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そして宵

昨日までの投稿の続きです。


村を訪ね終わり

今回、爆弾の被害を受けたたくさんの人が話しをしてくれた。
こんな僕に語りたくない辛い過去を語ってくれて本当にありがとう。
僕は聞いたことを伝えていかなければならない。
僕は旅で出会った彼らのことを表現しなければ。

そんなことを思ったのはきっと、彼らのことが好きになったからだろう。
決して悲しみに触れただけではない。


友として

何も悲しい話しをしただけではないのだ。
くだらない話しもたくさんした。
一人の友として接することができ、彼らに対して親近感に溢れてきたのだ。

ヴァンが教えてくれた。

「モン族では男女交際が厳しくてね。
男女で道を歩くこともできないんだ。

それで男は夜に好きな女の小屋に行き、囁くように女に呼びかけるんだ。
親にばれないようにね」

いわゆる夜這いだ!
どんなに厳しく戒めても、どこの国も男女の色恋沙汰は抑えることはできない。


僕は村を訪ね終わった日の夜、いつもの飲食店に行った。
飲食店というより屋台という方が近い。
店員とも顔なじみになり、毎夜お酒をごちそうしてもらっていた。

一人の男の客が僕に聞く。

「おい、あの女とあの女、どっちが好みだ?」

本人を目の前にして聞くもんだから、「そんなの答えられないよー」とおどけて僕は返した。

「あっちは太りすぎだし、こっちは顔があまりいけてないよな」

この男はなんてことを言うんだ…

それを聞いて女は女で負けていない。
「何言うか、このー!!」と言って男にくってかかる。
ケンカ…というよりじゃれている感じだ。

何とも微笑ましい。

そしてどこの国の男もお酒が入ると猥談に盛り上がるものらしい。
自分の両の手のひらを重ねて音を立てて奇妙な動きをするジェスチャーは、意味を理解するのは容易だった。

「おい、愛しているって日本語でなんて言うんだ?」

と聞かれたので教えた。
日本からはるか遠い人通りの少ないラオスの田舎町で、「愛してるー」の日本語が繰り返し響き渡る。

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友の顔を思い浮かべて

シュエトン、マイシン、ジャイキー、ヴァン…
彼らの顔が夜空に浮かぶ。

彼らもこの町に来れば、今より幸せになれるのだろうか。
僕には分からない。
”安全な暮らし”と”愛するコミュニティ”と、どちらも手放すのには重すぎる。

土地を、家族を、仲間を愛する人たちが、今より幸せになれますように。

夜空に祈った後、僕は何をするというのだろう。
何ができるというのだろう。

旅人はいつも迷い人だ。

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