見出し画像

有田、子ども食器のこと。GK642便羽田行き 長崎空港。

春の陶器市ぶりの有田。今回は進行中の商品開発で動き回る。あと師匠の顔を見に。

有田の焼き物会社さんである玉有の太田剛史さん離乳食食器を企画している。
前職時代には自分がやっていた和ブランドETOWAの店舗で彼から波佐見・有田の焼き物を仕入れ、販売をしていた。
日本の焼き物のこと、流通のこと、九州のことなど右も左もわからなかった20代半ばの僕に多くのことを教えてくれたひとり。自分が個人で仕事をするようになってからも定期的に会って、モノづくりの話や焼き物市場の動向の話などを重ねて来た。

僕も彼も子育て真っ只中。

「うちの子はどちらかというと砥部ですかね。」「ウチは信楽系男子だね。」

それぞれの子を焼きものに例えるほどに、子育ての話が尽きない2人。
自然に子ども用の食器を作りたいと話すようになった。

画像1

今回の企画を通じて、他の家庭がどんな大変さや不便さ、乗り越え方があるのか共有しつつ、その話をしたり聞いたりすることが子育ての悩みを和らげる大きな力にもなるように感じる。
作ろうとしているのは”モノ”である子ども食器だけど、この食器を通じ、子育てについての悩みや他の家庭がどうしているのかを知ったりコミュニケーションが自然と生まれている。これこそが一番の嬉しさであり意義であると気づく。

子育ての助けになるような形状と機能を込めたカタチ。

画像4

画像2


器を作ってもらう予定の窯元、喜鶴製陶さんと打ち合わせをする。
絵本の世界から飛び出してきたようなイラストや焼き物、独特な釉薬と技法を合わせた作品が特徴。ダンディな山口さんはシチリアへ留学経験をお持ちで後の食事会でもデニスと一緒にイタリア話に話が弾む。

少し変わった形と作り方になりそうなため、型を作るために必要な原型づくりを相談しに型屋さんへ行った。河口整型さん。

画像3

型からの抜きやすさや品質などを考えて、もう少し形状に修正が必要だとアドバイスをもらう。型に使う石膏の量に無駄がない作業が印象的。ただ、原型では通常手作りで行うため、ろくろを使ったものだと作れないかな、、という話になった。
そうなると、3Dの切削機を使って石膏の原型をつくれるとこでまずやってみようかということになり、その足で打ち合わせに向かう。最良の方法を話し合う。まず僕のデータを修正、原型用に調整することになりそうだ。通常焼き物は約10%収縮するのでその部分や歪みを計算して型を作っていく。まずは、データを修正せねば。

画像5

画像7

画像8


やりとりやコンセプトについてなど、データ上の確認項目は東京でも遠隔でも可能だとは思う。自分や多くのデザイナーのほとんどが遠隔で仕事をする。
ただ、こうやってその状況に応じた路線変更や、思ってもいないアイディアに進んでいけること。

仕事以外の時間でも人と人との関係性を築きつつ、
デザイナーである自分が産地に滞在していることによって、熱意や意図を作り手の方々に共有できること。

田口さんが今いるウチに、、とスピード感を持ってみなさん取り組んでくれること。
それをものづくりと生きてきた街で数日過ごしながら行えること。やっぱり産地は学びが多い。
ものづくりはもちろん、人の面白さも。
それを僕は短期産地留学と呼ぶことにする。

画像9


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?