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2023年グランドスラム第3戦「マスターズ」の私的見どころ6選

2023年12月12日からカナダ・サスカチュワン州サスカトゥーンで行われるのが、カーリング界の最高峰を決める大会グランドスラムの第3戦「マスターズ」です。

グランドスラムのたびに、大会の見どころについて書きたいことがあり、Twitterでだらだら書こうかとも思ったのですが、最近Noteに文章書いていないしなぁ、ということで、第1節開始の30分前に書き始めています。急ぎで書いているので、雑な文章になるかと思いますが、先にあやまっておきます。ごめんなさい。


大会の概要

まずは、女子の対戦表を示しながら、どういう方式でチームが対戦するのかを、簡単に説明します。グランドスラムの標準的な対戦方式は、全16チームを4つのグループに分けて、あるグループの4チーム(例えば、🇯🇵ロコ、🇨🇦エイナーソンを含むオレンジの4チーム)は、同じ4チーム(ここでは🇰🇷キム ウンジ、🇨🇦J.ジョーンズなど青の4チーム)と対戦するというものです。(次戦から変わるという噂もあります)

2023年マスターズ 女子予選対戦表

男子も同様です。

2023年マスターズ 男子予選対戦表

ちなみに、予選の試合の配信があるのは、第10節から第12節、そして、第14節から第16節(つまり、予選の後半だけ)です。基本的には1試合を追いかけ、同時に行われている他の3試合の結果を短い映像と共に随時紹介する形式です。ロコ・ソラーレの試合がメインの配信カードじゃなくても、その時間帯の配信を見ていれば、スキップの後攻2投目はだいたい見られるでしょう。準々決勝以降(タイブレークは含まれない)は、その時間帯の試合を順に見て回る形式で配信がされます。私が作成した配信カード予想(正式な配信カードは後日公式ウェブサイト上で発表されます。)は、以下のようになり、今大会では予選の🇯🇵ロコ・ソラーレの試合は配信されない可能性が高いと思います。つまり、予選通過してくれれば、ロコの試合が見られる(当然、決勝は最初から最後まで)ということです。配信は有料で、事前に登録して、視聴パックを購入する必要があります。

2023年マスターズの配信カード予想

見どころその1:復調気配の🇯🇵ロコ・ソラーレ

まずは、今回、日本から唯一の参加となったのが🇯🇵ロコ・ソラーレです(日本の男子チームも他の女子チームもがんばれ!)。地元常呂で行われたアドビックスカップでは見事優勝したものの、カナダ遠征開始序盤は意外な敗戦(例えば、日本の別のチームに対して)があるなど、不安定なパフォーマンスが散見されました。それは選手たち自身の言葉を言い換えるとすれば、“破壊的創造”をする時期で、一時的に成績が落ちても、その後に1段階上のパフォーマンスを見せるための準備期間だった訳ですが、グランドスラムも最初の2大会は予選敗退(2戦目「ナショナル」は今年からのDSCを使った順位決定に振り回されたとも言えますが…)。私のようなわがままなカーリングファンは、“そうは言っても、あまり成績が悪いと不安になります!”という気にも多少はなっていたかと思います。

ただ、今シーズンの大切な大会の1つであるパンコンチネンタル選手権(PCCC)では優勝にこそ手が届かなかったものの、強豪チーム相手に勝利もあげて、見事な準優勝でしたし、先週サスカチュワン州スイフトカレント行われた「ウエスタン・ショーダウン」では、チーム4人が力を合わせて戦うロコ・ソラーレらしい戦いぶりで安定した成績を残して、ベスト4に入りました。

そもそも前回のグランドスラム第2戦だって、試合の成績は予選4試合で2勝2敗と今回であればタイブレーク(予選通過チームを決める試合)に進める勝敗でしたし、今回の対戦相手は第2戦の対戦相手と4チーム中3チームは同じ。先週ぐらいのパフォーマンスが見せられれば、今季初めての予選通過も十分に見えてくるでしょう。

見どころその2:欧州選手権後の各出場チームの動向(🇸🇪エディン、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアット、🇮🇹コンスタンティーニなど)

