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手術当日:ついに胸がなくなっちゃった

手術は11時からはじまり、16時頃に終わりました。手術室の看護師さんに声をかけられ、全身麻酔から目覚めます。手術台からベッドへ移されました。そして、HCUへと移動。

看護師さんが、私のバイタルをチェックしたり、点滴や胸に入っているドレーンの状態などをこまめにチェックしてくださりました。もちろん、手術した胸の創も。

はじめて、胸の傷をチェックされた時は、麻酔で頭がボーっとしているにもかかわらず、こみ上げるものがありました。

手術室からHCUへ移動する段階では、手術が終わった安堵感が優先されていました。ところが、HCUではじめて、看護師さんが、私の胸元を開け、創口に当てがってあると思われるガーゼをめくった途端、胸を失ったという感覚が生じたのです。

看護師さんは「傷、キレイですよ。ほんとキレイです。」と私に声をかけます。きっと、術後の私を安心させるために、そのような声がけをしてくだっさたのでしょう。

しかし、その言葉が余計に、「あ~、胸無いんだ。」「ほんとうに、左胸が無くなってしまったんだ。」、「乳房全摘は現実なんだ」、「もう、元には戻らないんだ。」、「取返しの付かない決断しちゃたのかな。」、「やっぱり、胸を元の状態に戻してよ。」とやるせない気持ちに私をさせるのです。

何が辛かったかといえば、涙が出そうなのをグッとこらえたことです。献身的に術後の管理をしてくだる看護師さんたちを前に、泣くのは憚れたからです。ただただ、天上を仰ぎ見ながら、泣かないように努めました。

乳がんとなって、一番辛く悲しいと思った場面です。


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