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妊娠期のアセトアミノフェンは子のADHDに関連?

健康を維持し安静を保ちお腹の中の子を育むお母さん。
その御蔭で子どもも安心して、この世界で産声を上げることが出来る。

この当たり前だけど、かけがえのない事を母親はやってのける!
だからこそ妊娠期はいかに大事に環境を整えてあげるかが重要になる。

妊婦や授乳中のママは色々と体に入れるモノに対して敏感になります。
それは食べ物であったりお薬であったり様々ですね。

実際に市販用医薬品も医療用医薬品も妊婦においては使えない薬も多いです。そのため、色々な疾患を治療中のママはかなりデリケートな時期を過ごすことにもなります。

もちろん疾患を持たないままにおいても、妊娠期に風邪を引いてしまったりすることもあるでしょう。その時には「比較的安全性が高い」アセトアミノフェン(風邪薬)が使われていました。

しかし、2019年にとある論文が出て、今まで国内外で妊婦さんに頻用されていたアセトアミノフェンにまさかの警鐘が鳴らされることになります。

それは・・・2020年の「JAMA Psychiatry」に掲載された報告で、妊娠期のアセトアミノフェンは子どものADHDに関与するかもしれないという報告。

🔴妊娠期のアセトアミノフェン使用がADHDとASDのリスクに?
【原文】Association of Cord Plasma Biomarkers of In Utero Acetaminophen Exposure With Risk of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Autism Spectrum Disorder in Childhood
【和文】出生前のアセトアミノフェン曝露と幼児期の注意関連行動との関係 【雑誌】JAMA Psychiatry. 2020 Feb 1;77(2):180-189(ジョンズ・ホプキンス大学:アメリカ)
【インパクトファクター2023】25.91

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31664451/

この報告は2016年にイギリスで妊婦へのアセトアミノフェン投与は、神経発達症(ADHD,ASD)に゙関連する可能性が示唆されたことを受けて、米国で行われた大規模検証試験でもあります。

アセトアミノフェン使用歴と出産児のADHDとの関連を後ろ向きに解析しているデータですね。

内容は・・・
【内容】
✅妊婦のアセトアミノフェン使用が児のADHD・ASD発症リスクとなるという仮説がある
✅2016年のイギリスの発表を受けて米国で行われた大規模検証試験
✅ボストン医療センター996名の母子を対象として、3種のアセトアミノフェン代謝産物の臍帯血濃度と児の精神発達アウトカムとの関連を検討
✅在胎中のアセトアミノフェン曝露と児のADHD・ASD発症リスクには強い関連が見られた(オッズ比 ADHD:2.3~3.5、ASD:1.6~4.1)
✅FDAは、妊娠中の痛み止めは熟考の上使用するよう強く推奨

となっていました。
この論文は非常にハイインパクトな雑誌に掲載されたということもあり、かなりセンセーショナルな話題でもありましたね。
このことから、アメリカでは妊婦に頻回利用されていたがこの報告を受けてアセトアミノフェン使用はかなり厳格となっているという背景があります。

アセトアミノフェンは胎盤を通じて子どもに移行することになると言われています。今まではさしあたって不都合のある報告は出ていませんでしたが、ADHDなどの子どもの神経発達に関わる点において影響を及ぼすというのは盲点でもありました。

今まで妊婦さんに安全に投与が出来る薬剤として知られていただけに、この報告を受けたときには、風邪をひいたり、困ったときにはどう対処すればよいのか?と思いますよね。

つまり、代替えがない状況の中で、非常に悩ましい問題も同時に投げかけたことになります。

そこでこの報告についで別の検証試験の結果が挙がってきています。

🔴妊娠期のアセトアミノフェン曝露量は子のADHDに関連
【原文】The relationship of prenatal acetaminophen exposure and attention-related behavior in early childhood
【和文】出生前のアセトアミノフェン曝露と幼児期の注意関連行動との関係
【雑誌】Neurotoxicol Teratol.2024 Jan-Feb:101:107319.(米国イリノイ大学:アメリカ)
【インパクトファクター2023】2.9

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38199313/

アセトアミノフェンがADHDに関連するという報告を受けて、こちらの報告も一体どれくらいの量が問題になるのかを調査しています。
その内容は・・・

【内容】
✅複数の研究で、アセトアミノフェンがADHDと関連していると報告
✅妊娠中のアセトアミノフェン使用とADHDの関連をチェックリストで調査 ✅アセトアミノフェン曝露量は、2歳および3歳時の不注意問題と関連
✅妊娠期間中の累積曝露量が多いほど、2歳および3歳時点での注意問題およびADHD問題のスコアが高かった

という結果になっていました。ここでいう曝露量はアセトアミノフェンの服用回数の頻度でカウントしている。1回の服用あたりで2歳児時点でのADHDにおける子どもの不注意問題に関連するリスクに関連しているという結果になっている。特に問題となるのが、妊娠中期(4~8ヶ月目)のようだった。この時期は胎児の神経発達が顕著な時期なので、この時期の関連性が高いのではないかとも記載されていますね。

非常に悩ましいが、では体調をこじらせてしまい鎮痛薬が必要な人はどうすればよいのだろうか?

残念ながら、アセトアミノフェンがリスクが有るのならば、これ以上に安全と言える薬剤はなくなってしまう。そのため、妊婦さんで体調をこじらせた場合は自己判断で市販薬を服用するのではなく、ちゃんと医院で精査をして、必要に応じてアセトアミノフェン含有の医療用医薬品を医師の判断のもとで投与するのが良いでしょうね。

また今までに通院歴のある「かかりつけ医院」などの相談しやすい医院で対応をお願いするのが良い(過去の情報もあるし、先生とウマが合っている事も重要。合ってないと無用なストレスを生む)。

まずできることとしては
💡安易に自己判断で市販のかぜ薬を飲まない
💡風邪を引かないように周囲に徹底(マスクやうがい手洗いを徹底的に)
💡特に妊娠中期には風邪を引かないように対策
💡かかりつけ医に相談する体制を

もし仮に医療者でアセトアミノフェンとADHDなどの神経発達症のリスクをご存じなかった場合には、こちらのペーパーを引用されてみても?(先生も気分を悪くするかもしれないが💦)

育児や発達を科学で考える!
外にもいろんな取り組みをしているから見に来てね。

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