃走

「そういえば最近、空の写真を撮っていないな」と、ふと思ったのは熱で重い体を引きずってコンビニに行った帰り道だった。僕はどうしても真昼なのに薄暗い自室に足を向けることができずに、川縁に座って足を垂らしていた。足をブラブラさせてしまうのは、子供っぽくて嫌なクセなのだけれど、抜けないからクセなのだろうと思う。本当は爽も食べていた。

ここ数ヶ月は人生の中でも、とても充実した時間を過ごしていると思う。大学生活も飲んだり、みんなで遊びをつくったりして楽しい。全国に本当にいろんなことをしている友人や友人になりたい人も増えた。お仕事的にも、多くの人からチャンスをいただき、できたりできなかったりしながらも少しずつお金をいただけるようになた。今の実力と期待がないまぜになったお金だ。この話はまた、おいおい。

充実しているなかでも、しんどくなるときがある。今日はそんな日だった。春だなと思った。結局しんどい時には、気がついたら一人でいるのだ。雑木林のなかを歩いていたり、朝日の上る海岸にいたり、川沿いで空を仰いでいたりする。大体足はブラブラしている。少し冷たい風が肌に当たると、何かが軽くなるような気がするのだ。そして、自分がしんどい時に求めるものは人のぬくもりではないのだ、ということに安堵を覚える。まだ、一人で生きていけると。

だけど、人と飲んではしゃいでいる自分を正当化するために、また考える。
しんどくならないために、人のぬくもりは必要なのではないか。そう思うことで、自分の中だけのダブルスタンダードを成立させてみる。

フォルダには「誰か」の写真が増えている。本当に一人でいられなくなる日が、すぐそこまで来ているのかもしれない。春。

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