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親子で回想法をすることをオススメする理由

こんにちは。今日は、父と回想法をした時の体験談を書きたいと思います。こんなことを思ったよ、とか、こんな効用があったよといった内容をご紹介します。

そもそも回想法とは何か? すごくシンプルに言うと「テーマ(質問)を投げかけることで、かつての記憶を回想するお手伝いをすること」、それにより「人生を振り返ったり、大切にしてきたことに改めて気づくことができたり、家族や周りの人と関係性を深めたり、何より楽しい気持ちになること」などの効用が挙げられます。今は、認知症の予防などでも注目されていますね。専門家でなくても誰でもできるものとして広く活用されています。

さて、私はその回想法を父とやってみることにしました。そしたら、衝撃だったんですよ。当たり前ですが、私が生まれた時点で父は大人です。ある意味出来上がった大人の、また私の親としての父しか知らなっかた訳です。私自身、その親である父を子である私の立場で解釈していたとも言えます。

ところが、回想法をし始めたら少年である父が目の前に見えてきたのです。まるで映画の映像を見ているかのようです。

少年が雨の日に縁側に座って屋根から落ちてくる雨粒を見ている場面や周りにいる家族の暮らし、学校で友人と遊ぶ姿、その地域の伝統行事を楽しみにしている様子等。私のお気に入りは、隣町の親戚の家に行くと饅頭(当時は特別なもの)を出してくれて、それを楽しみに食べながらも大人たちが話している内容を聞くでもなく聞いているシーン。それらは、私にとってものすごい衝撃でした。ああ、と思いました。私の知らない父の側面をそこで初めて実感したんです。

少年も青年になり社会に出ます。そして、その時の時代背景(高度経済成長期)の中で懸命に働きます。かなり厳しい状況の中で、友人や仲間を作り、家族を作り、楽しい時間も大切にしている様子が伝わってきます。父から見た「時代」と言うものも見えてきます。そうすると、なぜ父がその様なことを私(自分の子ども)に言ったのかと言うのも理解できるようになってきました。

私が生まれた日のことも聞きました。思った以上に淡白な感じ(もちろん嬉しいのですが、大騒ぎしない感じ)で今とはだいぶ違うなあと驚きました。父が子煩悩だったことも思い出してきて、小さい頃はよく一緒に遊んだなあなんて懐かしくなりました。それが仕事も忙しくなってきて、今の印象に近い父になってくるんですね。しかし、一貫して家族の幸せを願っていたのは父にとって事実なのです。

最後には人生を通して父が大切にしてきたことを知ることができました。父自身、回想法をすることでそのことに気づく機会になったのだと思います。

回想法をやってみて父との関係性が変わったかというとそれほどでもないんですが(笑)、父への見方が変わったのは確かです。父という人を重層的にみることができる様になりました。たくさんのレイヤー(記憶や時代)があってそれらをつなげる父の人生という線(柱)があるような印象です。

回想法をする目的は「人生を振り返ることで、これからも本人らしく前向きに生きる」ためです。決して、過去に閉じ込められるためではありません。良き聴き手がいる時、人は自分の人生を落ち着いて捉え直すことができるのだと思います。

次回は、親子で回想法をするときのコツを書きたいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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