見えない疲労の正体について
○マラソンやランニングをしている時に、お腹がゆるくなりすぐトイレへ行きたくなる。
○ランニング途中で、体が重くだるく疲れを感じやすい。
○寝て休養しても、日々の疲労が抜けにくい。
みなさんは、こんな経験ありませんか?
筋肉痛や脚の疲労も溜まっていない、
大きなストレスも感じていない
なのに、走っている時も
体の疲労や重だるさがぬけない・・・。
それは、
『内臓の問題』
が影響しているかもしれません。
諸説ありますが、疲労ついては大きく3つに分類されます。
○肉体的疲労(体のだるさや筋肉痛、筋肉の張り)
○精神的疲労(人間関係のストレスや不安・プレッシャー、脳疲労など)
○内臓疲労
今回は、肉体的疲労や精神的疲労と違って、正体が分かりにくい「内臓疲労」について深掘りしていきます。
内臓が疲労しているサインに気づく
そもそもですが、内臓が疲弊していることに気づかないままトレーニングを続けているランナーが多いのではないかと思います。
なぜなら、
精神的疲労(イライラや不満、不安)や、肉体的疲労(筋肉痛や脚の疲れなど)と違って、内臓疲労は疲労の原因や感覚としてはっきりと自覚しにくいからです。
このことを知らないままトレーニングを続けていれば、いつまで経っても疲労が抜けないままになり、ペースが上がらない、記録が更新できない、日々の練習の質も下がるといった状況に陥る可能性があります。
特にマラソンのようなレースや練習で長い距離を走る距離走では、長時間内臓に負担がかかる状態になるため、タイム更新を目指している方には、内臓疲労はより重要な要素であると思います。
まずは、
内蔵が疲れている、機能が低下していることに気付くことが大切です。
内臓が疲労している、消化吸収の機能が低下している「サイン」になるのは、
○暴飲暴食
(お腹いっぱい食べる、あるいは間食が多い)
○下痢、便秘
○全身の重だるさ、疲れ
○脱水や貧血
○食欲の低下、栄養不足
○お腹の張りや差し込み、腹痛
○走行中のスタミナ切れ、体に力が入らない
といった体の状態や症状として現れてきます。
レース中、レース後はもちろんですが、毎日の「練習中」にも知らぬまに内臓へもダメージが溜まっていきます。そのため、内臓疲労に気づきにくいというのが一番厄介なところです。
内臓疲労が起こる原因は?
(食事編)
一般的な内臓疲労は、間食も含めた「暴飲暴食」といわれる
食べ過ぎや飲み過ぎ
によって現れます。
なぜなら、
食物の消化吸収、必要栄養素の代謝、血糖値の調整、老廃物の排泄・デトックスのため食事中が一番内臓が活発に働くからです。
一回の食事量が多い、あるいはお菓子など間食をたくさん挟むことで内臓が休めなくなります。その分、内臓の仕事量が増えるためです。
また、バランスの欠けた食事内容や睡眠不足、食生活の乱れ(糖質過多、ビタミン・ミネラルの不足、過度な食事制限、アルコールの分解、砂糖や添加物の摂りすぎなど)も、内臓機能の低下に大きく影響を及ぼします。
暴飲暴食
⬇️
胃腸の粘膜の損傷
⬇️
胃腸が疲労し正常に働かず、
食物を消化吸収する機能が低下
⬇️
活動に必要なエネルギーを生み出せない
(エネルギー不足)
⬇️
スタミナ切れ
全身の疲れやだるさ、脚つり
下痢や腹痛といった消化不良の症状として現れる
(ランニング編)
食事以外に、実際のランニングする時においても内蔵は疲労します。
とくに長い時間走るようなマラソンの練習やマラソンレースなどでは、内臓疲労がもっとも蓄積しやすくなります。
「走る」ということは、からだが「上下動」していますよね。
地面へ着地であったり、全身の運動に伴う
「振動」が体全体に伝わっている状態
になります。
つまり、
長い距離を走る練習をしたり、マラソンをしている時には、
長い間常に体の中(内臓)が揺られている状態
にあるということです。
例えば、
あなたが長い時間電車やバスの中に座って揺られている状態を想像してみてください。
家でゆっくり椅子やソファーに座っている時よりも、乗り物のなかで揺られるているほうが、ずっと疲れませんか?
特別きつい体勢でもなく、激しい運動もしていないのに長時間車の運転をしたあとには、「どすん」と体が重たい、だるいような疲れを体験したことはあるかと思います。
このように、内臓は自然と疲労を蓄積しやすい状態にあるというわけです。
つまり、
内臓は走っている間も休んでいるのではなく、
あなたが走る時間だけ揺られて疲労してしまうということになります。
もちろん、内臓を休めることが最優先になりますが、ランニング中に「揺れ」を最小限に押さえる、影響を少なくする方法や対策はあります。
それは、ランニングエコノミーにも繋がる、①ランニング中の「上下動」を押さえた走り方やランニングフォームを身につけること。
もうひとつは、②姿勢や呼吸法などで腹圧を高く保ち続けること、また腹腔を持ち上げる腹筋群などの筋力もある程度必要と考えます。
これらにより、
ランニングの動作によって生じる内臓の揺れがある程度抑えられるのではないかと思います。
もし、マラソンなど長距離を走る際によくお腹の調子が悪くなる、腹痛などお腹の差し込みが起きるという方は、この当たりにも着目してトレーニングを行っても良いかもしれません。
実際に私自身も、フルマラソンを走って痛感していることでした!
