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TVアニメ『citrus』がいま観返しても良かった話

 TVアニメ『citrus』がYouTubeで期間限定全話無料配信されていたので、およそ2年半ぶりに観返してみた。
 僕は2018年1〜3月にやってたアニメが初見で、アニメ終了後に原作コミックスを全巻買った。観たのは初見の一度きりなので内容を知った上での視聴は今回が初めてだったが、当時は気が付かなかったこだわりを節々から感じられて非常に良かった。
 ということで今回は、TVアニメ『citrus』がどう良かったかを書き留めておこう、というわけであります。

①滲み出る生活感

 ちょっとした違和感で「アニメを観ている」という現実に引き戻されたりするが、citrusのアニメにはそれがまるでなくて、柚子や芽衣たちが僕らと同じ“リアル”に生きているような気にさせてくれる。
 例えば、アニメや漫画のキャラクターがいつも同じ服装をしていたりすることはないだろうか。少年漫画とかでありがちだと思うが、キャラクターの記号としてわかりやすくてもリアリティには少々欠ける(ちなみに僕はリアルに生きてないので、気候に合わせたアウターが1着ずつしかなくていつも同じ格好)。『citrus』は主人公の柚子がギャルという設定上オシャレには特段気を使っているはずなので、服装や髪型が変化するのは絵として説得力がある。
 ほかにも、柚子たちが遊びに行く場所がカラオケやファミレスなのも等身大の女子高生だし、屋外の看板とかショッピングモールの店舗の雰囲気とか部屋にある小物とか、少ししか映らないであろうカットですらリアリティを追求した細かい配慮がみられる。

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柚子と芽衣の部屋の棚。柚子は漫画とかCDとか平積みしてそうで解釈一致。

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OPにある化粧道具のカット。女性の化粧セットを見たことはないが、こんな感じなんだろうなという説得力に満ち溢れている。

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TVアニメ『citrus』には「食事監修」の方がいらっしゃるそうで、ご飯やスイーツがどれも美味しそうな上に生活感もすごい。

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柚子の手作りクリスマスケーキ。クマさんのところを芽衣にあげるのめっちゃ良い。

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毎日変わる柚子の髪型。それだけでなく、リボンの柄やイヤリングも毎回違う。どの髪型も似合っててかわヨ。

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修学旅行で寝坊したときは、ノーメイクで急いで出てきて新幹線の中でいじってるのがめっちゃリアル。

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1枚目は4話冒頭ではるみんの家に居候させてもらうシーンでのカット。電話帳に登録されてる名前と連絡先の多さがリアル。よく見るとまつりの名前もあり、実は4話時点で登場してることに。

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8話で柚子・芽衣・まつりの3人がお台場に行った帰りのカット。駅のお知らせってなぜか絶対字汚いよね笑。

 アニメの制作現場では“ギャル像”に関するジェネレーションギャップを無くすために、「ギャル監修」として実際のギャルの方を呼んであれやこれや聞いていたりもしていたそう。化粧道具が細かく描かれてたりしてるのもそのこだわりの表れなのだろう。
 他にも、はるみんが取り出すクーポンやまつりが柚子の恋心に気づくプリクラがスマホになっていて原作と異なり、イマドキっぽさのリアリティに事欠かない。

参考:「ギャル監修」って何ですか?百合アニメ『citrus』が求めたリアリティ(KAI-YOU)
https://kai-you.net/article/50102

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 とまあこんな感じで、アニメではリアリティのある細かいこだわりが随所に散りばめられている。『citrus』はファンタジーじゃなくて現実世界がモデルだからこそ、生活感を感じられると安心して観られるので描写が細かいのはありがたい。


②「豊洲」というロケーション

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 アニメ『citrus』で柚子と芽衣が暮らす家があるのが豊洲。豊洲は東京湾にある埋立地で、区画整理がなされたのが平成に入ってからというのもあってか街並みがとても綺麗で素敵。

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藍原家の目の前の道。広くて綺麗な歩道と整えられた街路樹が僕的好み。ちなみに藍原家のあるマンションは実在はしないそう。

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豊洲・お台場あたりはこういう大型ショッピングモール多い印象。ショッピングモールの外観も結構好きかも。OCEANCITYの元ネタはアクアシティお台場らしい。

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アニメで特に好きなのが海から望む東京の夜景。ロマンチックでとても絵になる(絵だけど)。

 私事ではあるが、アニメがやってた年の4月と5月に二度、自転車でディズニーに行ったことがある(独りで)。横浜住みだったのもあって豊洲・お台場経由だったのだが、この辺りは本当に景色が良くて走ってて楽しかった。全く意識してなかったけど、アニメ終了が3月でちょうどcitrusにハマってた時期もありOPEDを聴きながら通ったので、今でも曲を聴くと当時のことを思い出す。

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当時の写真。右に東京タワーが写っているが、さらに右手にスカイツリーも見えた。行きは勝鬨橋から豊洲方面に抜けて、帰りはお台場からレインボーブリッジを歩いて渡った。寄り道したり迷ったりで時間は掛かったが大体片道3時間くらい。

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EDのラストカット。夜景とサブロウタ先生の絵のマッチが素晴らしい。この絵といい曲といい当時を思い出すので大好きな一枚。


 原作では、アニメ放送後の10巻でこそ豊洲公園でのシーンがあったりとロケーションが統一されるようになったが、それ以前はアニメとの印象がかなり違う。藍原家は高級マンションなのに街並みがドラえもんに出てくるような“The・住宅街”だったりして、アニメを観たあとは「アレっ?」となったり笑。
 色付きのアニメだからこそ、ロケーションの良さが場面を際立たせてくれていると思う。

