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北海道の雄武町に事業継承で飛び込んだ29歳若社長/やりきる力

雄武町にある貝殻容器の製造会社。

昨年前社長が引退を希望し事業継承で札幌に在住していた29歳の中野社長。
彼と私は20歳の頃から知り合い、一時は苦楽をともにした仲でもある。

最近は必要とされている事業だが後継者不足で不本意に廃業としてしまうことも少なくない。

中野社長の意欲

私は彼と知り合い、好きなことのためならホームレスでも惜しまないという意気込みに惹かれつつあった。

北海道の大学に進学し、大学の勉強より人脈作りに走っていた。
その頃から、サラリーマンを目指さず独立思考だった。
現在の学生の中にも同じような人は多いのではないだろうか。

だが何をしたらいいのか、、分からず時間だけが過ぎていく。

北海道にはススキノという繁華街がある。

そこには道内の実業家の方も集まりやすくお酒の場で繋がれることも少なくない。
プラスでSNS(当時はTwitterとフェイスブックがメイン)を使い、積極的に人に会いに行っていた。

他の学生との違いは、飾らず、カッコつけず、行動力があることだ。

こんな中野社長に1つ目の出会いができる。

大学卒業後、その方の会社の中で起業することになった。


親友に裏切られ、そして強くなる

全てがうまくいっている。
側からはそう見えているかもしれない。

しかしそんなこともなく、大学からずっと自分より1歩前を走っている親友がいた。

何をするにもカッコよく、少し憧れる部分もあった。

そんな彼がギャンブルで多額な借金を作った。

私も大学卒業後で貯蓄もほぼない。

会社の経営資金が少しくらいあるだけだ。(数十万円程)

だが親友はお金が尽き私のところにきた。

彼なら。。。と思い70万円を貸したが約束の日に返ってくることはなく連絡も取れなくなってしまった。

これが社会に出て初めての裏切りになる。

会社を経営していると裏切りは多い。


最後の気持ちで受け入れた裏切り

お金以上に苦しい裏切りを受けていた。

お金を貸した親友がさらに困って、連絡が来た。
「金を今返せない。でも働いて返したい」

お金も返ってくるし元は親友だからと迎え入れることにした。

親友は真面目に働き、少しづつ信用は戻りかけていた。

中野社長は親友を役員にし、共に進む道を作り、奥さんも子供もいた親友を守っていくと覚悟した。

お金を借りて返していかない人は、とことんだらしないんだと身にしみることが起きる。

役員にして会社の方向性を一緒に考え、動いてきたにもかかわらず、

突然の退職依頼だ。

事情は奥さんと子供のためだと。

共に進んできた、そして親友のために守る覚悟も決めたが無責任にいなくなってしまった。

ここから中野社長は学ぶことがたくさんあるという。

こんな、通常なら苦しいし恨みたいはずだが、

「自分が信用したことが悪い。自分の責任だ」
こう言っていた。

ただ自分がしてあげたことだから恨むことはないと。

学びに変えてプラスに変換していた。

人のせいにしない、自分が受け止め自分のプラスにしていく。

この信念と責任感がここまで突き進んできた源なのだろうか。

事業継承で微々たる社会貢献に走る

元々の事業を経営しながらなんとか生き延びていた。
ある時、とあるサイトに目が止まる。

後継者不足の事業継承だ。

必要とされているのに廃業をしなければいけない現実。

これを少しでも無くなるように事業継承M&Aがある。

彼はこのシステムを利用して貝殻事業の存続と発展のために元々の事業を仲間に託し、札幌から4時間の雄武町に引っ越した。

なぜここまで貝殻事業に力を入れるのか。

貝殻は元々は産業廃棄物であり、処分されていた。

これを生かそうと様々な企業が活用している。

中野社長の会社、ReproNでは基本容器として販売している。

個人にも企業にも届けている。

企業だと、主にお刺身の盛り付けや冠婚葬祭のグラタンなどで活用している。
ReproNの忘年会で実際に自分たちで活用したのがこのような感じだ。

このように例では食卓を楽しくできる。
他にもアクセサリー入れや、自分たちで創作して楽しむこともできる。

このような素晴らしいものが産業廃棄物になり処分されていたのだ。

地方の雇用を守る

これまで、地方の雇用などを考える機会はなかった。
しかし、事業継承で視察をした際には高齢の方が一生懸命働いていた。
その方達の仕事はまさに職人技だ。

この貝殻を届けるにも様々な作業工程がある。

中野社長も覚えて綺麗に磨くまでは時間がかかったと言っていた。

そしてお金で働いているのでもなく、いいものを届けたい一心に感じた。

この事業が終われば、ここで働いている方も無職になる。

時代を引き継ぎ、よくしていく。

若い世代が立ち上がり、守っていくことも必要だと身に染みたみたいだ。


中野社長の目指すこと

今回改めて、中野社長と深く話をして感じた。

ビジネスだからお金は確かに大事だと。
でも、それ以上に大事なことがあり、突き進んだ先にお金もついてくる。

ただのお金儲けが商売ではない。

困っている人、守るべき人、必要としてくれている人。

この方達に応えていくこと。

若くして、裏切りや騙しを受けながらも、信念を持って突き進む。
人の痛みもわかる人間。
だからこそ、人と違う角度で考えることができるんだと。

貝殻事業は昨年継承したばかりだ。

最後に彼は微笑みながら、「残ってくれた人にも夢を持ってもらいたいし、来て良かったと思ってもらえる仕事をしていきたい」と話していた。

この事業がどう動いているのか、中野社長のこの先の出来事も機会があれば続編を出したいと思う。

個人のお客様向けのECサイトもあるので良ければ見てみてください。

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