世界的に見れば、PCCCに加えて、欧州選手権(ECC)も終わり、今季の世界選手権出場国がすべて決まった直後の時期に当たります。3週間前に終了した欧州選手権に出場して、今回のグランドスラムにも出場するチームは、男子が5チーム(🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアット、🇸🇪エディン、🇨🇭シュヴァラー、🇮🇹レトルナス、🇳🇴ラムスフィエル)、女子が4チーム(🇨🇭ティリンツオーニ、🇮🇹コンスタンティーニ、🇸🇪ヴラノー、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿モリソン)。この9チームが欧州選手権という大事な大会を経て、どのようなチーム状態にあるのかを考えると、良いパターンと悪いパターンの両方が考えられます。

良いパターンというのは、“欧州選手権に合わせて一度チームを仕上げたので、その効果で良いパフォーマンスが見せられる”というもの。例えば、去年の事例で言えば、2022年の「マスターズ」が開かれたのは2022年欧州選手権の2週間後。この大会では、今や世界ランキング1位の🇮🇹レトルナスがグランドスラム初優勝を遂げ、予選通過8チームのうち、欧州のチームが6チームを占める(去年のグランドスラムでは最多)など、欧州のチームの活躍が目立ちました

今年はPCCCの直後のグランドスラムである「ナショナル」で、PCCC女子優勝チームである🇰🇷キム ウンジがグランドスラム初優勝を遂げましたが、このように一度パフォーマンスを上げることで、その効果がしばらく続く可能性が1つあります。

反対に、悪いパターンというのは、“欧州選手権の疲労がたまっている、ケガをしている”という類のものや、“大事な大会が終わったので、身体を休ませる”といったもの。今年の話で言えば、例えば、先日、軽井沢国際カーリング選手権に出場した🇸🇪エディンは、セカンドのヴラノー選手がポジションをバイスに変更(=スイープの機会を減らすためか)したり、数試合を欠場したりしており、ハッキリとした原因は発表されていませんが、欧州選手権の影響があったのではないかと推測されます。また、今回の「マスターズ」では🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアットのサードであるグランド選手が軽い手術を受け、まだ回復期間であることから、欠場することがチームのInstagramで発表されています。

また、これも因果関係はわかりませんが、先週の「ウエスタン・ショーダウン」では、ヴラノー選手が復帰した🇸🇪エディンも決して絶好調という感じではなく、最終成績はベスト8止まり。また、欧州選手権女子準優勝に輝いた🇮🇹コンスタンティーニに至っては、大会でバイスを務めた選手が欠場し、昨年まで主にバイスを務めた選手が出場した影響もあったのか、予選を4連敗で終えており、ここまで2大会連続で予選通過していた今季のグランドスラムですが、第3戦でどのようなパフォーマンスを見せるのか、気になるところです。

見どころその3:欧州選手権に出場しなかった欧州チーム(🇸🇪ハッセルボリ、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ホワイトなど)

今回の欧州選手権では、🇸🇪スウェーデン女子代表にチーム🇸🇪ハッセルボリではなく、チーム🇸🇪ヴラノーが選ばれたことが、大きな話題となりました。これは代表決定戦で直接対決をした結果、🇸🇪ヴラノーが自分の手でつかんだチャンスですが、🇸🇪ハッセルボリからすれば、欧州選手権に出場しなかったのは2015年以来(大会中止を除く)のこと。

🇸🇪ハッセルボリは、休養十分でやる気に満ちているのか、または、例年と少し違うシーズンとなって、本調子が出ないのか。ただ、スウェーデンの女子はまだ世界選手権代表争いが残っており、今回は代表決定戦はせずに、今季の獲得ポイントをベースに代表が選ばれます。現状は🇸🇪ハッセルボリ 202.5p vs 🇸🇪ヴラノー 143.25pと、🇸🇪ハッセルボリがリードしていますが、グランドスラムで大きくポイントを稼がれると、世界選手権の代表も🇸🇪ヴラノーに取られてしまいかねません。特に今季は大会のプレーオフで🇸🇪ハッセルボリが直接🇸🇪ヴラノーの上位進出を止めた大会が、今季すでに4大会(🇸🇪ヴラノーが今季出場した大会は8つ)もあります。お互いにプレーオフ進出するほどの強いチームであることの証明でもありますが、今大会は予選での対戦が決定済み。この対戦の結果が予選通過を左右するのかどうかにも注目です。

