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【解の一つ】人生の目的とは

 貴方は、人生の目的について考えたことがあるでしょうか?

 明確な目的を持って日々邁進しているかもしれませんし、日々の忙しさに追われてそんなことは考えたこともないかもしれません。もしかすると、何のために生きているか分からないと悩んでいるかもしれません。

 VUCA時代(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)とも言われ、先行きが見えにくく何が正解か分からない世の中では、生きていく上での指針となる目的は、重要なものだと考えています。

 今回は、私なりに考えた人生の目的について述べていきます。もし、貴方が何のために生きているのか分からないと思われているのであれば、少しでもお役に立てれば幸いです。


1.生まれつき目的を持っている人はいない

 初めに、私は、生まれつき目的を持っている人は基本的には存在しないと考えています。それは、人は自らの意思で生まれるのではなく、自分以外の力によって気付いた時には生まれているからです。従って、人生の目的を持っていないことは自然な状態と言えます。

 勿論、宗教上の聖人や過去の偉人の中には、生まれた時から神から与えられた使命を果たすことを目的として持っている人もいるかもしれませんが、それはごく少数の例外と考えてよいでしょう。

 また、生物としての生存目的、例えば種の存続や子孫繁栄などを生まれつきの目的とすることはできるかもしれません。しかし、それは人に限らず生物全てに当てはまる自明のことなので、人に限った「人生の目的」からは除外して考えたいと思います。それに、後述しますが、人はそこから逸脱できる唯一の生き物であると考えています。

 補足ですが、人が生まれつき目的を持っていない一方で、法律上は人とみなされる法人などの組織については、生まれつき目的を持っています。これは、組織というものが、人の「何かの目的を達成するために必要である」という意図によって作られているためです。それについては、過去の投稿で少し触れているので興味があればお読み下さい。

【解の一つ】組織における利益と理念の葛藤 ー私が会社を辞めた理由ー|橘 大悟 (note.com)

2.人生の目的は二段階で見つける

負の経験が己を人生と向き合わせる

 前述の通り、人は、生まれたときには人生の目的を持っていません。そして、特に意識しない限りはそれについて考えることも稀なように思います。

 それでは、人が人生の目的について考え始めるのはどういう場合が多いでしょうか。私は、人が生まれてから様々な経験をする中で、負の経験をした時がそれに当たると考えています。負の経験とは、苦しみ、悲しみ、怒り、絶望などです。こういった経験をすると、私自身がそうであったように、人は自然と自分の人生と向き合ってしまうようです。

 そうなった時に、人は自分の人生とその意味について考えるようになります。そして、答えが見えない時に、人は真の意味で絶望し、鬱になったり、最悪は命を絶ったりしてしまいます。そうならないためにも、自分で人生の目的を自覚することは重要だと考えています。

無理なく人生の意味を見つけるための二段階

 急に人生の目的を見つけろと言われても難しいでしょう。そこで、私は、人生の目的を二段階に分けて考えています

 一段階目は「人生の目的を見つけること」を目的とします。せっかく人生の目的について考えても、すぐに納得のいく目的が見つかるとは限りません。誤った目的を定めた結果、ますます人生に絶望するのではなく、その前に目的を見つけることを目的とする期間を設けることで、漸進的に理想的な状態へと移行していきます。

 二段階目は、一段階目の目的を達成し、見つけた目的に向かって進んでいく段階です。ここは人によって目的が違いますから、具体的な目的達成のアドバイスは難しいのですが、やや抽象的ではあるものの、私の考えを後述します。

 人によってはこんなまどろっこしい考え方は必要ないかもしれません。しかし、私は全ての人が無理なく進めていくことが大切だと考えています。できる人はできる人なりの方法で、できない人はできない人なりの方法で、最終的にできるようになれば良い。それが私の考え方です。

