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ADHDは調子に乗っているくらいがちょうどよい?

実際に育児をしていると、ADHDの特性を持つ子どもの養育は一筋縄ではないことが良くわかります。さらに似た素養を親子共に持っていると、磁石のN極とN極かのように反発し合うことが多々あります。同じ感覚を持つ人々はこうも反発するものなのか?と体感するくらいですね(^_^;)

ADHD(注意欠如・多動症)は中々注意力を持続させることが困難で、更に多動が加わり刺激を求める傾向があります。なので常に頭の中が色々なことでアクティブになっている!っていう子も多いのではないでしょうか?

ADHD児ならではの葛藤も当然あります。
✅子供の場合は、他の子ができて自分にできないことにもやもやする
✅ケアレスミスが多く失敗が多い
✅ちょっとしたことでイライラしてしまう自分が嫌だ
✅忘れ物が多くていつも嫌な思いをする
✅友達との会話が合いづらくつらい思いをする
✅叱られたくないのに色々と叱られて気持ちが滅入る
などなど。

しかし、子どもがこのような葛藤を持っている一方で、親や先生や周りの人々はこれらのADHD児の葛藤に中々気づきにくいという問題があります。また気付いたとしても適切な対応が後手に回ることもしばしば💦

そうこうしているうちに成長する子ども、ただ特性は中々収まらない。周りの子たちのとの乖離が目立ち、更に自己肯定感が下がっていくという負のスパイラルも問題になっています。

特に成人を迎えると社会進出の折に触れて、様々な諸問題にぶつかりかなりこころをすり減らしてしまうことも問題になります。ADHDの青少年から成人にかけての自己肯定感をいかに高めるかが大きなポイントになります。

この実態は世界では一体どうなっているのか?そこで興味深い報告があったのでシェアしますね。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286088/

【原文】Self-esteem in children and adolescents with and without attention-deficit/hyperactivity disorder: A meta-analytic review
【和文】ADHDまたはASDの子どもの養育者における身体的健康不良と健康リスク行動との関連
【雑誌】Clin Psychol Rev.2024 Jan 21:108:102394
【URL】https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286088/
【インパクトファクター】12.73

アメリカのオクラホマ州立大学からの論文で、「ADHD者の自己肯定感は健常者と比べて実際にどう問題になっているのか?」についてのメタ解析(過去の論文を総まとめにして検証し直す)研究です。

ADHD者は上記で述べた理由もあり、「他者からの叱責や無視などを措置を受けやすく自己肯定感が低い」という事が世界の研究でも見えていました。

この傾向はやはり「自他ともに顕在化しやすい社会進出のタイミング、つまり社会人のとき」に問題となっているようですね。日本でも同じ傾向ではないでしょうか?

今までは社会人を対象とした研究は多くされていたようですが、意外と青少年を対象とした研究は限られているようです。今までに報告されているいくつかの研究をまとめたところ、以下のことがわかってきたようです。

💡ADHDの青少年の「自己肯定感」は幅広い「自己感情」に関連しているため、一つの側面では判定は困難
💡ADHD有無別で自己肯定感のばらつきは大きくADHDだから自己肯定感が低いとは言い切れない
💡ADHD児が同年齢児に比べ、学業、社会性、行動、感情の面で遅れが出ている事を自覚してしまうことが自己肯定感の低下につながる
💡親の関わりや環境要因大きく、いかに根拠のない自信をもたせるかで良い傾向を示す事もある

ということが見えてきているようですね。

社会に出てからは中々調整が難しいですが、青少年の時期にどのような積み重ねをするかでその子の未来が変わってくる可能性を感じさせる論文でもありました。

たしかにまだ不透明なところは多いけれど、ADHD児は「他者との違いから自分自身が他の人と違う」ということに反応し、そこから様々な葛藤に苦しむことになります。

一度問題であると認識してしまうと行動が萎縮し、認知もどんどん歪んでいってしまいます。その結果、自己肯定感も大きく損なわれてしまうことでしょう。この負のイメージに囚われないようにしなければなりません。

そこで大事になりそうなのが、ADHD児に対して「正の錯覚バイアス」をもってもらうこと。

これは何かというと、ADHD児が自分の得意な分野で人から賞賛を受けたり、自分の中で達成感を強く感じることができれば、自分の欠点の部分に関連する気持ちの低下を防ぐことができるということを指します。

つまり図に乗るくらい「長所」を伸ばしてあげるってことかもしれません。

決して、もともとある自分の欠点を直接補っているわけではないですが、「子どものやる気」が自己肯定感の低下を防ぎ心身症のリスクを減らせる可能性は大きく高まりそうです。

子どもは図に乗っているくらいがちょうどいい。と感じさせますね。

そして、子どもが図に乗っている間に、子どもの発達が追いついて来た時期に身辺自立や社会でのスキルを学ばせてあげるのが良いかもしれません。(平常時では中々それが伝わりにくい💦)

決して、決めつけてその子を雁字搦めにしないように・・・。そう感じさせてくれる論文でした。

ADHDの特性は光もあれば陰もある。ただ、その光は意外と見つけにくい。

木漏れ日のようなその「光:長所」を見つけたときには、子どものその光をより強く広く拡げていってあげられるようにしていってあげたいものですね。

その光を見つけるためのお手伝いをするための親御さん向けのプログラムを立ち上げています。その名も「ペアレントアウェアネス」。親の気付きがその光をより大きくデキルチャンスを見いだせるかもしれません。

興味がある方は小児精神科医と共同で実施しているプログラム詳細をご覧下さいね。

ペアレントアウェアネス

https://community.camp-fire.jp/projects/671229/activities/544462

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