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2019年 夏、ヘルシンキ サステナブル先進国で循環型経済を考える旅

あけましておめでとうございます。今年も旅を通じて未来のライフスタイルを考えるインスピレーショントリップにお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

2019年夏、ロンドンに続いて、フィンランドのヘルシンキに移動しました。

ヘルシンキを訪れた理由は、2015年にストックホルムから日帰りで行った際に、もう一度、ゆっくり訪ねてみたい美しい都市と思ったこと、また、リサイクルやシェアリングなど推進するサステナブル先進国から日本の未来の都市生活を考えるための気づき得たいと思ったからです。

「フィンランド豊かさのメソッド」

当地を訪れる前に読んだいくつかのフィンランド関連本の中で、一番参考になったのが、この「フィンランド豊かさのメソッド」 (堀内都喜子 著 集英社新書) でした。

同国でリユース、リサイクル、シェアリングエコノミー、MaaSなど環境に優しいサステイナブルな取り組みが進むのはなぜか?の背景がわかる本です。

共働きが多いため、親以外の大人から見守られながら育ち、ものごころがつき、教育が始まるころから、森(自然)はみんなのもの、相手の意見を否定しない、話は最後まで聞く(安全・安心・ポジティブ)ことを諭され、学校の授業では黒板にテーマを真ん中に描くところから始め、マインドマップ的に関連性を理解し、連想力を養うように進めて行く形式が多いという・・・
僕らが社会人になってから、ようやく思い知ったようなことを…子供のころから身につけて来た国民なんだなぁ、と。感じます。
実際、現地滞在中に接してくれた方々からはそれらを肌で感じたものでした。
日本のこれからの教育。新学期を4月から始めるか、9月から始めるかが話題になりましたが、もっと大事な、周りの意見をしっかり聴きながら、考える、想像力を養う、そんな教育のあり方をしっかり整えて欲しいところですね。

Airbnbエアビー でプチ住人生活体験

シェアリングが進んだ国であれば、宿泊ももちろんシェアリングで、ということで、ポートランドに続いて、ヘルシンキでもAirbnbエアビーでスーパーホストの宿を借りました。


今回はフィンランドに来たなら体験したいと思ったサウナ付きの部屋を探しました。

なかなか素敵な北欧風の天井の高い大づくりの部屋でした。

何回か、マーケットやスーパーで買って来た惣菜をキッチン備え付けの皿に盛って食べたり、

ルールに従って、ゴミの分別をして集荷所に出したり、

ペットボトルは近くのスーパーにリサイクルに行きました。右下はスーパーで使えるクーポンです。ペットボトル、缶、瓶が対象で、子供のころから遊びのようにリサイクル感覚を身に着けて行くのでしょう。


夜遅くなると、コンビニではアルコール類の棚にブランドカーテンがかかって、お酒を販売してくれないんだ、という気づきもありました。

未来の交通アプリWhimを体験する

ヘルシンキで未来の交通アプリと言われるWhim(ウィム)をダウンロードして実際に使ってみました。2019年夏当時、世界で研究が進む、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の先端事例のひとつです。

行き先を入力するとGPSと連動して乗り換えプランが徒歩、バス、電車、タクシー、レンタカー、自転車などの複数の組み合わせの選択肢が表示され、クレジットカード登録しておくと、料金を事前払いすることが出来、同一アプリ内で目的地到着までの支払いが完結できます。


更に、ディナーの場所と時間など、スケジュール共有しておくと、それに間に合うように、いつ出発して、どんな手段を組み合わせて目的地に向かえばよいかの提案や通知もあります。
要はGoogle mapと交通系電子マネーとスケジュール管理ツールがセットになったようなアプリです。

オプションの中に、速く着く、だけでなく、Greenest Mode(エコな手段を選ぶ)というのがあるのもフィンランドらしいと思いました。

急いでいるときはTaxiよりUberの方が断然安いので、ついUberを使ってしまうのですが、未来を感じさせるアプリだと思いました。(日本でもいくつかの都市で試用実験に入るようです)


ちなみに、当地では、ロンドンと違ってタクシー運転手も所属タクシー会社の業務だけではなく、同時にUberドライバーの兼業を行っています。Uberを呼んだらTaxiが来て、かつ、その場合はTaxiより安いUber料金だというもので、運転手に聞いて知ったものです。
他国のように既存タクシーがUberと競合するのではなく、日本でもフィンランドのように顧客のために共存する形で普及するとよいなと思ったものでした。