3.第一段階:目的を見つけることが目的

人だけが自由に目的を持つことができる

 もし貴方が、人生の意味を見いだせていないのであれば、まずは騙されたと思って目的を見つけることを目的としてみてください。それだけでも貴方の人生に意味が生まれてきます。意味があるということは継続すべきということです。暫くは目的を見つけるという目的の達成に向けて行動してみて下さい。

 自身で目的を見つけるという行為は、恐らく人にしかできない行為です。他の生物の本能に根差した種の存続などから外れた、人を人たらしめる行為だと思っています。

 人生の目的を持つことの意義は、自分の中にぶれない軸を持つことで、周りに流されず、自分の人生に納得感を持つことができ、ひいては人生の豊かさにつながることです。

 人生の目的とその意義については、リチャード・バック著「かもめのジョナサン」ほど上手く表現した小説を私は知りません。短めの物語ですが、深い洞察に満ちた本なので、是非読んでみることをお奨めします。

目的と目標の違い

 目的の見つけ方の前に、目的と似た言葉である目標との違いについて述べておきます。この違いを理解することは、人生の目的を見つける上で非常に重要です。

 私は、目的を「方向」、目標を「地点」と定義しています。

 目的は、進んでいく方向を指し示し、そこに向けてどれだけでも進んでいけるものです。一方の目標は、到達地点を指し、目的の途中にある具体的な通過点になります。

 例えば、勉強をして知識を磨き世の役に立つことが目的であり、その過程として、勉強して東大に合格することが目標としてある、などです。

 ここで重要なのは、あくまでも「目的」を見つけることが大切であるということです。

 「目標」は地点なのでいつかは達成できます。しかし、達成した後にどちらに進むべきかが分からなくなってしまいます。「目的」は方向なので、いくらでもそちらに近づいていくことができますが、終わりはありません。

 人生の指針として正しいのは「目的」です。目的を見つけた後に、その通り道の目安として定められるのが「目標」です。

具体的な目的の見つけかた

 具体的な目的の見つけ方として、ここでは「人生の目的=人生でやりたいこと」と置き換えて、八木仁平著「世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド」を参考に書いていきたいと思います。

 目的の見つけ方に当たっては、自分について次の3つを考える必要があります。

  • 好きなこと(興味や好奇心を持つこと) = 個性

  • 得意なこと(頑張らなくても無意識にできること) = 才能

  • 大事なこと(心の奥底から望んでいる欲望) = 価値観

 上記3つの全てに当てはまるのが、同書でいうやりたいことであり、人生の目的の候補になり得ると考えます。例えば以下のようなイメージです。

  • 好きなこと ⇒ 本

  • 得意なこと ⇒ 物事を人に分かりやすく説明すること

  • 大事なこと ⇒ 自分一人の力で他人に良い影響を与えること

  • やりたいこと=人生の目的 ⇒ 自分が読んで良いと思った本の内容を他人に分かりやすく説明・発信し良い影響を与えること

 上記のやりたいこと=人生の目的が見えてくれば、具体的になすべきことも見えてきます。例えば、YouTubeで自分が読んだ本の内容を紹介しても良いですし、評論家になって読んだ本の書評を書いて発表しても良いでしょう。

あくまでも一時的な期間

 ここで一つ注意点をお伝えしておきますと、目的を見つけることを目的とする期間は、短ければ短いほど良いと考えています。そうでなければ、よくある自分探しの旅のように、一生を目的を見つけることで終わってしまいかねないからです。

 言ってみれば、この目的を見つけることが目的とする期間は、人生を前向きに考えるために臨時で作られた特別な期間です。真の意味での人生の目的は、ここで見つけた目的であることを意識して下さい。