ランニング中に内臓が疲労するもう一つの理由としては、血液と血流の影響が考えられます。
運動中に生じた熱を発散させるために運動している時は、血液の80%以上が、筋肉と皮膚へ流れます。
(通常、安静時だと25%ですから約3倍以上の血液が運動時に末梢の組織へ流れているということになる)
そのためその分、内臓のとくに腎臓、肝臓、胃、腸の血液は極端に少なくなるという状況になります。
(生理学的に内臓に流れる血液は安静時には40%、運動時には5%前後といれている)
このことからもわかるように、
生理学的にも血流不足などから内臓が機能しづらく疲労しやすくなるということです。
距離走やポイント練習など、きつく激しいトレーニングをしている時には、余計に内臓へ流れる血液が減ってしまうためとくに注意が必要です。
内臓(胃腸など)に負担をかけないための食事の摂り方
それでは、内臓疲労の蓄積を減らし、内臓疲労を回復していくには、どうすればいいでしょうか。
一番大切なのが、食事の摂り方になります!
その中でも、ランニングのパフォーマンスを最大限に発揮するために胃腸に負担をかけない「走る前」の食事の摂り方について挙げていきます。
【走る前にチェックしておきたい食事の摂り方】
○ランニング前は消化の良い食べ物を選んでいるか
○走る3時間前には食事を終えているか
○お腹いっぱい食べていないか(多くても腹8分目を心がける)
○消化に時間がかかる食物(油もの、海藻類、お菓子など)を食べていないか
上記のポイントに気をつけて食事を摂っていれば、ランニング時に内臓に疲労や負担をかけないで済みます。
また、他にも普段よりも食べ過ぎた場合は4~5時間程空ける。胃腸の調子が悪く時間が経っても改善しない場合は、思いきって休養にする、あるいは負担の少ないウォーキングにするなど、微調整してお腹に負担をかけないように気をつけてみましょう!
食事中で気をつけるポイント
意外と気にしないというか、忘れがちなことですか
それは、
「よく噛むこと」
内臓の機能は自律神経で調整されているためもちろん、個人の意思で調整することはできません。
しかし、胃に入る前の「噛む」という行為までは意識的に操作ができます。目安は、『30~50回』。
よく噛むことで、胃が胃液を出す準備が整い消化しやすくなります。
また、よく噛むことで食べ物が粉々になります。粉々になった食塊の胃や胃液に当たる表面積が全体的に増えるため、消化吸収がしやすくなります。
私自身も早食いであまり噛まない癖があるため、意識的に噛むように心がけています(笑)。
また、水分の摂りすぎは内臓に負担をかけ消化不良を起こしたり、体がだるくなったりすることがあります。
内臓は冷えに弱く、特に冷たい飲み物などや炭酸の一気飲みは、胃腸が冷え、機能低下を引き起こします。ひどい場合は腹痛や下痢となることもあります。
ハードな練習・マラソン後の内臓疲労の対処について
○気温が高く暑い中でのトレーニング
○インターバル、ペース走などハードな練習
○20キロ、30キロ走など距離走
○マラソンレース
上記のような体を酷使しやすいトレーニングでは、内臓へのダメージも大きくなっていきます。
とくに走ったあと、
・気分が悪くなる
・お腹が気持ち悪くなる
・吐き気を感じる
・ご飯が喉を通らない
・食欲が湧かない
といった症状があれば、内臓疲労が溜まっている証拠になります!
内臓が疲労し食物を受け付けない状態にあるため、
『体の声(サイン)に耳を傾けて、無理して食べないようにすること』が大切です。
疲れたあとは、
○消化に良い物を選んで食べる
○アミノ酸やプロテインなど栄養素も補給できて
吸収率が高い物を摂る
○食べれる分(量)だけ食べる
○運動後少し時間を空けて、食べれるようになってから食べる
○お腹が空いてから、しっかり食べる
内臓を労りながら、こういったことを心がけるだけで回復力に大きな差が出てくるはずです。
「疲れたから」、「頑張ったご褒美に」といって、
ご飯大盛り、焼き肉や揚げ物、ジャンクフード、アルコール飲料ばかり摂ってしまうのは、火に油を注ぐようなものでランニングで疲れた内臓に追い討ちをかけてしまいます。とくに栄養素の分解や解毒などに関わる肝臓への負担が大きくなり、回復するのにかなりの時間を要してしまいます。
頭でごちゃごちゃ考えたり、自分勝手に好きな物を食べたりするのではなく、まずはこういった日頃の体の異変や症状など
自分の体の感覚に素直に耳を傾けてみてください。
そうするとで、
日々のランニングパフォーマンスの向上に活かせるかと思います。
長くなりましたが、
体調を整えたり、日々のコンディショニングの参考になれば、幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?