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研究テーマが少し見えてきた、その後どうすればよいのか~7月の学習状況その1

放送大学大学院の修士課程に入学して3ヵ月。きょうは久しぶりに研究の個別指導日でした。担当の教授は毎回とてもありがたいフィードバックをくださるので、きょうもその一部をまとめておこうと思います(私の関心領域は政治とマーケティング、コミュニケーションです)。

ちなみに現状は

・興味のある領域が少し絞られてきた
・骨になりそうな本を2冊みつけた
・興味のある事例が1つある

という感じ。8月中旬に研究レポートを1本出さなければいけない規定があります。まずは研究全般で役立ちそうなtipsをまとめて、その次に自分の研究を今後どう進めていくかについて、じっくり書いていきます。

1. 研究全般で役立ちそうなtips

ひとつめは、文献整理の方法

文献を読むときはそこから学んだ事実だけをメモするのではなく、先行研究がどういう資料を使ってどういう論証をしているのか、どういう手順でリサーチしているのかも合わせてメモするとよい

自分の研究をデザインするときに参考にできるので、よくよく考えると当たり前なのですが、研究の全体像を理解していないとメモできないので、とてもレベルの高い作業です。

次は研究の進め方的なtips

研究はすごく個人に依るもの。先生が「こういう方法でやりなさい」というのを弟子が守ればよいというものではない。それだと自分で理論を立てられなくなる。

研究を成立させていく過程にも、粘り勝ちするタイプだったり、スマートにそれぞれのスタイルがあるそうです。アカデミアに身を置き続けたいと思うのならば、修士課程で論文を書きながら、自分のスタイルを探していくことも大切らしい

そしてTAさんからの助言

研究テーマを探す段階では、「なんでこんなおかしなことになっているんだろう」というパズルが見つかるとよい

なんとなく、「こうあるべきだ!」的な思想ありきの研究(?)みたいなものになるのが怖すぎで、文献に触れたときの自分の心の動きについて、むしろ無視するようなかたちで進めてきていたのですが、「ある事象に対して、自分の感情がどう動くかを見定めるというのも、ひとつの手」なのだそうです。

たしかに、リサーチの段階で論理性・再現可能性が担保されていればよいのであって、今はまだその段階まで至っていません。自分の感情の動きを素直に話したところ、ディスカッションが少し進みました。

 2. 現状を踏まえた今後の研究戦略

なんとなく興味のある領域が見つかった後に、それをどうやって論文にしていくか。先生はいくつかの方法を紹介してくれました(ただし、それぞれが完全に独立しているわけではなく、混ざり合うこともある)。

前提として、放送大学の修士課程レベルで実証研究をやるのは、かなり難しい。
特に私が興味を持っているのは外国の事例なので、実地調査ができる可能性は低く、資料/情報がないと、オリジナリティを出すハードルが高くなる。「これらの限界を把握した上で、限られたリソースでどれだけ意味のあるものを書くか、という視点が必要」と、先生。

そして、このあと本当にアカデミアに進みたいという気持ちがあるのなら、「自分はこういうことをやってきました」と言えるような論文を書くという意識も重要。

そこでうまくいきやすいのは、同じ事柄に関する異なる2つの先行研究を見つけて比較・論証し、修正していくアプローチ。ひとつの研究を追い続けるだけだと、それを踏まえて自分はなにができるか出てこず、手詰まりになる場合があるそうです。

できれば同じ現象に対する2つの研究を比較するのがベストですが、同一でないものを比較する場合は、比較可能にするための作業が必要になるとのこと。いずれにせよ、比較可能なテーマを見つけられるかどうかというのが鍵です。

また「努力勝ち」のパターンとしてケーススタディがあり、ある事象に対して丹念に調べて、他の研究者が言っていないことを言うという方法もあります。これは本当に体力勝負ですが、しっかりまとめればそれなりのものが出来上がる。

「その分野に関してはここまで知っています」と言えるようにもなるので、精神的にも支えになり(笑)、私にはこのタイプが合うのではないかとのこと。この場合もいいネタを見つけることが重要で、日本でいい事例があるならインタビューなどを実施できる場合もありそうとのこと。

他にも、「比較的最近起きている変化について分析したい」という場合がありますが、基になるリサーチがなく、ジャーナリスティックな感じになりがち。そうい方法がないわけではないですが、そういうアウトプットがしたいのかどうか考えた上で取り組むことが重要です。

あとは、気になるテーマに関する関連する事象にとにかく当たりまくって、「なにも出てこないかもしれないと思いながらも、なにか出てくるまで探し続ける」という作戦もあるそう。必ずうまくいくとはいえないけれど、王道な方法ではあるのだとか。でもこれは、ある種の勘が働いていないと難しく、時間との闘いにもなりそうです。

私が着目していた事例も現在進行形で収束していないものだったので、学問的な基礎を自分の中で成立させていく時期である修士課程で扱うのはあまり得策ではないかもとのこと。これに似ていると思えるような歴史的事例をテーマとし、そこから視点を獲得していく方法はあるそうです。

最後に、少しトリッキーな作戦として、王道の政治学者では思いつかない視点でアプローチするというものがあり(正攻法で攻めても到底追いつけないので)、TAさんとのディスカッションによって、少しアイデアが出てきました。ある意味、学際領域が得意な放送大学らしいテーマかもしれませんが、学問的な手続きを経た上で主張ができるのか、という点はとても難しそうです。

ちなみに、研究者養成の大学院でも、サーベイがほとんどでプラスアルファという論文もあり得るので、まずはしっかり先行研究を調べ上げることが大切だそうです。ということで、8月のレポートは最低限、骨子となる2冊をしっかり読みこんでわかったことと自分の研究に活かせそうなことをまとめることにしました。

今週は科目試験もあるので、そちらも頑張ります。

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