参考:「citrus」最終巻(10巻)に見る漫画と街のコントラストについて | 感想・聖地巡礼
https://note.com/nagareruiota/n/n46c24a9ec244


③キャラの表情

 原作のサブロウタ先生は絵が非常にお上手なのでアニメ化にはハードルもあっただろうに、アニメ絵も負けず劣らずで本当に素晴らしい。特に芽衣は口数が少ないキャラなので感情の動きを表情であらわす場面も多いが、原作もアニメもそれを巧みに表現していて脱帽である。

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1話の「キスなんて、こんなものよ」のシーン。原作は頬を赤らめていて印象が異なるが、アニメ絵のアンニュイな雰囲気も場面にマッチしてて良い。

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2話の「もっとアンタは自由にしてもいいと思う」「大丈夫だから、あたしがいるから!」のシーン。ここで芽衣の心の壁がひとつ破れたんだと思う。ここの柚子イケメンムーヴすぎて大好き。

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2話ラストで自分の恋心に気がつくシーン。1枚目の髪の毛の感じ好き。

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3話ラスト、理事長室での「こんなお姉ちゃんでごめん」。ハッとする芽衣の顔が良すぎる件について。

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4話の柚子パパのお墓参り。ここでまたひとつ芽衣の壁が破れたのかな。原作だと柚子パパが亡くなってるのはママとの会話でしれっと明かされるが、アニメではこの場面までわからない良改変。

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6話での「あたし見てたから、だからもう自分を責めないであげて」→「あたしがしたいからに決まってんじゃん」。芽衣が恋に落ちたのはきっとここじゃないかな〜、、

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その後、芽衣パパとの確執が解けてからのキス。柚子も芽衣も一方的なキスはこれまでしてきたけど、お互いに求め合ってのはここが初めて。芽衣が恋心に気づいたのはここだと思うな〜、、

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7話の柚子とまつりのキス。悪い顔したまつりと脳が破壊された芽衣の表情、どちらも大好きです笑。

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9話で、一緒に帰ろうって言ったのに置いていかれたはるみん。怒ったはるみんも可愛い。

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10話冒頭のクリスマスの夜。まつりよりも芽衣を見てくれる柚子に対して素直に自分をさらけ出すも、拒絶される。初見じゃ芽衣の行動はどれも突拍子なくてよくわからなかったけど、ここ相当ショックなシーンだわね、、

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11話で姫子にバレないよう柚子を庇うシーン。ここ、クリスマスの件で距離を取ってて1ヶ月くらい柚子禁してるわけだから芽衣は相当バクバクだと思う笑。

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12話での告白。頬に手を伸ばすも戻したり髪をいじったり、ここの芽衣の心理描写ほんとたまらん。

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からの「おかわり」。尊さのあまり僕はここで息絶えました。

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原作にはない場面。お互いマフラーを手で下げてるの大好き。


 ここまでアニメのダイジェストみたいになってしまった笑。表情が全編通して素晴らしいというのは伝わったはず。

④細かい良改変

 アニメでは原作と少し異なる場面があるのだが、どれも痒いところに手が届く良改変。

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また海外へ旅立つ芽衣パパを送り出すシーン。原作で改札越しに芽衣が「行ってらっしゃい、お父さん」と言って送り出すのも良いが、何と言葉を交わしたのかわからないアニメ版も好き。

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藍原学院を出た後、立て看板を蹴飛ばすまつり。その後自分で通報するとこまでまつりっぽい。

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柚子がサラに、自分も女の子に恋をしていることを打ち明けるシーン。原作では新幹線の中で話すのだが、ひと通り二人で修学旅行をして関係性を深めたからこそのセリフの重みがある。

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修学旅行編で柚子の告白の後押しをするか迷う、原作にはないまつりのシーン。アニメは原作の4巻までの話で悪女ムーヴばかりのまつりは嫌われやすい立ち位置だが、この場面が差し込まれたことでアニメ勢にも「あれ、意外と良い子なのでは?」という印象を持たせられたと思う。


 ほかにもいくつか原作と異なるシーンがあったが、どれもよりシナリオに深みが増すような良い改変だったと思う。


おわりに

 大変長くなってしまって申し訳ない。僕はこういったブログの類を書くのが初めてで加減がわからず、書きたいことを全て書いたらこうなってしまった。たぶん画像が多いと読み込みに時間がかかって良くないのだろうが、これでも頑張って削ったのよ、、、笑。

 ここまで見てくれた人が居るのかはたしてわからないけど、きっとこんな辺境の地まで辿り着いたあなたは相当なcitrusファンだと思うので、ウンウン頷きながら読んで頂いたのではないだろうか。
 また、もしまだアニメも漫画も見たことがない方がこれを読んで少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひアニメから観るのをオススメしたい。ここまで書いたようにアニメ版は描写も丁寧な良アニメだったので、キチンと楽しめると思う。今どきネトフリとか何かしらのサブスク入れば観れるだろうしハードルは高くないはず!それでアニメも楽しめたら原作まで読んで欲しい。アニメが4巻までで、原作は全10巻だからそこそこお求めやすい価格に収まるかと。
 4巻までのお話も好きだけど、citrusが面白いのはここからだから、2期を切実に希望します。でも8巻じゃキリが悪いから難しいかな、、、
 ちなみに僕が一番好きなシーンは、9巻35話のラストです。あそこは何度見ても切なくなって泣ける。そこから10巻フィナーレまでのスピード感も最高。まじで読んで!

 長くなりましたが、ここまで読んで下さってありがとうございました!!


P.S.
 この度citrusについて色々調べてたら10巻特装版の特典がすごいという情報を聞きつけたので、新装版も持ってるけど買い直しまして、


控えめにいって神。


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