2024年女子世界選手権のスウェーデン代表争いの途中経過

男子の欧州チームで注目すべきは、スコットランドから4チームも出場することでしょう。欧州選手権でも見事に優勝した🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアットがその筆頭ですが、実は今季のグランドスラムでの成績で言えば🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ホワイトの方が上。🇸🇪ヴラノー同様、すぐ上の年代に強いチームがあることで、ジュニア卒業以降は世界大会に出場できない状態が続いていますが、今季も世界ランキングもひと桁台(現在7位)を確保し、世界トップクラスと比べても遜色のないカーリングを見せています。3人で大会に臨む🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアットを今大会でも上回る成績を残して、代表選考を行うカーリング協会を悩ませたいところです。

見どころその4:復権を目指す🇨🇦カナダ勢(特に🇨🇦カラザースや🇨🇦グランディー)

近年言われているのが、グランドスラムに出場するカナダのチームの減少ですが、前回は今季からタイブレークを廃止したルール変更のあおりを受けて、男子で予選通過したカナダのチームがわずか1チーム(出場7チーム中)、女子でも3チーム(出場7チーム中)と少なく、🇨🇦グジューの連続予選通過記録も27でストップすることになりました。日本を含む海外のカーリングファンからすれば、自国のチームが最高峰の大会に多く出場するのはうれしいことでしかないですが、グランドスラムという大会自体が、カナダのカーリング選手が待遇改善を求めて起こした運動の結果として生まれた大会であることを考えると、少し残念であり、あまりこの状況が続くと大会の運営体制にも影響を与えかねません。(スポンサーの多くがカナダの企業で、上で紹介した大会の予選の配信カードもカナダのチームが含まれる対戦しか配信されません。)

今大会からは、今年から始まったばかりの予選通過決定方式を従来のものにさっそく戻し、タイブレークが復活することになりましたが、カナダのスポーツ番組では苦しまぎれに“海外の選手の方がLSDが上手”などという真偽の怪しい言い訳も飛び出していました。タイブレークが復活した今回はそんな言い訳は通用しません。

グランドスラムでの成績不振も相まって、世界ランキングが下降するチームも散見され、男子で言えば🇨🇦カラザース(フォルティウスの元コーチであるニェゴヴァン選手も在籍中)、女子で言えば🇨🇦グランディーといった昨季のグランドスラム常連も、出場権の確保が危ぶまれています。グランドスラムへの出場を“サイクル”だと表現する人もいるように、出場し続けることはある程度できても、一度出場権を失ったチームが戻ってくるのは難しい(グランドスラムでの大きなポイント獲得ができなくなるため)のが、今のグランドスラムの仕組み。次のグランドスラム第4戦「カナディアン・オープン」の出場権は、今週の大会終了後の世界ランキングで決定される予定で、文字通り今回が最後のチャンスになるかもしれません。🇨🇦カラザースは、サードとフォースを入れ替えて、五輪金メダルスキップのB.ジェイコブス選手にスキップを任せるようですが、どんな結果になるのか楽しみです。

見どころその5:高いパフォーマンスを見せ続ける🇰🇷キム ウンジョン

その“一度出場権を失ったチームが戻ってくるのは難しい”を見事に達成したのが🇰🇷キム ウンジョンです。元々、2018年平昌五輪🥈銀メダル、2022年世界選手権🥈準優勝と、実績を残してきたチームですが、昨季は活動をセーブしていました。五輪直後の年(4年間のサイクルの1年目)であること、活動拠点カンヌン(江陵)へのユース五輪招致に参加したこと、同地での世界MD選手権開催に協力したこと、結婚した選手がいることなど、その理由はいくつか推測されますが、世界ランキング6位で始まった昨季をランキング27位で終えることになりました。(グランドスラムは前半3大会に出場し、ベスト8が1回)

ただ、今季はシーズン最初の大一番である韓国選手権こそ、🇰🇷キム ウンジに敗れるものの、9月中旬からカナダ遠征を開始すると、帰国するまでの7大会を優勝2回予選落ちなしで乗り切る活躍ぶり。第11週に決勝で🇯🇵フォルティウスに勝って久しぶりの大会優勝を飾ると、レベルの高い大会のベスト4をはさんで、2週間後にはグランドスラム第1戦「ツアー・チャレンジ」の2部イベント(Tier 2)で優勝。この優勝の副賞がグランドスラム“第4戦”「カナディアン・オープン」の出場権なのですが、世界ランキングが上がりすぎて、今回第3戦の出場権を先に得てしまったほどです。結局、この優勝→ベスト4→優勝という3週間で100ポイントを超えるポイントを獲得(私の印象では、1大会で20〜25ポイント稼げれば、それでもグランドスラム出場圏内に残れます)し、もう1大会出場後に一時帰国しました。

