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日本人の宗教観 ~日本人は独特な宗教観を持つ国民である~

 私たちは、文化として、子供が生まれれば神社に参拝するし、七五三で神社を訪れる。「ほう、神道か」と思いきや結婚式は教会で挙げ、葬式はお寺で行うことが当たり前になっている。
 宗教への関心はあるくせに、信仰を持とうとしない日本人(私も含め)の宗教観とは、どうなっているのだろうか。


世界の宗教観

 世界を見渡せば、ほとんどの国で敬虔なる何かしらの信仰を持った人たちを見ることができる。例えば、中東(アフガニスタン、イラン、イラク、アラビア半島諸国)ではイスラム教徒が一日に5回、欠かさずお祈りをするし、東欧(ロシア、ベラルーシ、ウクライナなどその辺)ではカトリックとプロテスタント各教会、東方正教会の教会、イスラムのモスクがあり、敬虔な人たちが集まっている。
※カトリックとプロテスタントの違いについては割愛するので気になる人は下のサイトに飛んでね。

 以上のような宗教観がワールドワイドな見解であり、むしろ日本のような状況の方が少ない。
 しかし私は、日本人は言うほど無宗教ではないと思っている。

日本人は本当に無宗教なのか

 仏教や神道、キリスト教、イスラム教など宗教学者や専門家の書籍や論文を読むことで得られた私の答えとしては、日本人は単なる無宗教ではなかったということだ。
 日本人は、日本人なりの宗教観がある。もっと正確にいうと、超自然的なものに対する畏れ(おそれ)のような宗教意識を明確に持っている。
 日本人は、神社やお寺、教会などの施設を軽蔑したり、間違っても蹴っ飛ばしたりすることをしない。いやいや、当たり前じゃ無いかと思っただろうが、冒頭で紹介したような国では宗教の違いで線引きされることがあり、つまりは違う宗教を蔑むということに対して躊躇いがないことが当然とされているケースが多いのだ。

 日本人はそこが神聖な場所であるという認識を宗教にとらわれず持つことができる。そして、そのような神聖な場所にいると、なんだか心が洗われて敬虔な気持ちになってくるという独特な感性を持っている。
 日本人のほとんどは一神教徒ではないし、むしろ無宗教で、かつ特定の宗教以外を認めないという排他的な思いも抱かない。けれど、神仏を信じる気持ちは一神教徒に負けず劣らず強く持っている。それこそが、日本人の宗教観なのではないかと、私は思うのである。

宗教には気候風土が反映されている

 ここから少しだけ、調べて見えてきた宗教の背景について紹介したい。
 
 世界には様々な宗教があるが、それらには土地の気候風土が反映しているのかもしれないと思うのだ。
 例えば、中東の砂漠地帯において人間はとても無力で、小さな砂嵐程度でも一瞬で死んでしまう。自然の恐ろしさに触れることで、私たちは神に生かされているという感覚を持つ。そこから神の怒りに触れると呆気なく死んでしまうという旧約聖書の世界に通じ合っていることがわかる。
 また、イスラム教でも同じように、神様によって全てが造られているという一神教の感覚は、あのような砂漠(大自然)の中だからこそ生まれ、現在まで育まれてきたのだろうと思う。
 さらにそれは、天国のイメージについても同じようなことが言える。
 コーランに登場する天国のイメージは、清らかな泉、清らかな河川、涼しい木陰、みずみずしい果実、鶏肉のバイキング……というものだ。これらは、砂漠とは対極のものであり、まさに砂漠で育った人が容易にイメージすることができる天国そのものと言える。
 では、輪廻転生についてはどうだろうか。厨二病を患ったことがある人間なら、この言葉に心躍ること間違いないと思うが、まあ、それはいい。
 輪廻あるいは輪廻転生とは、簡単に言えば生き死にの繰り返しのことを言うのだが、この思想はバラモン教からヒンドゥー教や仏教へ伝えられた。つまりは、インドやネパールで生まれた概念なのである。
 熱帯のインドでは、人間も含め動物はあっという間に死んでしまうけれど、次々と新しい生命が生まれてくる。このように、すぐに死ぬけどすぐに命が誕生するという実感を持てる世界だからこそ、輪廻転生という思想が生まれたのだろうと思っている。
 このように、世界の宗教にはそれぞれの風土が背景にあり、その特徴を持って生まれたのだと、ほぼ確信しているところである。

終わりに

 日本ではオウム真理教などカルト宗教がセンセーショナルな事件を起こし、その度に宗教に対する視線の温度が下がっていくのだが、今回の記事を読んで、宗教についての見方や考えは変わっただろうか。
 これを機に、勉強しろとは言わないが、宗教に限らず全てのことに対して、否定から入るのではなく、まずは「知ってみる」ところから物事を見ることができる人が増えてくれたら、楽しくて有意義な議論ができる社会になるのではないかと、割と真剣に思っている。
 宗教シリーズはもう少し続けると思うので、また記事があがったらその時はよろしく。ではでは。


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