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採用に困っている会社がビズリーチやウォンテッドリーを始める前にやるべきこと

僕は4年前から経営者の隣で「編集者」をやっています。

経営者の言語化や情報発信のお手伝いをしているわけですが、お声がけいただくきっかけとして最近多いのが「採用に困ってる」というものです。

「そもそもの応募者が少ない」
「知名度が低くて見つけてもらえない」
「応募はあってもミスマッチが多く、離職者も多い」

などなど……。

もちろん、ビズリーチやウォンテッドリーなどの採用エージェントには登録しているのですが、なかなかいい人が集まらない。

そこで僕らの会社にご相談いただくという流れです。

当然ながら、同業他社や業界で有名な企業も同じように採用エージェントに頼っています。そのなかで自社を選んでもらうためには、なんらかの「差別化」をする必要があります。

では、どうすればいいのか?

僕は以前から採用エージェントに登録する以前にやるべきことがあるんじゃないか、と思っていました。今日はそのあたりのことをお伝えしたいなと思っています。

採用活動は「恋愛」のようなもの

よくあるたとえかもしれませんが、採用というのは「恋愛」みたいなもんだなと思ったりします。

恋愛は、まず相手に自分の存在を認識してもらって、信頼してもらい、好きになってもらう必要があります。

採用活動も同じです。

無数にある会社のなかから自分の会社を見つけてもらい、信頼してもらい、「ここで働きたい」と思ってもらう。

けっこう難しいように思えますが、ただ、逆に言えば、この

①知ってもらう
②信頼してもらう
③好きになってもらう

というステップを踏むことさえできれば、優秀な人だって自社に来てもらえるということでもあります。

ひとつずつ見ていきます。

「知らない」から「知ってる」へ

採用候補者は「知らない会社」に応募することはできません。

少なくとも名前を聞いたことがある、なんとなく存在を認識している。そういう会社になって初めて選択肢の中に入ります。

「何を当たり前のことを!」と言われそうですが、案外ここをすっ飛ばしている会社は多いような気がしています。

・存在を知られていないのにビジョンを語る
・存在を知られていないのに自社の良さを語る

これでは誰もいない海に向かって叫んでいるのと同じです。

まず選択肢の中に入る必要がある。つまり「知らない」という場所から「知ってる」という場所に移行する必要があるわけです。

僕はこれを「認知の壁を越えましょう」という言い方をしています。

この認知の壁を越えないことには、いかにビジョンを語っても、いかに働き方の魅力を語っても届かないわけです。まず会社の存在が候補者の目に届くこと。それが重要です。

「認知の壁」を超えてこそ、企業の声は届く

「知ってる」から「信頼できる」へ

2ステップめは「知ってる」から「信頼できる」です。

知っていても信頼できなければ近づこうとは思いません。

「なんか怪しいな」「ブラックなんじゃない?」「ちゃんと儲かってるの?」みたいに思われてしまったら、信頼が得られず、エントリーしてもらえない。

なので「知ってる」という選択肢の中から、今度は「信頼できる」に移行しなければいけないと思うのです。

「信頼できる」から「好き」へ

ラストの第3ステップ。

これが「信頼できる」というところから「好き」、つまり「ここで働きたい!」と思ってもらうことです。

信頼できたとしても、その会社が好きじゃなければ採用には至りません。「この会社の力になりたい!」「この会社に行けば自分が輝けそう!」「この会社で働くと人生が変わりそう!」……そう思ってもらえなければ、採用には至りません。

というわけで、最後は「信頼できる」から「好き」というところへの移行が重要になってきます。

「コンテンツ」で認知の壁を超える

では、この3ステップを踏むためには何をすればいいのでしょうか?

まず「知らない」から「知ってる」に移行するために必要なのは「コンテンツ」です。コンテンツの力が僕は必要だと思っています。

(当然ながら、事業を進めていくだけで知名度も上がっていく場合は、別に「コンテンツ化」などしなくても大丈夫でしょう。コンテンツ化は、事業は順調に伸びているのになぜか知られていない会社への処方箋だと思ってもらえればと思います!)