11月末の🇰🇷国内大会「ウイソン・カップ」から大会出場を再開すると、PCCC優勝&グランドスラム初優勝で時の人とも言える🇰🇷キム ウンジを決勝で下して優勝。翌週、大盛況だった🇯🇵「軽井沢国際カーリング選手権」では圧倒的なパフォーマンスを見せ、🇯🇵中部電力に決勝で敗れるも準優勝。そして、カナダへ再渡航した1週目の「ウェスタン・ショーダウン」でも、強豪に次々と勝利を収め、さっそく優勝と、もはや手がつけられない状態です。

ほぼ1年ぶりのグランドスラムでいきなり結果を残すのは難しい…と言いたいところですが、最近のパフォーマンスを見る限りでは、グランドスラムだろうとなかろうと、このチームに勝てるチームを探す方が大変そうです。反対に、相手が最近の対戦データを持っていない分、有利な面もあるのかもしれません。1年ほど前に、これまでのグランドスラム参加大会数と初参加からの年数を調べた時には、🇰🇷キム ウンジョンもそろそろ優勝しても良い頃という結論に至ったのですが、その順番がやってくるのかどうか…。(ちなみに、🇸🇪ヴラノーはグランドスラムの次戦でさっそく初優勝を果たしていきました。)


見どころその6:初出場・2大会目のチーム(🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ブライス、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁣󠁴󠁿󠁣󠁴クレイク、🇺🇸ストラウス)

第2戦「ナショナル」では4チームがグランドスラム初出場を果たしましたが、今大会の初出場は🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ブライスだけです。Instagramストーリーで見たグランドスラム恒例のチーム紹介動画の撮影風景では、おなじみの回転する台の上にガチガチに緊張した表情で立っていたので、少し心配です😆。

今大会が2大会目の🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁣󠁴󠁿󠁣󠁴󠁿クレイクは、グランドスラム初戦で見事に予選を通過。世界ジュニアで“2年連続出場・共にメダル獲得”というのは、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿󠁴󠁿󠁴󠁿モウアット、🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿ホワイトも通ってきた道で、その系譜に続く選手かと思うと、今後も期待が高まります。ただ、前回は2勝2敗でDSCによって予選通過となった訳ですが、仮にタイブレークがあったとして、🇨🇦グジューや🇨🇦ダンストンに勝てたと思うかと聞かれれば、そんなに簡単なものだとも思いません。世界ランキングも12位まで上がり、少なくとも今後数大会はグランドスラムに出場できそうなので、その中でどういう成績を残していくのか、楽しみなチームです。

前回の初出場チームのうち、連続出場となったのが🇺🇸ストラウスです。日本のファンの中には、🇯🇵日本が優勝した2022年世界ジュニアで🇯🇵女子ジュニア代表とも対戦し、結果的に3位になった🇺🇸ジュニア代表チームとして、初めてそのプレーする姿を見た人もいるでしょう。2023年末から年始にかけての「WCTニューイヤーカーリングin御代田」で来日することでも、最近はその名を知られているでしょうか。前回の全米選手権は2位で、ポスト🇺🇸ピーターソンの最有力候補とも言えるチームです。初出場だった「ナショナル」では未勝利に終わり、今大会でグランドスラム初勝利をあげられるかに注目です。ただし、今大会も🇨🇦エイナーソン、🇯🇵ロコ・ソラーレ、🇮🇹コンスタンティーニと言った強い相手との対戦ばかりです。かつて🇨🇦ラドゥサーにグランドスラム初勝利を献上して以来、「ロコは初物に弱いのか?」という疑念がわずかにあるのですが、ロコ・ソラーレの初戦は大丈夫でしょうか…(と書いている間に、ロコの勝ちが決まりました)。

今大会の予選通過チーム予想

グランドスラムは去年から予選通過チームを予想しています(ただのお遊びです)。優勝予想でも良いのですが、実力伯仲でとてもじゃないですが当たりそうにないので、16チームから予選通過の8チームを予想しています。今大会の予想は下の図の◯や△のついているチームです。

2023年マスターズの予選通過チーム予想

今大会は、欧州選手権の影響、先週の大会での意外な好不調などがあり、いつにも増して予想が難しかったので、当たらなくてもご容赦ください。

1試合でも多く、面白い試合が繰り広げられることを心から願っています。

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