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90年代の音楽を知らなアナタへ その82 SEXUALITY (TONY MASERATI FINAL RADIO REMIX/95 & '21) /K.D.LANG プライド月間にリリースされた名リミックス

マライアキャリー、クリスティーナアギレラ、ビヨンセ、デスティニーズチャイルド、メアリーJブライジ、デヴィッドボウイ、ジェニファーロペス、ホイットニーヒューストンなどなど。ものすごい数のサウンドアンジニアリングを手がけてきた稀代のサウンドプロデューサー、トニーマセラッティ。

R&Bやヒップホップのサウンドプロダクションを得意とし、系列アーティストの信頼度がかなり高い人物。彼の名前を知らなくても、彼が手がけた楽曲はきっと知ってる曲も多いはず。

今回はそんな彼が手がけたkdラングの95年の作品「セクシュアリティ」のリミックスが、ニューコンピレーションアルバムの1曲として改めて収録された。

95年にリリースされたオリジナルアルバム「ALL YOU CAN EAT」に収録された「SEXUALITY」はさほどヒットはしなかったものの、彼女自身、また彼女のファンの間ではかなり人気の高い曲。当時人気だったTVドラマ「フレンズ」のサウンドトラックに収録されているので、もしかすると馴染みのある人も多いかもしれない。

このリミックスはヒップホップ流の分厚いトラックに彼女の澄んだヴォーカルを被せたダウナーなアレンジ。テンポは変えておらず音色のみを変えているので、意地悪にいうと芸のない仕上がりとも言えそうだが、強く利かせたベースにストリングスを生かす、まるで多様性を意識したようなアレンジは原曲から20年以上経った今の時代にこそぴったりだと感心した。数あるリミックスからこのバージョンを収録するということは、きっとそういうことなんだろうとも思ったが。

5月はプライド月間ということで世界中でLGBTQへの関心を訴える期間となっている。レズビアンである彼女らしいアプローチで、かつての作品を見事に今へと意味を持たせている重要な作品だと思った。そしてやっぱり彼女の歌は世界一。ものすごく素晴らしい。

この曲以外にもKDラングのリミックスには名曲が多いので、このアルバムは「買い」であると強く勧めたい。


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