コンテンツ化で大切なポイントは「接点を見つける」こと。

経営者や企業と採用候補者の「接点」を見つけて、それについてのコンテンツを発信します。

具体的に言うと、仕事術/キャリア論/経営論/勉強法といったテーマは、多くのビジネスパーソンが振り向いてくれやすいと思います。

とにかくまず、多くの人の目に触れるにはどうすればいいか? そこを全力で考える。もちろんブランドを毀損させるような「にぎやかし」はすべきではありませんが、採用候補者の目や耳に自社の名前が入らないことには、認識すらしてもらえないというのは厳然たる事実です。

ちなみに弊社の事例からいくつかご紹介すると、以下のようなコンテンツは、一見企業の発信とは関係ないようにも見えますが、まず知ってもらう「きっかけ」としてはうまく機能しているものだと思います。

信頼を得るためには「過去」を語れ

ここまでだと「なんだ、コンテンツマーケか」と思われそうですが、僕は単純に「コンテンツマーケをやれ」と言いたいわけではありません。

コンテンツを出し続けても、それが「信頼」に変わらなければ意味がありません。

信頼に変えるために必要なのが「過去を語ること」だと思っています。

・創業者はどんな思いで会社を作ったのか?
・どんな事業をやってきたのか?
・どんなピンチがあり、どう乗り越えてきたのか?

経営者の半生や社史など「これまで何をしてきたのか?」を語る。それが信頼に変わります。

これは恋愛においても同じですよね。「その人が過去何をやってきたのか?」「どういう人生を歩んできたのか?」を知ることで信頼につながる。何も過去がわからない人はスパイかもしれないので怖くて近づけません。

弊社の事例で言うと、こちらは経営者の半生をまとめたもの。

こちらは、創業者の半生と起業物語です。

過去を語ることで、信頼してもらいやすくなり、採用に一歩近づきます。

好きになってもらうためには「未来」を語る

ラスト、「好き」になってもらうためには「未来を語る」ことが大切だと思っています。

昔、モテるイタリア人にこんなことを聞いたことがあります。

「モテない人は卒業アルバムを引っ張り出してきて過去のことばかり語る。モテる人は旅行ガイドを出してきて『どこに行きたい?』と聞く」

過去を語ることは「信頼」にはつながるかもしれませんが、「好き」とか「一緒にいたい」と思わせることまではできなさそうです。

未来を語る。企業で言えば「ビジョンを語る」ことでしょう。

・この会社は何を成し遂げようとしているのか?
・この会社はどこへ行こうとしているのか?
・この会社はどんな世界を作ろうとしているのか?

そういった未来を語ること。

信頼ができても、同じ未来を描けなければ一緒になることはできません。「この会社に行けば、自分の未来も輝きそうだ!」と思ってもらえれば、採用につながりますし、ミスマッチは減るはずです。

これに関しては、NOT A HOTELさんが上手だなと思います。

もちろん事業が面白いし、やっていること自体がすごいからなのですが、その「思い」の部分もまわりと共有しているので、応援している人がたくさんいます。

優秀な人、いい人がどんどん入社して、それによって事業も伸びていく。おもしろいこと、ワクワクすることがどんどん生まれるので、さらに発信力が増して、強力なスパイラルになっていく。

企業がこの「応援モード」に入ると強いなと思います。

会社側も「魅力的な履歴書」を提示すべき時代

これまで会社は選ぶ側だったのかもしれません。

でも今は、会社が「選ばれる」時代。

これまでは採用候補者だけが履歴書を提示して、会社に選んでもらっていた。でもこれからは、逆です。つまり、企業側が魅力的な履歴書を提示して選んでもらわなければいけないのです。

今回お話したことは、平たく言えば「企業側もきちっと履歴書を提示しましょう」ということ。そのうえで採用エージェントに登録したほうが何倍も効果があるはずです。

ビズリーチもウォンテッドリーもお金がかかります。その効果を最大化するためにも、まずはきちっと自社のコアの部分を言語化して、会社の魅力を明示しておくといいと思います。

魅力的な履歴書を提示せずに採用エージェントにお金を払い続けるのは、微妙なプロフィールのままマッチングアプリにお金を払い続けるのと同じです。(例が適切じゃなかったらすみません。でも似たようなものだと思うのです……。)

・あなたがどういう人なのか?
・どういう人生を歩んできたのか?
・そしてどういう未来を作っていきたいのか?

ということを提示して、初めてコミュニケーションが生まれ、採用に血が通うわけです。

そしてなにより大切なのは経営者がきちっと採用にコミットすることだと思います。言い方はあれですが、採用というのは「(生涯年収に換算すれば)3億円の買いもの」になるわけです。よりよい採用をするためにも、経営者が自らのアジェンダだと思えるような会社こそが生き残っていけるんじゃないかと思っています。

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