セカンドハーフ通信 第113話 お薦めの駅弁

お薦めの駅弁

駅弁には不思議な魅力がある。どこでも食べられる機能性もさることながら、それぞれの地方の特色を活かした駅弁は郷土色豊かで楽しい。

そんな中でもやはり出来の優劣はあるが、私のお薦めの駅弁がいくつかある。そのひとつが高崎の鶏めし弁当だ。販売開始は昭和9年(1934年)とのこと。なんと85年間も売れ続けている。ロングセラーには理由があるはずだ。

この駅弁は、鶏尽くしで、中身は茶飯、鶏そぼろ、海苔、鶏の照り焼き、コールドチキン、赤こんにゃく、舞茸入り肉団子、栗甘露煮、かりかり梅、わさび風味の野沢菜漬けだ。

美味しいと思う駅弁はまた食べたくなる。どこが違うのだろう。食べて思うのは、全体のバランスがすごくよいということだ。

こんなに鶏ばかりが入っていても、それぞれが微妙に違う味付けになっている。小さなところで努力しているのだ。だからこそ食べるたびに楽しめて、飽きない。

また、味付けがしょうゆベースなのだが、甘すぎずしょっぱすぎずという絶妙な落としどころになっている。それは秘伝の味ということなのだろう。

もう1つ言えるのは、お弁当に入っている具材が鶏と相性がいい。鶏を楽しむ絶妙のわき役だ。試行錯誤で選んだものなのだろう。

かくしてロングセラーの駅弁は何も修正を加える必要のない完成度になっている。売っているのは高崎周辺を中心だが、東京駅、上野駅でも手に入る。私の場合、軽井沢に行く時に上信越自動車道の横川サービスエリアで買うことを楽しみにしている。

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