[短編小説]水上のエメラルドグリーン
☆
満員電車の流れに揺られる。
スーツを着た、もはや生きる歓びを忘れてしまった人間たちに囲まれながら、社会人1年目である僕も同じようにスーツを身にまとう。
電車が揺れるたび、群衆に押し潰されそうになる。
僕はその度に歯を食いしばり、胸の中に火を灯す。
「こんな事をするために生まれてきたんじゃない」
そう心の中で叫びながら。
胸の内でメラメラと燃え盛る炎は火の粉を撒き散らし、やがて暗闇を照らしていく。辺りは次第に光を取り戻し、昼間の南国の砂浜のような景色が姿を現す。波風が心地よ