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2018 詩集 「名は時の中にある」

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すべて自筆の トップのお写真はどなたかの こらぼれいしょん、これでないと そんな態度で、言葉と向き合っていきたい 2018を綴っています。
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憂鬱

澄み渡る夜よ 遠退く暁に 揺れる声よ いつの刻か再開は廻ると 根拠も無く主張した 夜よ 何…

comuichi.
5年前
3

黒猫と夕

確かな感触は私には在る まだ留まる場所は 要らない 依存ではなくて 理想ではなくて 流れた血…

comuichi.
5年前
4

神経と衰弱と混濁と連環と

僕らが嘘つきなだけで 誰もが嘘つきじゃない だからと言って 殺しちゃならない でもねと言っ…

comuichi.
5年前
5

朗読 呼吸

彩を様々にまとい 街は今、呼吸をする。 その移り変わりに 星の数ほどの物語が生まれた。 時…

comuichi.
5年前
7

H.A.L.F.

なぞっていくばかりの生き方しか知れなかった 遠ざかる陽の陰ばかり追いかける日々だった 振り…

comuichi.
5年前
3

青い朝

雨が通った跡を 僕らは何も知らないまま 歩いている。 雨が通った跡を 僕らは何も感じないま…

comuichi.
5年前
6

壊して その軽率な愛撫が触れたこと すべて 許して この従順な鼓動が告げたこと すべて いっそ財を投げ打って取り上げてしまおうか この世の理に牙を立てて 胡坐かいてる様じゃ 笑い種にもなれやしない ほだされて 裸になって 無様に這いつくばって そう。 あなたは あなたは紳士ではないのだから 咄など聞いてもらえるなどと 思わないことさ 生かして 吐き棄てた意味のなかで 真っ白になるよう 啄んで 汚れを拒むように強く 強く 強く 『手』

魚の骨

いつかの嘘が言葉に胸に突き刺さる 確か、拭い去った。どうやらそれは つもり、だった。 軋ん…

comuichi.
5年前
7

I & night & full moon fish.

どこからか湧きあふれ どこへとなく渇いていく月色の泉 物語の種を摘みに 今宵も男の子が独り …

comuichi.
5年前
8

scat.

雨音は甘える仔猫の足音 弾ける滴がまた滴を連れて踊る 紅葉はよく風邪をひく吟遊詩人 上ず…

comuichi.
5年前
6

踵を鳴らして行けば

思い出の手招きで僕は 高架下から這い出るように繋がる ただ青いばかりの空へ 右手に持った…

comuichi.
5年前
6

冬景色

雑多なレビューに埋もれちまった 古臭えロードムービー そこには素っ裸の愛があった 知らず…

comuichi.
5年前
3

とまと

上手く切ると ハート型になると言って 君が切ると それなりの形になって とまとは有るがま…

comuichi.
5年前
2

冬うらら

星降る中に数多のてふてふ舞う 僕はてくてくと、誰が呼んでいるわけではなく てくてくと、 欲しがるばかりの三日月が やがて満月になるとしても 赤々と変容していく思い出には もう涙も言い訳も添えられない。 風の行方が時の行方か 花の蜜は性的な示唆 慈愛を懐柔し、脆いと分かり切った擬愛を夜に託す。 誰もが皆、孤児で名無し児 縋るものを争奪しあい、波打ち際に孤独を綴る そのように日々は重なり、乖離し ふわふわと漂泊する。 息つく間もなく願いの宿る刹那 その隙間を僕はてくてくと歩い