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発芽から一杯まで、初めて体験した。

ここ、日本国沖縄県糸満市喜屋武。
沖縄本島最南端のコーヒーとなる場所で
僕はコーヒーを育てています。

僕は、コーヒーを自分で作ることを一つの目標として、農業をしてきました。

この目標を掲げてからは7年が経とうとしています。
そして、今回実を付けたコーヒーの木を植えたのが、3年前でした。
すっと植える場所に困っていた時に、会長(ボズの父親)が野菜を植えていた場所が、コーヒーを育てる環境に1番良いと思ったので、許可を頂いて、植えることができたのです。

なので、初めてとなる喜屋武コーヒー ができた時は、1番に飲んでもらおうと決め、順調にその日を迎えることができ、安心しました。

台風対策や夏場の日差しを遮光するためのネット張りの骨組みを作ったのは、会長でした。
これがどれだけ助けられたか、これがなければ枯れていた可能性高いです。

沖縄では、100年近くも前からコーヒー の木があったのではないかと言われていますが、90歳になる会長は、コーヒーを育てることができると、全然知らなかったそうです。
実が付いてからは、「いつ収穫するの」「どうやってコーヒーになるの」、など、興味津々に聞いてくれるので、「収穫してから1ヶ月近くは飲むまで掛かります」、と作業工程を説明していました。

今回のコーヒーのプロフィールはこれです。

産地:日本国沖縄県糸満市喜屋武
品種:ムンドノーボ1号
精製:ウォッシュド、ナチュラルの混合

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2019年の8月に定植しました。

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植えた時の様子と、会長とお孫さんです。
折れた枝を被せているのは、日除けです。
これも会長の知恵で、真夏の日差しを避けるために被せていました。

今はこんなに大きくなりました。

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約1m60cmの高さはあると思います。
今振り返ると、すごい成長です。
よく台風と暑い夏を乗り越えてくれました。

今年の5月に花が咲き始め、早いものだと9月に収穫しました。
しかし、ほとんどが種の無いものばかりで、11月ごろに採れ始めたものから、ちゃんとコーヒー の種として収穫することが出来ました。

収穫するまでを見てきて、やっとコーヒー の木の生体がだんだんわかってきました。
初の喜屋武コーヒー の生豆は、精製がごっちゃになっています。
その理由は、一度の収穫で30粒ほどしか採れず、選別すると半分の量になってしまうため、焙煎するときは、一度にまとめなければならなかったのです。

採れた数粒を好奇心のままに、いろんな精製をしてしまいました。笑
すぐ洗ったり、ミーシュレージを微生物分解したり、定温で数日保管したり、面白い体験が多すぎて刺激になりました。

3枚目までは、ミーシュレージを微生物分解しようとした時の写真です。
失敗したのか、ヨーグルトが腐った匂いがして、危うく吐きそうでした。
4枚目が、ナチュラル精製をした時。
5枚目が、定温で3日間置いた時のものです。

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今回面白いなと感じたのは、定温で保管したものです。
保管して40時間ほど経つと、赤ワインのような深みのある香りがして、その後は少し酸味を帯びた香りなっていく過程が、とても興味深く感じました。

ここから、

焙煎では、これらをブレンドし、生豆の状態で20gとなり、手振り焙煎で煎りました。

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出来上がり。
焙煎時間、47分!笑
長いけど、終わればあっという間な感覚でした。
浅すぎないように、深すぎないように、を慎重にやった結果、長時間焙煎になりました。笑

沖縄のコーヒーにも
「あ、これが沖縄のコーヒーに感じる香り」
があり、この時も感じられて、懐かしかったです。

焙煎している時、これまでコーヒー を勉強させてもらえたことに感謝していました。
抽出、焙煎、味とり、全てあの人やあの人が教えて下さったことです。
そうでなければ、黒く焦がしたり、細かい部分をイメージして煎り止めすることができなかったかもしれません。
これまで、本当に勉強してきてよかったと痛感しました。

焙煎した豆を、3日間寝かせて、クレバーで抽出。

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この一杯は、会長とボスをはじめ、みんなで飲もうと思っていたので、少ない量を一口ずつ飲みました。

「あの木から作ったコーヒー!?」
という、みんなの反応が面白かったです。
ふだんは、ブラジルやコロンビア、エチオピアなどにある木なので、目の前にあると、それは驚くはずです。

会長は飲むと、「うんうん」、と頷くだけで言葉は語らず。
緊張しました。

これが、糸満市喜屋武で作られたコーヒーの「初めての一杯」になるまでの過程です。

ただただ、しみじみと、コーヒー栽培できてることに感謝していました。

コーヒーやっててよかった。

まだまだやりたい。
今度は「生豆作り」の世界で、もっと楽しもう。

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