4.第二段階:見つけた目的を目指す

 第一段階で見つけた目的は人それぞれだと思いますので、具体的な助言はできません。ですので、ここでは目的を目指すに当たっての私の考えを二つ述べてみます。

必ずしもまっすぐ進まなくても良い

 人生の目的を見つけた後は、そこに向けて進んでいくだけなのですが、私は必ずしもその目的に向けてまっすぐ進まなくても良いと思っています。

 まっすぐ進むとは、最近の言葉で言うならコスパやタイパなどの効率性を最優先にするということです。極端に言えば、目的に関係ないことは一切やらないということです。

 何か一つの目的だけを考えて行動することは、得てして排他的で、関係ないと思える物事に対して不寛容になりがちです。しっかりと考えて取捨選択した結果としての行動であればよいのですが、しばしば視野が狭くなり、物事の表面だけを見がちになり、本当は深いところで自分に関係のある事であすら切り捨ててしまいかねません。

 その結果、目的以外の大切なモノを失うことになり、人生の豊かさを目減りさせることになるかもしれません。

 ですので、人生の目的は、貴方の人生の指針としてとても大切なものですが、大体そちらの方向に進んでいる、徐々に近づいているくらいの感覚で良いと思っています。前述の目的と目標の項でお話ししたように、目的は具体的な地点ではなく方向なので、多少のズレや曖昧さは許容されます。

軌道修正をしても良い

 また、人生の目的を一度定めた後も、必ずしも変えてはいけないわけではありません。なぜなら、外部環境の変化や様々な経験を通して、自分の内面も変化し続けているからです。

 ある出来事を通して、自分の価値観が変わることもあり得ます。その時に、自分のやりたいこと=人生の目的が変わってしまうこともあります。そうなってしまったときは、その時の自分の心に耳を傾け、心の奥底の欲望に従って軌道修正してみてください。

 その時にはきっと、今までの積み重ねが無駄になると思ったり、周囲からの目が気になったりすると思いますが、できれば自分の心の声に従うことを優先してみてください。

 過ちを正すことの重要性に関しては、例えば中国の古典である論語でも言及されています。

子の曰く、過ちて改めざる、是れを過ちと謂う

論語 衛霊公第十五

過てば則ち改むるに憚ること勿かれ

論語 学而第一

 軌道修正に当たっては、また第一段階に戻って、その時の自分に応じた人生の目的を見つけることをしてみて下さい。ただし、あまり時間は掛け過ぎず、次の目的を見つけて取り組むことを意識してみてください。

5.私の目的

 最後に、私の目的についても少し書いてみたいと思います。私が自分の好きなこと、得意なこと、大事なことについて考えた結果は以下の通りです。

  • 好きなこと(個性) ⇒ 考えること、読書

  • 得意なこと(才能) ⇒ 物事を論理的に考えること、人に分かりやすく説明すること

  • 大事なこと(価値観) ⇒ 他人の人生の向上の手助けをすること

 この結果から、私のやりたいこと=人生の目的は、

自分の考えたことや読書して学んだことを、論理的に体系立てて他人に分かりやすく説明し、他人の人生の向上に役立つこと

なのではないかと考えています。

 その一環として、考えたことをnoteで発信することを始めてみた、という経緯があります。過去に発信するという行為を殆どしてこなかったため、そのやり方は試行錯誤の最中ですし、これが自分の目的の実現方法として適しているのかどうかもまだ始めたばかりで判断ができません。

 ですが、過去に考えたり本を読んで学んだりしたことのメモが溜まっているので、それらを分かりやすくまとめて発信し、誰か一人にでも役立てればと思っています。

6.最後に

 「なぜ人は生きるのか」、「人生の目的とは」といった問いかけは、哲学の永遠の課題で、太古から今に至るまで様々な意見があります。私の意見も、あくまでも「解の一つ」として、鵜呑みにはせず、しかし、もし使えそうな部分があれば、参考にして頂ければ幸いです。

 最後に、「人生の目的とは」のような哲学的な問いかけは、しばしば知識人の間だけで留まってしまいがちですが、本来は世界中の人々に遍く恩恵を与えるべきものであると考えています。今後も、私なりの意見を発信してその一助になっていければと考えています。

 (ご参考)岩波文庫巻末記載「読書子に寄す ――岩波文庫発刊に際して」が共感できる内容となっていますのでリンクを貼っておきます。ご参考まで。

 

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