日本は、「学校教育」自体が、「教育虐待」かもしれない。

上記文抜粋
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知られざる「教育虐待」の実態 子どもを精神的に追い詰める“無自覚”な親の共通点とは?

ノンフィクション作家の石井光太氏が『教育虐待――子供を壊す「教育熱心」な親たち』(ハヤカワ新書)を出版した。その書名の通り、親の行き過ぎた教育で子どもが追い詰められる「教育虐待」の実情を伝えている。

まだ幼いうちから受験競争に組み込まれ、一流大学を目指すよう強いられる。あるいは、スポーツや芸術の世界でプロフェッショナルを目指すべく、過酷な練習をさせられる。そうした限度を超えた教育は、子どもたちの心や脳を傷つけてしまう可能性があるという。

著者の石井氏に当事者、支援者、医師などの取材を通して見えてきたことについて話を聞いた。

非行少年たちとの出会いで気付いた“見えざる”虐待

教育虐待に着目されたきっかけを教えてください。

石井光太氏(以下、石井):少年院やフリースクールの子どもたちを取材してきましたが、そのうち何割かが教育虐待を受けていることに気付きました。たとえば、親に受験競争を強いられて傷つき、不登校になってしまう。そこで家庭から飛び出した子どもたちは、社会でうまく生きていけず、非行に走ってしまいます。

身体的暴力などの虐待の場合、形に残るので周りから見えやすいでしょう。少年院ではその割合が計算されていて、女性が6割、男性の4割が虐待を受けていると言われます。実際に話を聞くと、全員の家庭環境が非常に悪いわけですが…。

一方、教育虐待は可視化されていません。虐待には心理的虐待というカテゴリーがありますが、そこに教育虐待がきちんと入っていないためです。だから教育虐待という言葉できちんと明示した上で、それがどのようなメカニズムで子どもを壊してしまうのかを提示しないといけないと思いました。

そもそも教育虐待の定義とは何でしょうか。その線引きはどこにありますか。

石井:あえて言えば、子どもが精神的なダメージを被ってしまうか、もしくは逃げようとして、困難な状況に陥ってしまうかということだと思います。

心理的虐待で難しいのは、はっきりとした定義ができないことです。たとえば、家で両親がケンカをする「面前DV」を見ても、気にせずに暮らしている子もいます。でもそれによってストレスがたまって、リストカットをしたり、ストレスを妹にぶつけて性的虐待をしたり、家から飛び出して非行に走ってしまったりしたならば、それは虐待だと言えるでしょう。

教育虐待も同様で、最終的にその子どもがどういう状況に陥ってしまうかによってしか判断できません。親が「勉強しなさい」と1回だけ言うのは問題がなく、10回言うとアウトだというような、単純な話ではないんです。だから非常に難しいのですが、難しいがゆえに直視するべき問題だと思います。

教育虐待の代償は“将来”に…

本書では、子どもの成績が悪いと暴力をふるったり、「高額な塾代がかかっている」と嫌みを言うなどして精神的に追い詰めたりと、陰惨な事例がいくつも紹介されています。そうした教育虐待は子どもにどのような悪影響がありますか。

石井:子どもの心をどんどん侵食していって、人生を壊してしまいます。まず親と子どもの正常な愛着形成ができなくなる。そうすると、愛着障害をはじめとしたさまざまな問題が出てきます。

たとえば、親が何でもかんでも「これをやりなさい」と決めると、子どもから自主性を奪うことになります。ロボットのように動くことはできるけれど、自分で主体的に考えて動くことができなくなる。また勉強だけをしていて、友達と遊ぶ経験がなければ、他者の痛みを想像する感性を育むこともできない。そうした現象が複合的に出てくるわけです。

成績が上がらないような場合に、親の攻撃性が非常に強く子どもに向けられることがあります。子どもは心理的に傷つき、「自分はもう駄目なんだ」「生きている価値はないんだ」と思えば、自分の体を大切にしなくなる。それで薬物や売春などの非行に走るケースもある。

また親の期待通りに進学や就職がうまくいったとしても、その後の20~30代になってから症状が出現してくることも多いです。たとえば、急にパニック障害を起こすようになってしまう。自分自身で子どもの頃の教育虐待が原因だという自覚もないことがほとんどです。

教育「熱心」と「虐待」のボーダーライン

教育虐待を起こしやすい親の共通点はありますか。

石井:子どものことを全く考えていないことです。そこにはいろんな事情があって、親が発達障害や精神疾患で、考えられないこともあります。あとは環境の問題もある。親族が全員医者の家に嫁いだ女性が、子どもも医者にしなきゃいけないと焦ってしまう。「子どものためだ」と言いながら、その実は親のためになっているというケースが多いですね。

教育虐待の認知のされ方について、曲解されていると思うことはあるでしょうか。

石井:教育虐待は何かを言ったら駄目だという単純な話じゃないということです。DV、いじめ、体罰、ハラスメントなど何でもそうだと思いますが、社会は「これをやったらダメだ」というボーダーを引きたがる。わかりやすいからですね。でもそれが一番の間違いだと思います。関係性、話し方、状況などのトータルで個別に判断しないといけません。

「教育虐待」をしてしまわないために…

親は教育虐待をしないために、どのような心がけが必要でしょうか。

石井:親が自分の価値観を疑った上で、家庭に第三者の“違う”価値観を入れるように意識するのは大事だと思います。もし子どもがサッカー部に入っているならば、部員と親を招いたパーティーを1か月に1回開くようにするとか。子どもは自分の親と違う大人の意見を知ることができます。雑多な人間関係の中で、雑多な価値観を知るわけです。そうすると、子どももですが、親も楽になっていくと思います。

また、親が考えたひとつのことだけをやらせるのはよくないでしょう。そうではなく、いろんな体験をさせてみる。映画を見る、山登りをする、外国に旅行に行く。何でもいいのですが、子どもがビビッとくるものを探させてあげるんです。そこで子どもが何かを見つけたら応援してあげたらいい。

花屋に行って花に興味を持ったならば、将来は農学部で花について学ぶという選択肢があるかもしれない。子どもがそのために理系の勉強をしたいと考えたならば、それを応援してあげたらいい。親が先に「〜大学の農学部に行きなさい」などと言うのとは、真逆のことですよね。

子どもが主体的に動き出すようにサポートしてあげるということですね。

石井:そして親自身が生きること、社会で働くことに対して、楽しむ姿を見せてあげるしかないですよね。親が生き生きと働いていれば、子どもだって当然、社会に出ることに対して夢を抱くはずです。子どもは自分の夢を実現するために必要だと思ったことをおのずと始めるでしょう。そこで初めてその子は伸びてくるのだと思います。

■石井光太(いしい こうた)
1977年東京生まれ。作家。ノンフィクション作品を多く出版する傍ら、小説、児童書、漫画原作なども幅広く行う。主なノンフィクション作品に『本当の貧困の話をしよう』『格差と分断の社会地図』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』など。

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抜粋終わり


最近は、「日本の学校教育自体が、教育虐待ではないか」って思う。

いじめ自殺の多発は、加害者も被害者も、すさまじいストレス・心的外傷を負っているから、起きる。

日本は、学校自体が、「日本人の子供の墓場」なのであろうかね・・

天皇の無い 蒼い空を取り戻す

慈悲と憐みの富む社会になりますように。


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