サステナブルツーリズムに参加して当地のリサイクル事業を知る

現地旅行会社が企画、アテンドするサステイナブルツーリズムツアーに参加しました。朝から夕方まで、ヘルシンキ近郊のリサイクルセンターKierratyseskus、廃棄前食材販売店のWefood、前日にいろいろなレストランが残してしまった食材を回収して翌日ランチを提供するレストランLoop、ラックを期間貸しして、ファッション愛好家が着なくなった服を手放すことを手助けするフリーマーケットブティックreloveを巡りながら、ガイドの方からフィンランドのリユース、リデュース、リサイクルの取り組みの話を伺いました。

リサイクルセンターKierratyseskus

リサイクルセンターKierratyseskusには、多くの人々から家庭で不要になった服や日用品や娯楽品が日々持ち込まれます。2階建てで、1階は生活雑貨が中心で、2階はすべて、服。

ただ再販するだけでなく、クローゼットの中の服との付き合い方(どんな原料で作られているのか?素材特性や廃棄につながるダメージの可能性など)を解説、啓蒙しているクローゼットコーナーがあったり、

専属デザイナーが作成したリメイク品にPLAN Bというブランドラベルをつけて販売したりしています。


このセンターの目的は、使わなくなった商品に第2の生命を与え、リサイクルを促進しながら、収益を社会活動に回すことにありますが、施設を運営することで、働く人の雇用を生んでいるんだ、という「雇用創出」という観点を強調されていたことが、僕にとっては印象的でした。

フリーマーケットブティック、relove

続いて、フリーマーケットブティック、reloveを訪れました。ファッション愛好家にハンガーラックを1区画ごと、1週間単位で貸し出して、着なくなった服を、それを求める人に販売する場を提供する、カフェ併設のファッションのリサイクルブティックです。(イベントでDJをしている女性が起業したスモールビジネス。当時、ヘルシンキで2店舗運営。)

リサイクルショップというと、いろいろなものが品種別に並べられていることが一般的ですが、こちらは、所有者ごとのクローゼットそのもので、1本のラックから、同じ所有者の服や服飾雑貨の個性が見えて来ます。


ちょっとしたラグジュラリーブランドからマリメッコのような北欧ブランド、H&M、ZARAまで比較的僕らも知っているブランドものが中心。
そして、当然のことながら、所有者のサイズの服や靴だけが並んでいるところが特徴です。
ですから、あるラックのファッションの好みに共感し、自分のサイズと同じだったら、同じラックから複数枚購入する人もいるわけです。
こちらのしくみは、委託販売ですが、値付けを自分で行うパターンと店側に任せるパターンがあり、出店料も手数料も違っていて、売り主には、オンラインで売れたかどうかが管理できるようになっているところも今風です。
期間中に予想以上に売れて、ラックがスカスカになってしまったため、不要品を新たに追加しに来ていた売り主もいらっしゃいました。
それにしても、このブティック名のrelove(もう一度愛して)というネーミング、素敵ですよね。

フードロス対策レストランLoop

ランチはLoopで頂きました。

既述のように、前夜にいくつかのレストランで残ってしまった食材を回収して、ここのシェフが毎日それらでできるメニューを考え、ブッフェ形式でランチを提供するというレストランです。こちらも収益は社会活動に使っているとのこと。

ご存知の通り、食品とアパレルは消費財の中でも「購買頻度」の高いNo1、No2の巨大マーケット。その分、毎年、大量の廃棄(売り手、買い手含めて)を産んでいることでも知られています。

ツアーに参加して感じたこと

ツアーに参加して感じたことは・・・

環境に優しく服をつくったり、フェアートレードで調達することも大事ですし、もったいないという精神を持つことも大切ですが、やはり…企業の責任だけを問うだけではなく、また、ユーザー側も単に清貧に戻るのではなく…
成熟社会の中で豊かになった僕らにとってのこれからの食べ物や服とのつきあい方を現代風に楽しめるように啓蒙することが大事なことだ、ということでした。

ヘルシンキグルメはサーモンスープが最高!

ヘルシンキのグルメで最も美味しかったもののひとつはサーモンスープ!何ヵ所かで頂きましたが、ここのマーケットのサーモンとじゃがいもがたっぷりスープが最高です♪。昼間っからシャンパン、筋子がふんだんに乗ったブレッド、スモークサーモンとシュリンプが乗ったサンドと共に頂きました。

Mrスープと自称するMarcus(右下)は、夜はフィンランドで2軒のシーフードレストランを経営し、昼間はマーケットで観光客にスープを売り込む商売人でした。以前フジテレビにも取材されたことを誇りに語っていました(笑) 本当に美味しいです♪

さて、次は、ヘルシンキにスーツケースを置いたまま、フェリーでフィンランド湾の向こうの旧ソ連領、電子政府とし世界的に知られるエストニアへの1泊2日の旅に出ます。

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