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ヴァンのこと

昨日までの投稿の続きです。

語り ヴァンの場合

「僕が小さい時、父さんが地雷の被害にあって、手足を片方ずつ失ったんだ。

外で朝食を食べてて、少し離れたところで子どもが被ばくして吹き飛んだ光景を見たこともあるよ。」


この場所では、あたりを見回せば悲しい話しがいくらでも転がっている。
それでも人は生きて笑うことを辞めない。

彼は後に続けて、こんな話をしてくれた。

「みんなベトナム戦争のことは知っている。
Secret Warと呼ばれるアメリカがラオスに向けて行った攻撃も知られてきた。
けれど、これらの戦いの後で起こったモン族の悲劇のことはあまりしられてないんだ。

ベトナム戦争では、アメリカ軍はモン族を取り込み、敵である北ベトナム軍を討伐するために軍事組織したんだ。
けれど、ベトナム戦争が終わり、アメリカが敗北すると、モン族は裏切り者扱いされて、多くのモン族がベトナム政府から迫害されたんだよ。

そして、僕はモン族だ。」


穏やかなこの地で、わずか数十年前に、見ることも憚れる悲劇が起き、計り知れない程の地と涙が流れた。
今なお苦しむ人も存在する。

けれど僕は、町に戻り、夕焼けを眺め、
平和な時間が存在する場所もできたんなだ、と、ひとつ喜んでみた。


僕は少し悲しむことに疲れていた。


跡に咲く花

僕はぼんやりヴァンと訪ねた地雷撤去跡のエリアの光景を思い出した。

地雷の爆発の跡にも花が咲く。
時は流れている。
どうかこの花が、悲劇を乗りこえた彼らの未来の象徴となりますように。
僕は心の中で手を合わせた。


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