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TABETE クラブvol.2 エビベジと規格外野菜

TABETE クラブ第2回は、野菜を見て・味わって・学ぶ会。海老原ファームの海老原さんをお迎えし、野菜を育てる気持ちや考えを伺いました。

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現代の日本では、幸せなことに、一年を通して各地のスーパーで野菜を手に入れることができます。この恵まれた状況の中で、私たちは今一度、野菜の美味しさや食べ方について考えてみる必要があるのかもしれません。本当に美味しい野菜とは? “規格外野菜”の運命は?

今回のTABETE クラブでは、海老原ファームの海老原さんを迎え、野菜の美味しさや安全性について考えました。
海老原さんの育てた「エビベジ」は一流のシェフにも求められる野菜で、新宿伊勢丹の売り場でも定番のように置いてあるんです!まさしく野菜のプロである海老原さんに、お話を伺います。

さらに、学士会館総料理長兼宴会・レストラン部長である大坂さんにも参加していただき、参加者の皆でディスカッションをしました。

ファシリテーターは、前回に引き続き、ギリークラブを運営する渡辺さんに務めていただきました。

※TABETE クラブについては、記事の最後にある「TABETE クラブとは?」で説明しています。

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本当に美味しい野菜ってどう作るの?

まずは参加者の皆で「そもそも美味しい野菜とは?」を考えました。

最近は「オーガニック」や「無農薬」の考え方が広く知られるようになってきましたが、海老原さん曰く、安心安全に作ることが美味しさへのいちばんの近道。肥料を乱用した時の弊害は、野菜そのものだけでなく土にまで及ぶんだとか。*1

海老原さん「美味しい!と言って食べて
もらえるのが、作り手の一番の喜びです」

野菜の美味しさや安全性に気を配るのは、健康に暮らしたいと思う私たちにとって自然なことですよね。今回は、野菜の味だけでなく「野菜の見た目」についても焦点を当てていきます。

色々な形の野菜を使うのってcoolだよね!という世界に

実は、現代の日本には「規格外野菜」という存在があります。とてもざっくりと説明すると、“出荷する野菜を選別する基準(大きさ、色、形など)から外れている野菜”のことです。

海老原ファームで収穫された野菜のうち、規格外のもの

でも、よく考えると、植物が色々な形に育つのは当然のことです。畑では、カーブを描くように育ったキュウリや、とても早く成長して“爆発”したキャベツなどが日々収穫されています。

こういった野菜たちは、出荷されずに農家さんの元に残ります。もちろん、美味しく食べられるものですから、農家さんが料理して食べたり、おすそ分けをして食べてもらったりするそうですが……それでも食べきれなかった分は、捨てるしかありません。もったいないですよね…。

今回のディスカションでは規格外野菜を食べることが普通の世の中になってほしい!という声が多く聞かれ、そのためにはどうすればいいのか?といった提案にも話が及びました。

学士会館総料理長兼宴会・レストラン部長 大坂シェフ

大坂シェフ「大きさが異なる野菜を扱う場合、切り方や火の通し方を工夫する必要があります。そういう知識を学ぶことが必須になるのでは」


渡辺さん(写真 奥)

渡辺さん「ホテルやレストランは特別な食事を提供する場所であり、料理の流行を生み出す立場でもあります。こういうところから色々な形・大きさの野菜を活かした料理が発信され、広く受け入れられるといいですね」

野菜に限らず、ことさら美味しい食材であれば、料理人もそれだけ腕によりをかけて調理します。すると、ますます美味しい料理になり、食べ残しが少なくなります。そう考えると「美味しい食材」というのは、食文化の発達やフードロス削減に欠かせないものなんですね。

一方で、「美味しい食材」「美味しい野菜」を作ろうとすると、流通に乗らない“規格外”を生み出してしまう…これも現代社会の実情です。現実を知ったうえで、自分に出来ることは なんだろう?と話し合うことのできた今回のTABETEクラブは、非常に意義のあるものだったと思います。

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今回、TABETEクラブに参加してくださった皆さんのように、「規格外野菜がどんどん捨てられるのって、なんだかおかしいぞ?」と感じている人は少なくないはずです。

きっとこの先、“美味しく食べられるものを捨てるのはおかしいよね”という価値観や、“不揃いな野菜を使うのがcool!”という考え方が広まっていくでしょう。

まずは消費者である私たちが「不揃いの野菜が店頭に売られていてもいいよね」と野菜の多様性を認めることが、悲しい運命を辿る規格外野菜たちを減らすことに繋がるのではないでしょうか。

*1 肥料は適切に使用すれば、安定した生産・出荷のために役立ちます。ここでは不適切な使い方をした時の影響について考えています。

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ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。食の未来を担う飲食店オーナーや「食」に携わる皆様が、少しでも、新しい考え方やアイディアを持ち帰ってくだされば嬉しいです。

TABETE クラブでは、これからも盛りだくさんの内容でイベントを実施予定。イベントに関してはこちらのnoteでも発信していきます。
続報をお楽しみに!

TABETEクラブ.vol3 のイベントレポートを公開しました!


TABETE クラブとは?
食品ロス等の社会問題に関心を持ち、かつ美味しいもので世の中を笑顔にしようとする方が集まり、同じ問題意識を持つ各分野の達人と交流できる、「みんなで考え、みんなで学ぶ」完全招待制の飲食店オーナー様・TABETEを応援してくださる方向けコミュニティです。
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取材・編集 山田晴香

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