【映画レビュー】「ハンガー・ゼット」(2014年 日本)〜食糧難に陥ったゾンビという矛盾〜

【タイトル】
「ハンガー・ゼット」(2014年 日本 74分)
監督 月足直人
脚本 森角威之
出演 村井良大、小田島渚、新納慎也

※本作には、暴力、グロテスクな描写が含まれております。
また、倫理的に問題のある描写があります。


【あらすじ】
 ゾンビが爆発的に増え、生きている人間が減少した世界。

 ある日。この映画の主人公、としゆきがゾンビに襲われ、一軒の屋敷の中に逃げ込む。
 そこでは人間たちが普通に生活をしており、なんと、ゾンビをパシリにしていた。
 ゾンビがそこら中に蔓延している絶望的な状況なのに、この屋敷の人間たちは普通に食事をし、酒を飲んでいる。
 しかも、ゾンビに襲われないどころか、むしろパシっているという異常な状況。
 一体、この屋敷はなんなのか?


 この屋敷の主人である紳士風のゾンビ(?)が、としゆきに事情を話す。
 世界中にゾンビが増えすぎたせいで、ゾンビの食糧である人間が減少。
 つまり、ゾンビの食糧難が起きていた。
 そのため、ゾンビたちは生き残った人間たちに生殖行為をさせて、人間(食料)を増やそうと思いついたのだ。

 つまり、この場所はゾンビたちによる人間牧場だった。

【感想】
 ゾンビが人間の世話をし、子作りをさせて、人間(食料)を増やす人間牧場という残酷な設定なんですが、画面からは常に脱力感が漂っており、あまり緊張感がないため、若干コメディ寄りなゾンビ映画になっております。
 ちなみに、子作りシーンは音声のみでアッサリ終わっており、エッチなシーンはなし。
 だが、グロ描写がかなり容赦なく、油断していると強烈なグロシーンが飛び込んでくるので苦手な人は要注意。

 この人間牧場の真相はクライマックスで明らかになりますが、死者であるゾンビのために人間を増やすというのは矛盾でしかなく、なんというかブラックがすぎるジョークだなぁと思いました。
 この映画から漂う妙な脱力感は、そんな矛盾から発生したものなのかもしれません

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