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[短編小説]水上のエメラルドグリーン
☆
満員電車の流れに揺られる。
スーツを着た、もはや生きる歓びを忘れてしまった人間たちに囲まれながら、社会人1年目である僕も同じようにスーツを身にまとう。
電車が揺れるたび、群衆に押し潰されそうになる。
僕はその度に歯を食いしばり、胸の中に火を灯す。
「こんな事をするために生まれてきたんじゃない」
そう心の中で叫びながら。
胸の内でメラメラと燃え盛る炎は火の粉を撒き散らし、やがて暗闇を照らしていく
[短編小説] Happier
仲の良い友人について思いを巡らせる。
「こいつのためやったら何でも出来るわ」
そう思えるような人と、人生であと何回出会えて、どれくらいの時間を共に過ごせるのだろう。
ダラダラと刺激の足りない大学生活を続けていた1回生の秋、僕は新しい必修のクラスで後に大親友となるKと出会った。これ以降Kのことは蜜蜂と呼ぶことにする。
蜜蜂と関わり合うようになったきっかけは曖昧だけど、僕は当時下宿をしていた彼の家に