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破門

一門が伝統を守り続ける裏に
破門を余儀なくされた者は
数え切れぬほどあるのが常

落伍者と揶揄されない為の
温情以外の何ものでもない
宗家と親しき者たちで今
談義の渦中というのに
当の本人は余裕綽々と
巷を歩いておるという

惨禍を負った者には恨みこそないが
元の姿に戻ることは二度とあるまい

一門の掟に例外は認められぬ
有り難く温情を受けるがいい
余裕綽々と巷を歩く姿は
とても見るに忍びないと
宗家が言っておられる

破門という始末は
金輪際ありはしない
有り難く温情を受けるがいい
それが一門の掟に背く者の
礼儀であり定めなのだから



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